TVCMの制作現場で奮闘するPMをサポート『PM NOTE』
- Vol.122
- ネストビジュアル株式会社代表 植山耕成さん、嶋川侑太さん
1作品ごとに、メモをして、チェックをして 作品の完成と同時にノートも完成
まずは、『PM NOTE』どんなノートなのか。ご紹介いただけますか?
植山さん:PMのワークフロー上のタスクを全部洗い出し、細かくチェックシート化しています。 本当に、細かく書き出してあるんですよ。 お菓子を出すタイミングまで書いてあるんです(笑)。
コミュニケーション能力が求められるPM。周囲への気遣いは、大事なお仕事の1つですね。
植山さん:業務の進行に合わせて、1個1個チェックしていくことによって、安心して業務を進行することができる。今、やらなければならないことだけでなく、次は、何をしなければならないか、これをみればわかるような構成になっています。
なるほど、常に業務の進捗を自分で確認できるノートなんですね。 ノートという形態にした理由は?
植山さん:PMになったら、「常にメモを持て、メモをとれ。」といわれ続けます。携帯電話ではなく、ポケットに入れておけるようなノートで、メモを取れるようにしました。ここは、アナログのほうがいいなと思いました。常に持って歩いて欲しいと思ったので、サイズも小さくして(B5版)、雨にぬれてもいいように、撥水加工のコーティングを施しました。
ノートといっても、各工程ごとにチェック項目が細かく書かれていて、まるでワークブックのようですね。右側がまるまるメモのスペースになっていて、書き込みもしやすそうです。
植山さん:書庫にずっと置いておくようなものにしたくなかったんです。 1作品ごとに使っていただきたいんです。作品ごとに、メモをして、チェックをしていくと、終わったときには、その作品のノートが完成する。 後々、残っていくものを作りたかったんです。
手帳というか、記録、日記のようですね。
TVCMの制作PMのスキルを上げたい
どうして『PM NOTE』をつくろうと思われたのですか?
植山さん:TVCMの制作PMのスキルを上げたいと思いました。 今は、PMの守備範囲があまりにも広い。 僕らの時代は、CMをつくるという段階になってから参加していたんですが、今は、企画のプレゼンテーションの段階から参加して、資料を集めたり、コンテを作ったりしている。 愚直に映像制作をしているだけではだめで、仕様書や資料などを作らなくてはならず、周りの作業が増えてしまった。
本来の映像制作以外の業務にも対応しなければならないということですね。
植山さん:そういう状況の中、プロダクションマネージャーの質の低下を感じていています。その要因として、業界全体の忙しさがあります。プロデューサーも、チーフPMも忙しいので、アシスタントを訓練する時間と場がないという状況があります。そうはいっても、CMを目指す人を増やすためには、PMの力を上げなくてはいけないというという気持ちがずっとありました。 自分自身が、教えられていなかったなという反省もあって、今回、業界貢献事業として『PM NOTE』を作りました。
いつ頃から、こういうものを作りたいと思うように?
植山さん:もう、10年位前から。構想10年と書いてください(笑)。
何がきっかけですか?
植山さん:自分が、指導する立場になったときに、新しいPM達に、どう教えるのか。 今いるPMのスキルを上げるにはどうしたら? というところから、こういうものがあったら便利だろうなと思いました。
業界の様々な人たちの協力によってできた『PM NOTE』
『PM NOTE』は、植山さんの1つの集大成。お仕事をされる中で培ってきたノウハウですよね。業界への並々ならぬお気持ちを感じます。
植山さん:大手の会社にいては出来なかったことです。 独立したからこそ、オープンにしてみなさんに見ていただけたかなと思います。 ノウハウを貯めていてもしょうがないですから。 CM業界は、かつては、魅力的な業界だったんですが、今は、定着率も悪く、離職率も高い職場で業界としての危機感があります。 『PM NOTE』を使うことで少しでもPMたちのスキルが上がればと思っているんです。
最後のページに、出版・編集 株式会社アベック、印刷 株式会社植田印刷所とクレジットされていますが。
植山さん:株式会社アベックは、自社でPMを育て、PM業務の請負・派遣をする会社です。アベックの代表である野田氏もまた、業界の活性化を最終的な目標としており、理念を同じくするアベックとともに、このノートを作り上げました。また、株式会社植田印刷所は、大手の制作会社のチーフPMが東日本大震災を機に福島に帰郷して、実家の印刷所を継いでいるのですが、彼に印刷をお願いしました。彼ならば、内容をチェックしてもらえるのはもちろん、わずかながらでも福島の復興に貢献できればと思いました。 『PM NOTE』は、いろいろな人たちとの協力でつくっています。ですので、ノートには、アベックと植田印刷所の名前をクレジットしました。
現役のPMである嶋川さんが一緒に制作されたとのことですが。
植山さん:僕は、フィルムの時代で、今はデジタルの時代となってカメラが変わり、ワークフローや創り方が変わっているので、そこを最新版にするのを担当してもらいました。
嶋川さん:最終チェックを今の時代にあっているかという視点で、いろいろな方にチェックしていただきましたので、内容は最新版です。
植山さん:業務は、1年1年更新されていきますからね。
新人には、新人の使い方。中堅には中堅の使い方。
嶋川さんから見た『PM NOTE』は?
