ゲーム2018.01.17

名古屋にはゲームループがある!

名古屋
株式会社ゲームループ 代表取締役 三浦 義広 氏
名古屋を拠点にフリーランスとして活躍していたゲームクリエイターが集い、2017年2月に「株式会社ゲームループ」が産声をあげた。家庭用ゲーム機のゲームソフトを中心に、これからさまざまなゲームソフトをリリースしていく予定の同社代表・三浦 義広(みうらよしひろ)氏に、ゲームソフト開発の魅力やゲーム業界に入ったきっかけ、名古屋のゲーム業界の状況や今後の展望などを語っていただいた。

家庭用ゲームソフトを開発するために、法人化。

2017年の2月に設立されたばかりと伺いました。起業までの経緯を教えていただけますか?

ゲームプログラマーとして東京で10年ほどのキャリアを積んだ後、名古屋へのUターンを機にフリーランスとなりました。そこから10年ほど活動を続けてきて出会った仕事仲間とともに、株式会社ゲームループを立ち上げました。法人化することで、個人では引き受けることが難しかった規模の大きな仕事や機密度の高い契約を結ぶことができるようになりました。

社名の由来を教えていただけますでしょうか?

当社の社名「ゲームループ」は、プログラミング用語の「ループ」という言葉に、「ずっとゲームを創り続けていきたい」という私たちの創業の想いを重ねています。会社の業態をストレートに伝えられる社名ということで、とても気に入っています。

たしかにわかりやすいですよね! では、業務としてはゲームソフト開発だけを手がけていらっしゃるのですか?

私はゲームの中でも「家庭用ゲーム」に特に思い入れを持っているため、将来的には家庭用ゲームソフトの開発だけを行っていくのが理想ではあるのですが、現在のゲーム業界を取り巻く状況や2017年に法人化したばかりということもあり、スマートフォン向けのゲームソフト開発やシミュレーターアプリの開発なども行っています。また、ゲーム開発のための支援ツールなども制作しています。

すでにリリースされたタイトルはありますか?

法人化と同時にスタートしたプロジェクトがいくつかあるのですが、ゲームにはそれなりの開発期間が必要なためリリースはこれからになります。現在、開発が佳境を迎えているタイトルもあるので、今後の展開が楽しみです。

すでにリリースされたものでいうと、ちょっと変則的な案件で「日本クレー射撃協会」監修の『クレー射撃シミュレーター』があります。このシミュレーターはプロジェクターを使って射撃のフィールドを映し出し、クレー射撃が体感できる設備です。銃の重さも実際に使われるものと同じにするなど細部までこだわっていて、強化選手の練習やイベントでのデモンステレーションで活用されています。今後は子どもたちにクレー射撃の魅力を伝えていく設備にすることも期待されています。

いかにお客さまに楽しんでもらえるか?

仕事をするうえで、どんなことを大切にされていますか?

一番はゲームソフトを買っていただくお客さまに失礼がないようにすることを心がけています。自分自身もゲームをプレーするので、ゲームソフトを買って後悔した経験ももちろんあります。ゲームソフトの開発には予算や納期などさまざまな制約がありますが、その制約の中でも「いかにお客さまに楽しんでもらえるか?」をいつも考えています。

あとは、できるかぎり細部のクオリティを上げていくことに、こだわりを持って仕事に取り組んでいます。普通にプレーするだけでは気づかないような画面のチラつきなどにもとことん手直しを行い、キャラクターの動きひとつひとつに細かく手を加えています。これまでの経験から、そういった細かな部分がとにかく気になってしまうんですよね(笑)

また、ゲームソフトの開発には、ある程度の完成形が見えているものがあります。既存ゲームの移植であったり、シミュレーターの開発などです。そのような案件でも、たとえばボタンを押す気持ち良さだったり、回転のスムーズさだったりと、決められた規格の中で「いかに心地よくするか」を大事にしています。

ゲームクリエイターが仕事の上で「大事にすべき」だと感じることはありますか?

