亡くなって1年。お別れの作業を行う。

choco旅・故人の旅
ライター
DECO KATO
加藤 デコ

昨年3月に他界した実父。

「亡くなったら、各自、希望する場所に散骨する」というのが家族内での取り決めだった。

父は海への散骨を希望しており、私が手配をしているのだが、

思いがけない難関が現れた。

「粉骨」である。

 

散骨のルール=「1~2mm程度の粉末状にすること」

火葬場でお骨を拾う際、どの骨もそれなりの大きさがある。

むしろ、「元の骨のかたち」であることを願っている気がする。

ところが、散骨する際にはそれを粉末状にすること=粉骨にしなければならない。

元のかたちのまま散骨すると遺棄罪になりかねないので、それはそうだ、と納得。

で、いったいどうやって、どうやって粉にするの?と家族みんなが困惑した。

調べてみると、専門業者さんがいて、お骨を預けると作業してくださるらしい。

「でもね」と母。

「預けちゃうと、戻ってきた骨がほんとにうちの骨?って感じしない?」

気持ちはわかる。じゃあ、自分たちでやるか。やろうやろう。

私は、やり方を調べて木槌と乳鉢を準備する。

某日、午後。母と娘二人、孫一人がわが家に集合した。

 

煙のような細かい粉になる

ダイニングテーブルに新聞紙を敷き、骨壺からお箸でお骨を出す。

半紙で何重にもお骨を包んで、さらにジップロックに入れ、木槌でどんどん叩く。

「木槌って…」と最初は、恐る恐るやってみた。

意外にカタイのですね、コレが。

かなり叩いたつもりでも、

手で触ってみると、砕けた部分とそうでない部分がわかる。

「さすが人間の骨。かたいんだな」変なところで全員が感心する。

そのうち、

「ダイニングテーブルの上では力を入れて叩けないのでは?」と誰かが言いだした。

そこで、気持ちよく晴れたベランダに出て、コンクリート上でやってみる。

「あ、いけるわ!」

孫(私にとっての甥っ子・大学生)がトントン!トントン!とがんばってくれた。

木槌である程度細かくなったものを、今度は乳鉢に入れてさらに細かく砕く。

根気よく乳棒ですっていると、まるで太●胃散や龍●散のように美しい粉状になっていく。

「おお!きれいな粉になった!」

こうなると、みんな作業に没頭。

紙の袋に入れる際には、骨の粉がフワンと煙のようになり、

「お父さん、おうちにも残るのね」と誰かが言った。

なんとなく全員が笑顔になっていた。

 

一区切りとはこういうことか

「本当に木槌で親の骨を叩けるのか」と心配はしたのだが、

実際に作業してみると

ベランダに出たあたりから雰囲気が変わった。

「これで一区切りだね」

そう感じたのには、明るく暖かな春の日差しも一役買ったと思う。

次は、いよいよ海洋散骨。

壺から袋に入り直した父は、海へ帰るのを静かに待っている。

こうやって少しずつお別れするんだなあ。

埋葬の方法って奥が深いなあと今さらながら私も考えさせられている。

 

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