嶋川さん:植山が作った『PM NOTE』たたき台のようなものがあり、はじめて見た時には、こんなものがあるのかと驚きました。 打ち合わせの前など、項目ごとにチェックしていましたね。 忘れ物が多いんです、PMって。大事なときに忘れ物をするので、まあ。怒られるんですよ。(笑)
実際に、販売されて反響はありましたか?
植山さん:お問い合わせをたくさんいただいています。 ある種みんなが欲しかったものだったと思うんです。
どんな風に使っていただきたいですか?
植山さん:新人には、新人の使い方があるし。中堅には中堅の使い方があって。 そういう意味でも良かったと思います。 新人は何をやるのか、どんな仕事かもわからない中で、こういう流れでCM制作が進んでいくんだということがわかるし。1つ、1つのスタッフ打ち合わせのなかで、こういうものを先輩は用意しているんだなとか、全部わかると思うんです。
嶋川さん: 自分は今、ここのこれをやっていたんだと、これを見れば理解が出来るんです。中堅は、確認ですよね。1つ、1つチェックしていく。このノートを使うことで質の高い作品が実現できると思います。
書き込みがたくさんできるようになっているので、自分仕様に使えますね。 こうして見ていても何か書いてみたいなと思うような余白がとられていますね。
植山さん:案件ごとに、会社ごとに、チェックボックスがあるはずなので、それぞれは、これに足してもらいたいと思います。
『PM NOTE』を使えば、ミスがなくなり、スキルが上がる。
最後に、PMのみなさんに向けてアピールを。
植山さん:常に携帯してもらって、1作品ごとに、どんどん書き込んで、ノートにもある「2.プロダクションマネージャーに任される5つ重要な役割」をきちんと立ち回って欲しいな。 自分が旗振り役になればなるほど面白くなるのが、仕事。 仕切ったときの爽快感、達成感をぜひ経験して欲しいですね。
嶋川さん:じゃんじゃん使って、じゃんじゃん買ってください。 このノートは、書き足していくことで完成するノートで、作品ごとにやることも違い、ノートは、どんどん埋まってしまうので、本来1作品が終わると使えなくなります。ケチらず使えば、ミスがなくなり、スキルが上がります。
今後も、業界に貢献する事業展開は、何かお考えですか?
植山さん:CM制作プロダクションのためのウェブサイトを作っています。 今、TVCMのプロデューサーとPM。その人たちが見るべきサイトがないんです。 そういうサイトをいま、準備しています。
ありがとうございました。 今回、ネストビジュアル株式会社さまより、読者のみなさまに、『PM NOTE』をご提供いただきました。 プレゼントの受付は終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。
取材日:2015年8月17日 インタヴュー:編集部
ネストビジュアル株式会社
- 代表取締役: 植山耕成(うえやまこうすけ)
- 所在地: 〒106-0047 東京都港区南麻布2-13-12EM南麻布ビル4階
- TEL: 03-5439-6377
- FAX: 03-5439-6378
- URL:: http://www.nest-vis.com/
『PM NOTE』
(A5判/68ページ) 1,080円(税込み) CM業界のプロダクションマネージャ(PM)向けに、TMCMのワークフローに沿って自身がタスク管理を行える『PM NOTE』。
取り扱い店舗 : 株式会社 オールウェイズ
- お電話でのご注文・お問い合わせ先: TEL 03-3483-3211 Free 0120-00-7599
- URL: http://www.always-group.com//