東京ゲームショウ2026 終幕~インディーゲーム、eスポーツ、異業種参入が増加、ゲームの多様性ますます広がる
一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(略称:CESA、会長:辻本春弘)が主催する「東京ゲームショウ2026」が9月21日(月・祝)、5日間の会期を終えて閉幕しました。
本来であれば史上最長5日間のリアル開催が予定されていましたが、台風25号の影響を鑑みて、最終日のみオンライン開催となりました。
CESAの発表によると、9月17日(木)~20日(日)の4日間の総来場者数は、25万7642人、「TGSビジネスマッチングシステム」を活用した商談は過去最多となる3,673件と、ゲーム業界最大級の展示会として、日本からゲームコンテンツを世界に広げる大規模イベントとなりました。
世界が注目するインディーゲーム企画「SELECTED INDIE 80」
大手ゲームメーカーの新作、大作、続編の発表は東京ゲームショウの花形ではありますが、インディーゲーム(大手ゲーム会社の資本を受けず、独立して少人数・低予算で開発されたゲーム)の台頭も目立ちます。
幕張メッセ ホール9では今年、1,500を超える応募の中から選ばれたインディーゲームの中から80タイトルが無料出展に招待される企画「SELECTED INDIE 80」が展開され、独創的な世界各国のゲームコンテンツを多くの人々が楽しむ姿が見られました。


AIやツールの技術革新が進み、誰もが気軽に自分の考えたゲームを制作できる環境が世界的に整い始めた昨今、インディーゲームの可能性はますます広がりを見せています。
「SELECTED INDIE 80 Excellence Awards」で最高賞のPlatinum Awardを受賞したリドロックスの「Finding Polka」、インディーゲーム開発者によるピッチコンテスト「SENSE OF WONDER NIGHT 2026」の最高賞にあたるAudience Award Grand Prixを獲得した宮澤卓宏氏の「顔UFO」、TGS2026 インディーゲーム公式アンバサダーである、動画クリエイターのポッキー氏が選ぶ、ゲーム実況者の観点でタイトルを選出する「ポッキー賞」を獲得したHugecalf Studiosの「連帯責任」など、尖った個性を爆発させながらも、プレイしやすいユーザビリティや、初見でも理解しやすいゲームシステムに優れたコンテンツには、通りすがりに試遊風景が目に入る中でも
自然と足が止まり、人々が列を成していました。
老舗キャラクターメーカー「サンリオ」が東京ゲームショウに初出展

また今年は、PARCO、東映、松竹、スズキなど多種多様な業種からのゲームショウ出展も数多く見られました。
なかでも注目度が高かったのは、今回東京ゲームショウ初出展となる株式会社サンリオのゲームブランド「Sanrio Games(サンリオゲームズ)」です。

ホール8という最も奥まった位置にありながら、ブースは紫とピンクを基調としたかわいらしいキャラクターの装飾が施され、ブース前で来場者にキティやシナモロール、ポムポムプリンなどのキャラクターサンバイザーやオリジナルショッパーを無償配布することで、訪れたお客様が無意識に情報拡散に協力する現象が生まれていました。
ゲームユーザーにはおなじみの著名なゲームキャラクターとは異なる存在でありながら、世界的に抜群の知名度を誇るサンリオキャラクターは、会場内でも特に目を引き、すれ違うお客様が「かわいい」「欲しい」「どこでもらえるのか」と口にする場面にも幾度となく遭遇しました。
また、ゲーム試遊で貰えるキャラクターのシークレットオリジナル缶バッジや、「#サンリオTGS」をつけた投稿で貰える限定ステッカーなど、ファンを喜ばせるアイテムを多用したPR展開は、老舗キャラクターメーカーのポテンシャルを改めて感じさせるものでした。

筆者も、好きなサンリオキャラをパートナーに選び、一緒にミニゲームを楽しむパーティゲーム「サンリオ パーティランド」を試遊しました。
来場者同士が即席の4人パーティを組んでゲームをスタートするのですが、それぞれのパートナーキャラクターを選ぶ段階から、「かわいすぎて誰かひとりなんて選べない!」と呟き、自分のアバターをサンリオキャラとして作りあげるキャラメイクの段階でも、「どの顔のパーツもかわいすぎて選べない!」とうれしい悲鳴を上げていました。筆者はパートナーにチョコキャットを選択。
普段積極的にゲームをプレイしない人向けに、全体的なゲーム難易度は比較的低めに設定されており、成功しても失敗してもキャラのかわいらしさを満喫できるパーティゲームになっていました。