「考える力を養う」ということと、「結果に責任を持つ」という2つだと思います。ゲームソフトの開発は指示されたことだけをやるのではなく、プラスアルファの部分が期待されます。名前入力の画面ひとつをとってみても、細かな指示まではないため「どのような画面にするのがベストなんだろう?」という自分なりの考えが必要となります。「文字を縦にするのがいいのか、それとも横にするのがいいのか?」「どんな動きなら使い勝手がいいのか?」といったことを考える力がないと、仕事がうまく進んでいかないと思います。

また、ゲームソフト開発には納期があるので、オーダーされた業務を時間内に完了させる必要があります。そして、どれだけ頑張ってもおもしろくなかったらボツになってしまうため、結果を追い求めていくことも必要です。当社では個人ブースでそれぞれ集中して仕事を行っているので、時間の使い方は自由。作業中にあれこれ言うこともありません。しかし、すべてを結果で判断するため、ある意味シビアな面もあるかもしれません。

ゲームソフト開発の仕事の魅力を教えてください。

私も含め、当社のスタッフは全員が生粋のゲーム好きなので、“最新のゲーム機を扱える”点には大きな魅力を感じていると思います。新しいゲーム機には、やはり新しい可能性がつまっています。バーチャルリアリティであったり、新たなコントローラーであったり、インターネットを使ってユーザー同士が繋がったり。それまでできなかったことができるようになるということには、やはり喜びがありますよね。最新のゲーム機を扱う際にはこれまでの知識や常識が通用しないなど、勉強し続ける必要があります。しかし、大変なことがあっても、今後も最前線を走り続けたいという強い思いを持っています。

人生で最初に完成させたゲームが、そのままリリース。

ゲーム業界には、どのようにして入られたのですか?

小学生の時に発売された任天堂「ファミリーコンピュータ」に魅了され、少年時代から「将来はゲームを作りたい!」とずっと考えていました。高校卒業後に、ゲーム制作を学ぶことができる東京の学校に進みました。その学校はゲームソフトの開発会社が運営していて、結果としてその会社にそのまま就職することになりました。

何か、特別な理由があったのですか?

実は、学校時代に初めて作ったゲームを気に入っていただき、開発を継続してそのままリリースとなったんです。当時はまだ、チャレンジが容認される雰囲気があったんでしょうね。そのタイトルはあまり売れなかったのですが、荒削りな部分が魅力とされてじわじわと浸透し、後に人気のテレビ番組でも取り上げられました。

初めて作ったゲームがいきなりリリース。どのような気持ちでしたか?

大変だった。それに尽きます(笑) ゲームを完成させるというのがここまで苦しいことなんだということを、身をもって感じました。リリースされるタイトルには、ビジネスとして成り立つことが求められます。自分の想いとは別の事情や社内のさまざま意見があるなかで作っていく大変さを、その仕事で知ることができました。30代でフリーランスになった時にも大変さを感じましたが、それとはまた違った苦しみがありました。

「名古屋にゲームループがある」と思い出していただける会社に。

さまざまなことを経験され、さまざまな想いをもって法人化されたと思いますが、会社としての今後の展望をお聞かせください。

東京や大阪と比べると、やはり名古屋にはゲームの企業が少ない状況です。「本当はゲーム業界で働きたいんだけど…」と感じながらも、家庭の事情などで名古屋から離れることができず、しかたなく別の業界で働いている方がたくさんいらっしゃると思うんです。当社は才能を持ちながらも活躍の場がこれまでなかった方々の受け皿となって、名古屋のゲーム業界をどんどん盛り上げていくことがミッションのひとつだと考えています。これからゲーム業界に進もうと考えている若い方にとっても、「東京や大阪に行かなくても名古屋にはゲームループがある!」と感じていただける会社にしてきたいですね。

取材日:2017年11月13日

株式会社ゲームループ

  • 代表者名:代表取締役 三浦 義広
  • 設立年月日:2017年2月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:
    家庭用ゲーム機でのゲームソフト開発/スマートフォン、携帯電話でのゲームソフト開発/パソコン上で動作するゲームソフト開発/パチスロシミュレータアプリの開発/ゲーム開発支援ツールの制作
  • 所在地:〒460-0004 愛知県名古屋市東区葵2-3-15 ふぁみ~ゆ葵ビル 405
  • 電話番号:052-930- 5540
  • URL:http://www.gameloop.co.jp
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