東北でも「面白いことができる」 事業拡張によって横幅を広げていく

仙台
株式会社ダブリュエックスワイ 代表取締役 遠藤誠氏
仙台の広告業界を支える少数精鋭のクリエイティブエージェンシー、株式会社ダブリュエックスワイ(WXY inc.)は、2006年に設立。震災後、映像と音楽制作のためにグループ会社を設立し、事業の幅を広げています。今回は、同社の代表でありクリエイティブディレクターの遠藤誠さんにお話を伺いました。

今思えば、何も考えずに「やってみよう」という 意気込みだけだったかもしれません

遠藤さんは大手広告代理店のご出身ということですが、独立されたきっかけを教えていただけますか。

きっかけは、仙台に居ながら東京の動きに触発されたからでしょうか。私が会社を興した2006年当時、東京で大手代理店から独立起業し小さな事務所を設立する動きが活発で、「あの人も、あの人も独立して事務所を構えた」という話を方々で聞きました。それを「かっこいいな」と思っていたんですね。それで、仙台で自分もそれをやってみようと思いました。当時三十代後半という年齢的なタイミングもあったかもしれません。周りからはかなり反対されましたが、「よし、やってみよう」という挑戦的な想いだけを強くもっていましたね。

設立当初は何名でのスタートだったのでしょう。

私ともう1名の2名です。信頼できるスタッフなので、仕事自体はスムーズでした。以前からお付き合いのあったところにもお仕事をいただけたので、まずまずのスタートだったと思います。単なる制作会社ではなく、「広告会社です」と胸を張って言えるようないいものを作っていきたい。ですから仲間とは「いい仕事しよう」という想いを共有していました。これは、設立当初から今現在も変わらないですね。

遠藤さんのおっしゃる「いい仕事」とは具体的にはどのようなお仕事でしょう。

そうですね。まず広告の仕事は一人ではできません。仲間と一緒に作り上げるものがほとんどです。仲間とともに創造性のあるものを作ること、そしてクライアントに満足いただけるものをつくること。この二つが達成できて初めていい仕事ができた、と言えるのではないでしょうか。この業界に多いのは、独りよがりになることです。自己満足ではなく、クライアントの判断を尊重しながら自分たちが伝えたいものを具現化していくことが大事だと私は思っています。

「いい仕事」ができれば、次につながる 信頼を積み重ねていくことが大切

現在はスタッフも10名ほどに増えているのですね。

はい。震災後にKIVIエンターテインメントというグループ会社を立ち上げたので、合わせて12名ですね。

KIVIエンターテインメントはどのような業務を担っているのでしょうか。

ダブリュエックスワイは広告会社ですが、KIVIでは、映像と音楽制作をメインにしています。以前は、テレビCMなどの制作は外部に任せていましたが、映像と音楽もグループ内での制作が可能となり、CMやラジオ、テレビの仕事の幅が広がりました。ワンストップでできる体制が整ったので、一つのものを作り上げていく中でのコミュニケーションが取りやすくなりましたね。また、KIVIエンターテインメントでは音楽アーティストのマネジメントも行っていて、若手を発掘してプロデュースも行っているんです。現在はアーティストが1組在籍しています。

ヒューマンスキルが 武器になる時代だと思います

業務が拡張し、スタッフも増員したことによって遠藤さんご自身のお仕事に変化はありますか。

経営という面での仕事量は増えましたが、私自身は特になにも変わらないと思います。以前と同じようにディレクターとして現場で仕事しています。

ディレクションされる中で心がけていらっしゃることがあれば教えていただけますか。

そうですね。柔軟性はもっていようと思っていますね。ディレクションをしている中で、デザイナーや映像制作サイドから提案されるものの中には自己顕示性の高いものもあります。私がチェックした時点で違うな、と思うこともあります。広告の世界には必ずクライアントがいますから、制作側の自己満足のものではNGなんです。ただ、私はその時点では制作者に何も言わないようにしています。クライアントに提案したときに判断されますから。ほとんどの場合、そういう案は通りません。それは、たとえディレクターにでも教えてもらうことではないと思うんです。クライアントが判断した結果をもって制作者が学ぶんだと思います。私は方向性を決めて柔軟性をもって対応することを大事にしています。

なるほど。遠藤さんもそうやってスキルアップされてきたのですね。

そうですね。広告の世界は、個人の発想が武器になります。それは、手取り足取り教えたところで身に付くものではないですよね。日々何を見て過ごしているか、貪欲にアイデアを蓄積しているか。そうやって蓄えたものから発想されるものに価値があると思うんです。そして、教科書通りである必要はないのです。マニュアル通りでなくていいが、常識やルールや人の気持ちが分かっていると強いですね。そういう意味では、人間的な魅力を含めたヒューマンスキルというものを大事に考えています。

東北のクリエイターの能力を 東京へ発信したい

御社の名前の由来を教えていただけますか。

会社名が変わっているのでよく聞かれます(笑)。We × Youと、アルファベットの最後の一文字Zを入れていないので、Zへ続く、成長し続けるという意味ももたせています。それぞれ会社の理念に近いものになりますね。

なるほど。未来へ続くという意味にもとれますね。 東京への展開は考えていらっしゃるのでしょうか。

はい。調整しているところです。まずは、ここ仙台で「東北でも面白いものが作れる」ということを証明していきたい。そして、東京で東北のクリエイターの能力を発揮できる場を作っていきたいと思っています。東京と仙台で仕事の進め方が違います。東京では完全に分業性ですが、仙台だと一人で何役もこなさなければならない。逆に言えば、仙台は、一人で何役もこなせる人材を輩出できる場所ということです。仙台で育った優秀なクリエイターの力を東京でも発揮できるようにサポートしていきたいと考えています。

取材日:2014年6月2日

株式会社ダブリュエックスワイ(WXY inc.)

  • 代表取締役:遠藤 誠(えんどう まこと)
  • 設立年月:平成18年10月
  • 資本金:3,500,000円
  • 事業内容:広告、PR、SP、CI等の企画提案、グラフィックデザイン全般、WEBサイト構築、TV-CM、PRビデオ等の映像制作全般、楽曲制作
  • 所在地:宮城県仙台市青葉区本町2-1-8 第一広瀬ビル2F
  • TEL:022-217-7350
  • FAX:022-217-7351
  • URL:http://www.wxy.co.jp/
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