初買いはスクレーパー

宮城
ライター
KIROKU vol.25
佐藤 綾香

 

新年最初の買い物はなんと言えばいいのか。初買い、とでも言うのだろうか。

そういう言葉を使うのなら、わたしの初買いは、スクレーパーだ。

 

スクレーパー。

2026年になってから初めて知った言葉でもある。

「スクレーパー」と聞いて正しく思い浮かべるひとはどれくらいいるんだろう。

少なくもわたしは、初めて知る謎の道具に好奇心と恐怖心をもちながら、めでたく初買いをした。

 

 

スクレーパーを求めた理由は、新しく購入した中古車のステッカーをきれいに剥がしたかったから。

車を新しく購入したのはいいのだが、その車のリアガラスには「低排出ガス車」をアピールするステッカーが堂々と貼られていたのだ。

わたしとしては、そのステッカーが貼られていることでお気に入りの車が醸すクールな雰囲気が台無しになっているのがとても嫌で、剥がせるもんならすぐ剥がしてやりたいとおもったまま、日々の忙しさに流され、「あーやだやだ!」と心の隅で悪態をつきながらやり切れなさを抱えて運転していたのだった。

しかし、時間ができた年末年始。

わたしはまずステッカーの剥がし方をネットで検索し、数々のカーステッカー剥がしの動画をチェックした。

すると、大体の“剥がし師”たちが使っていたのが、スクレーパー。

スクレーパーとはヘラ状の道具で、金属やプラスチックでできている。

カーステッカーを剥がすにはどうやら金属製のものがよいとのことで、わたしは早速ホームセンターでスクレーパーを買い、自宅で作業にとりかかった。

金属製のスクレーパーは刃先がかなりするどく、油断していると手のどこかをサクッと切ってしまいそうで、さらに言えばせっかく購入した車のリアガラスも傷つけてしまいそうで、作業前はかなり気を張っていた。

かなり強い粘着力で貼られたカーステッカーとリアガスの間にスクレーパーの刃先を入れてゆっくりゆっくり剥がしていくのだが、「いかに跡を残さず綺麗に剥がすか」という地味な作業にどんどんハマっている自分に気づき、終わってみるとさみしい気持ちになっていた。

それ以来、スクレーパーは一度も使っていないし、使う予定も一切ない。

 

スクレーパーを使って、カーステッカーを綺麗に剥がしたい。

そんな願望が日を追うごとに強くなっていく。

 

調べると、2021年4月以降に生産される自動車には、「低排出ガス車」だとか「燃費基準がどうのこうの」だとか、そういうステッカーを貼るのを廃止したという。

ということは、スクレーパーでカーステッカーを剥がす機会も徐々になくなっていくということだ。

 

どなたか、わたしにカーステッカーを剥がさせてくれないだろうか。

初買いのスクレーパーを使いますので、たぶん縁起がいいとおもいますよ。

 

 

プロフィール
ライター
佐藤 綾香
1992年生まれ、宮城県出身。ライター。夜型人間。いちばん好きな食べ物はピザです。

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