「ぽこ あ ポケモン」の開発会社ゲームフリークもスマホゲームで初出展
また、同じく初出展の株式会社ゲームフリークは、ポケットモンスターシリーズのゲーム開発会社として知られていますが、今回出展したゲームは、天気データを基にした「洗濯」がテーマの新作スマホゲーム「雨のちハレ女」です。
本作は、CESAが主催する「日本ゲーム大賞2026」年間作品部門大賞を受賞した「ぽこ あ ポケモン」と同時期に走り始めた企画とのことで、キーワードとなる「天気」を魔法の属性として使うところなどは、ポケモンの影響も受けているとのこと。
毎日の生活がちょっと楽しくなる、かわいい正統派の魔法少女ゲームを目指して鋭意開発中の本作。試遊こそなかったものの、ブースにはかわいいものが大好きな老若男女の心をときめかせる、たくさんの「天気」と「洗濯」にまつわるキーワードがそこかしこに散りばめられていました。
配布されていた同人誌体裁の手作りミニコミ誌「ゲームフリークReboot」には、ディレクター兼プロデューサーの大森滋氏による、ゲーム作りの原点となる開発秘話が綴られており、コピー紙をホチキス留めした冊子の懐かしさと共に、開発者の日常にも触れられた気がして嬉しくなりました。
キャラクターの変身前後のデザインやティザー動画からは、プロデューサーの大森氏自身が長年思い描いてきた理想のキャラクターへの並々ならぬ熱量を強く感じました。クリエイターが自身の作りたいものを忖度せずに作ることができた時、どんな爆発力をもった作品に仕上がるのか、今から楽しみです。
平均年齢67歳のプロゲーミングチーム「マタギスナイパーズ」
東京ゲームショウ2026ではeスポーツに関わるメーカーも多数出展しており、ゲームをプレイする楽しさに加え、プロゲーマーの華麗なプレイングを観客として楽しむスタイルも一般化してきました。
各社がプロゲーマーをスポンサードし、業界全体が盛り上がりを見せるeスポーツジャンルにおいて最高齢のプロチームが、平均年齢67歳のプレイヤーで構成される日本初のシニアプロゲーミングチーム「マタギスナイパーズ」です。


マウスコンピューターブースでは、「【マタギスナイパーズ】シニア世代が語るeスポーツの未来」と題したトークイベントが開催され、株式会社マウスコンピュータの金子覚氏、秋田県のIT企業でマタギスナイパーズを運営する株式会社エスツーの土門悠氏、一般社団法人秋田県eスポーツ連合の緒方無双氏、所属選手のmark25氏とNAGI氏を迎え、高齢化に拍車がかかる地方の現実と、シニア世代がゲームを通して獲得した新たな生きがいについてトークを展開しました。
顕著な少子高齢化が進む秋田県。その秋田県のIT企業である株式会社エスツーの土門氏は、日本一の高齢化自治体である事を逆手に取り、若い世代になじみ深いeスポーツの世界にあえて60歳以上のプロゲーミングチームを設立することを決め、記者会見で発表しました。
PCの使い方もままならないシニア世代を集めたパソコン教室から始まったマタギスナイパーズ。シャットダウンの仕方からじょじょにゲームに移行できるよう、時間をかけて丁寧にレクチャーしたとのこと。
初めは操作もおぼつかなかったシニア選手が本気で一生懸命にゲームに取り組む姿に、少しずつ応援してくれるファンがつくようになったと言います。
秋田県eスポーツ連合の緒方氏は、収益化が難しいeスポーツにおいて、まずゲームの楽しさを継続的に伝えることが大事だと話します。本気で地元の未来を考え、本気でゲームの未来を考えられる方と一緒に、eスポーツを広げていきたいと語る緒方氏。
ゲームで地方を盛り上げる成功例ができると、他企業や自治体から声がかかる事も多いと言います。一方、「何でもいいからゲームイベントをやって欲しい」「無償で場所や機材を貸して欲しい」という依頼が届く事には困惑している様子。一口にゲームといっても様々な種類があるので、何を目的にしてやるのかを明確にしてから相談してほしいという先駆者ならではの悩ましさも。
マタギスナイパーズとして5年間活動してきたmark25氏は御年70歳。FPSは対コンピュータではなく、相手が同じ人間であるところが面白いと語り、常に相手に勝てるような立ち回り方を考えてプレイすることが大きなモチベーションになっていると笑います。
マタギスナイパーズに所属する女性プレイヤーのNAGI氏は、家族の協力に感謝しつつ、素晴らしいチームメイトとゲームをすることで、家事も効率的にできるようになり、生活にも張り合いが出たと話し、マタギスナイパーズは人生の宝物だと、はにかみながら答える姿が印象的でした。
いくつになっても新しい世界に飛び込むことで得られる宝物がある。RPGを体現したかのようなマタギスナイパーズの皆さんの言葉に、ゲームの可能性と未来を感じることができました。
東京ゲームショウは大手メーカーの最新作ゲームをリアルに体験できる機会でもありますが、未知のゲームメーカーの魅力的な作品に巡り会う機会でもあります。毎年新たな発見があるのも東京ゲームショウの醍醐味。来年の東京ゲームショウは2027年9月16日~20日の5日間開催が決定しました。来年もまた心躍るような新たなゲームに出逢えることを楽しみに待ちたいと思います。
(※画像はすべて開発中のものです)






