WEB・モバイル2026.07.09

AIがおすすめしてくれたエッセイ本を買ってみた

東京
WEBクリエイター
日本文化×デザインあれこれ
いのうえ

私は日頃からAIをよく活用している。仕事で使うこともあるが、ダイエットやプライベートな相談事で活用することも頻繁にある。
思考の整理にも便利で、頭の中でまとまらない考えの壁打ちにAIを活用したりする。毎日使用しているので、もはや友人よりも家族よりも私の趣味嗜向について詳しいかもしれない。

そんなAIにある日聞いてみた。
「私の知ってそうな人で、素敵だと思う人を挙げてください。」
すると見事に私の好みにハマる人を次々と挙げてくれた。文章の話をしていた流れもあり、文筆家の方々を挙げてくれる優秀っぷり。AIって凄いと改めて思った瞬間だった。

紹介してくれたのは:
星野源さん、若林正恭さん(オードリー)、又吉直樹さん、岸田奈美さん、リリー・フランキーさん、糸井重里さん

オードリーの若林さんは内向的なのにユーモアがある所が最高で、ちょうどnoteの有料マガジンの購読を始めた所だった。岸田さんのnoteもフォローしているし、ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」をNetflixで視聴始めたところだった。

日頃から私は文章が上手くなりたいと思っているので、AIが紹介してくれた人たちのエッセイを早速読んでみることにしてみた。人気がある文章は何が違うのだろうと気になった。
AIはおすすめの作品まで紹介してくれるので、素直にAIが提案してくれた作品を選んだ。糸井さんの「小さいことばを歌う場所」は在庫なしで購入できなかったが、他の人の作品は購入した。購入欲に火がついた私は、元々好きでクリエイターズアイでも以前紹介した歌人、穂村弘さんの「本当はちがうんだ日記」も合わせて購入した。

本記事では、購入エッセイのうち、穂村弘さんの「本当はちがうんだ日記」と星野源さんの「そして生活はづづく」をご紹介したい。

本当はちがうんだ日記 / 穂村弘

穂村さんは現代短歌の歌人だが、評論やエッセイなど幅広く活動している。
「本当がちがうんだ日記」が刊行された2005年時点で、会社員をしながら文筆業をしていたようだ。穂村さんのエッセイは、「エスプレッソが飲めない」「あだ名がないのがコンプレックス」「普通のおじさんになりたくない」「モテる友人」など読み手が共感しやすいトピックスが多い。ただ、モテる友人が羨ましいという話ひとつをとっても、ユーモアがあって共感もでき、自分の学生時代にもやたらモテる人いたなあと思考する余白がある。なんというか淡く広がる文章を書く人だと思う。読んだ後に余韻の風が微かにふわぁと広がっている感じがする。

全体的に落ち着いたトーンの文章だが、クスッとできるのも穂村さんの文章力故のことだろう。ここ笑うとこですよ!とテンションで押し切っているわけではないのに、ちゃんと面白い。繊細な視点や鋭い洞察力を持ち合わせていて、そこに表現力が加わるとこんな面白い文章になるんだと、感動する。

そして、エッセイ本の凄いところは、その人の人生を垣間見れることにある。
1冊の本を通して、序盤では結婚に懐疑的で子供なんていやいやいや…と言っていた人が、中盤には彼女が出てきて終盤には妻が登場する。

1冊の本が出来上がるまでに、人生の大きなイベントを迎えているのだ。
モテない、ただのおじさん、惨めと言いつつも、しっかり女友達や彼女の存在を記しており、あとがきでは彼女の手に白髪の鼻毛を乗せるエピソードで締めくくられる。なんだよ、しっかり人生を謳歌してるじゃないかとニヤニヤしてしまう。
穂村さんの文章を読んでいると、穂村さんってクラスに1人いる物静かなのに面白い人だったんじゃないかなと思った。そして文章が上手い人は日常的に本をよく読むんだなと改めて感じた。

そして生活はつづく / 星野源

2009年刊行の星野さんの初エッセイ本。
自分のダメな部分やつまらない日常をなるべく面白く解釈するというテーマで書かれたエッセイ。子供の頃のエピソードも踏まえ、ご自身が体験した出来事が赤裸々に綴られている。星野さん的には赤裸々のつもりはなく、面白がっているのだろうが、私は赤裸々だなあと思った。やや下ネタ寄りのトピックスも多く、星野さんの文章を読んでいると「男子」という感じがする。俳優業や音楽業の裏話的なのもあった。お腹が弱いエピソードでは、そんな苦労をしながら舞台に立っていたのかと笑いより心配が勝った。ただ、終始「男子」な文章ではなくて、オーディション通過者達の合宿でのエピソードは、読んでいて心が重くなった。合宿メニューについていけない1人をスパルタに責めて、誰も味方がいない構図。集団生活においてかなり辛かったのではないかと思う。
星野さんの一見明るいのにどこか孤独がある雰囲気を象徴しているかのようだった。このエッセイは星野源入門本なのかもしれない。

星野さんのエッセイの特徴として、話題が途中で変わるけど最終的に主題に戻ってきて着地するものが多い。2つの出来事を関連づけて1つのトピックにしているような。記憶力が高いのかなと思ったけれど、エッセイの中では、忘れっぽくて勉強ができないという事が書かれていた。しかし、どうでも良いことはしっかり覚えていると。どうでも良いかはさて置き、そのしっかり覚えている出来事たちが執筆中に次々と思い出されているのではないか、そんな事を予想させる文章だった。

最後に

文章を書いていると、ただの日記をエッセイに昇華するのが難しいと感じる。
お二人の文章を読んでいると、日常をユーモアのある視点で切り取りながら、読者を楽しませる文章力があり一気に読むことができた。
AIにおすすめされてなかったら読む機会を逃していただろう。
新規開拓や自分の知らない魅力的なものを知るためにAIを活用するの、おすすめです!

プロフィール
WEBクリエイター
いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング/ディレクション) 官公庁系サイトディレクション、デザインの他、企業系大規模サイトリニューアル、ECサイト運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザイン、映画レビューについて紹介します。

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