プロダクト2018.04.18

福岡発の文房具メーカーが届ける、心を満たすモノづくり

福岡
株式会社HIGHTIDE 代表取締役 竹野 潤介 氏
HIGTIDE(ハイタイド)とは、「満ち潮」という意味でいつも精神的に満たされていたいという気持ちから名付けられたといいます。その満たされている精神が、商品づくりや日々の生活にまで伝わるように、また商品を買って下さったエンドユーザーの皆さんに伝わることを願ってモノづくりをする株式会社HIGTIDEは、福岡発の文房具・雑貨ブランドを手掛けている会社です。2015年に代表取締役に就任した竹野潤介(たけのじゅんすけ)さんに、創業当時から変わらない思いで手掛ける文房具や、今後の展開について伺いました。

人生を賭けた2度目の転職で未経験業界の代表取締役に

入社までのキャリアを教えてください。

私は関西出身で、大学卒業後、ユニフォームを製造する地元の企業に就職して生産管理の仕事をしていました。その後に転職したのが前職の人材紹介会社です。そこでは企業の中途採用計画などに携わっていたので、以前は、文房具とはまったく関わりがなかったですし、実は興味もそれほどありませんでした。

では、なぜ今の会社に?

創業者の芝崎公郎は世の中の変化を見据え、ハイタイドが今後永きにわたり成長し、存続してほしいという思いから次世代にバトンを渡したい、と考えておられました。
そんな中、ハイタイドの創業事業である手帳製造を私の父の会社が請け負っていたことがきっかけで新たな体制をスタートすることになり、私に白羽の矢が立ちました。
その頃の私は仕事もやりがいがあり順調で、一緒に働いていたメンバーにも恵まれていたので当初は引き受けるつもりはありませんでした。けれども、今後20年、30年と働く中で、知らない土地に行き、未経験の業界で社長をするチャンスはないし、子供の頃から会社を背負っている父を見ていたので会社経営にも興味があり、「これもご縁だ、人生を賭けてみよう!」と福岡へやって来ました。

代表取締役に就任していかがでしたか?

私は文房具はもちろん、モノづくりに関しては素人ですが、商品開発を担うデザイナー、営業中心にハイタイドが長年培っていたデザインやカラー、提供したいモノやコトの価値観を熟知しています。みんなと一緒にモノづくりをはじめ様々なチャレンジをすることは新しい発見につながって楽しいです。また、雑誌などで弊社の商品の紹介や愛用者の言葉を見ると嬉しいし、やっていて良かったと感じます。これがモノづくりの醍醐味だと感じるようになりました。

店舗は、商品だけでなく、価値観、世界観を伝える場所

現在の仕事や商品について教えてください。

雑貨や文具を扱っていて、メインは卸事業です。LOFT(ロフト)やハンズ(東急ハンズ)などのチェーンストアやアパレル系の会社などに商品を卸しています。その他には、アジアを中心とした海外への輸出販売、自社オンラインショップや大手サイトのEC事業、そして本社1階ともう1ヶ所ある実店舗の運営です。店舗はハイタイドの価値観を伝えるためのフラッグシップショップ的な役割を担っています。弊社の商品はデザイン性と機能性にこだわっていて、また割と渋めのトーンで、ユニセックスで使えてラインナップが豊富です。ハイタイドを代表するブランドである「PENCO(ペンコ)」はちょっと懐かしくてアナログな感触や紙の匂いなど、ダウンタウンのブックストアで探し出したステーショナリーラインナップで、国内外で高い評価を得ています。普通の基礎文具よりも少し値段は高いですが、「それいいね」と言われる気の利いたものを持つことで、日々の生活を少し豊かなものにして頂きたいと思っています。より多くの人に広がると嬉しいですね。

先日1周年を迎えた店舗ですが、なぜ店舗をオープンされたのですか?

郊外に小さな店舗がありましたが、そこを閉めることになったので別の場所を探しました。意外とハイタイドが福岡発の文具メーカーということを知らない方が多く、それを伝える場所にしたかった。そして、商品だけでなく弊社の価値観も含めてアウトプットする場所や、反対にお客さまの意見など聞ける場所があったほうが良いと思ったからです。卸事業だけやっているとエンドユーザーであるお客さまと接点を持つことがないので、関わりを持つことで期待を超える物づくりをしたいと思っていました。

地元の方やお客さまの反応は?

当初の狙い通り「福岡の会社だったんですか!?」とよく言われますね。この場所は地元の方にも喜んでもらえる場所にしたかったので、店舗にはカフェスペースを作りました。近所の方が散歩しながら遊びに来て、ゆっくりコーヒーが飲めるみたいな。店舗では自分でオーダーノートを作れますし、イベントではワークショップや上映会なども開催していて活気が出て来たと感じます。

文房具の持つ魅力とはなんでしょう?

すごく値段が高いわけではないのに持つことで心が踊るところじゃないかな。すごく身近にあるこだわれる物ですし、子供からご年配の方まで楽しんでもらえるという点で可能性を感じます。それこそ、海外からも評価されていることが、どんな人でも使えることを証明していると思いますよ。私自身、文具自体への興味というより、そういった世界観やクリエイティブな業界の方々に興味を持っています。以前は物を作る人達との接点がなかったので、文房具を手掛けることへのこだわりや繋がりなど、いろいろな部分で興味が出てきました。

日本のモノづくりを世界へ

これからの展望は?

昨年末(2017年)、ロサンゼルスに現地法人「HIGHTIDE USA INC.」を設立しました。
今年の7月には現地に店舗兼ギャラリーをオープンして小売、卸事業をスタートします。弊社の商品には海外の方も喜んでもらえる物が多く、もっと世の中に広げていけると確信しています。日本の文具をはじめ、物づくりはまだまだ世界で存在感を発揮できると感じています。国内外で今まで培ってきたものをハイタイドらしく表現することで「日々の生活を少し豊かに、世の中をもっとおもしろく」というビジョンを実現していきたいと思います。

一緒に働くスタッフに求めるものは?

社会価値のある⼈材になることが⼤切です。ハイタイドという会社内ではもちろん、社会からも必要とされる⼈になって欲しいと思います。そのためには⾃分で目標となる旗を⽴てて、それを実現するために⾃ら動ける⼈になることです。弊社では社員の「やりたい!」という思いや動機を⼤事にしています。コミュニケーションをとるために⾯談など話しやすい環境を整え、「どうしてこれがやりたいのか」という思いを聞き、そこに向かって何をするべきかを⾃分⾃⾝で考えてもらいます。目標をしっかりと意識すると、成⻑するスピードは早いですよ。

取材日:2018年2月27日 ライター:井みどり

株式会社ハイタイド

  • 代表者名: 代表取締役 竹野潤介
  • 設立年月:1994年6月
  • 資本金: 1,500万円
  • 事業内容: 文具・インテリア雑貨の企画、卸、販売、店舗運営
  • 所在地: 〒810-0012 福岡市中央区白金1-8-28
  • お問い合わせ先: TEL)092-533-3335
  • URL: http://hightide.co.jp/
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