京都のおうどん

京都
フリーライター
youichi thunoda
角田陽一

先日、本業の取材案件で京都を訪れた
実のところ、京都を訪れたのは50年以上の人生においてこれが4回目
1回目は高校の修学旅行
2回目は大学一年の葵祭見物
3回目は10年ほど前の大阪見物の一環での清水寺参拝

そして今回が4回目となる。

 

インバウンドのおかげで京都は風情がなくなった…とはネット上でさんざん囁かれていることだが、その実情を目の当たりにすることしきり。

平成ひとケタ時代、トタン屋根が当たり前の北海道から「上洛」して感動したしっとりした風情、甍つらなる京町屋はほぼ表通りから失われ、大路沿いには外国人客をあてこんだ巨大ホテルが連なる。

高校時代の来訪は秋口
10年前は晩夏
今回は盛夏の猛暑。

東山の産寧坂を登ればまさにインバウンド
この暑いのになぜか貸し衣装屋で「紋付き袴」を着込みおもちゃの刀まで差した外国人観光客…

インバウンドの是非はさておいて、帰りの産寧坂下りは辛かった
東山から西に向かえば夏の西日にジリジリ照らされる。
ライターの習性とて引きこもりの白い顔に手足が炙られる。

男性の日傘をもッとメジャーにすべきだろう。

 それでも京都のうどんはうまかった。
場所は三十三間堂から京都駅をつなぐ大路。

やはりインバウンドにあたって日本語に英語表記がメニューに混じるうどん店。

 基本的にただ「」といえば、関東では豚肉
西日本では牛肉を指す。

山口県の女の子が上京の学業生活で生活をきりつめつつ、バイト代を握りしめ「そばうどん店」に入店した。実家にいたころの大好物「肉うどん」を食べるためだ…

だがいざ注文して出てきたのは、「真っ黒でしょっぱいおつゆに浸かる極太うどん。肝心の肉はただ湯がいただけの豚コマ」…ガッカリして泣いた、との話もあるくらい。

 基本的に関西では肉といえば牛肉。
肉うどんは牛肉うどん

 さて今回その店で私は「スジ葱うどん」を注文した。
それが写真のうどん。

 透き通るような関西風の出汁に程よい太さの麺
武蔵野うどんや富士吉田のうどんのごとく極太ワシワシ系でもなく、伊勢うどんのようなフワフワ系でも、讃岐うどんのようなコシで食わせる形式でもない。

太からず細からず、端正な面持ちの麺はスルリと喉に収まる。
じっくり煮込まれた牛スジは固すぎず、煮すぎでとろけることもなく、命のあかしを歯に応えさせて滋味を放出する。

 戸外で汗ダラダラかいたせいで塩分不足、薄味のお出汁をすべて飲み干し付け合わせのブロッコリー天ぷらに塩をつけても収まらない。

ペットボトルの茶2本もほどなく汗に変わる炎天

 それでも確かに旨いうどん。
帰りの新幹線は駅弁の柿の葉寿司。
柿の葉はちゃんと剥いて食べましょう。

プロフィール
フリーライター
角田陽一
1974年、北海道生まれ。2004年よりフリーライター。アウトドア、グルメ、北海道の歴史文化を中心に執筆中。著書に『図解アイヌ』(新紀元社 2018年)。執筆協力に『1時間でわかるアイヌの文化と歴史』(宝島社 2019年)、『アイヌの真実』(ベストセラーズ 2020年)など。現在、雑誌数誌で執筆中。

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