WEB・モバイル2020.07.15

子育てママのグロースハックチームが企業を成長へと導く

福岡
ママグロースハッカーズ 代表
Aiko Takahashi
高橋 愛子

近年注目されているグロースハッカーとは「企業やサービスの成長を加速させるための仕組み=グロースハック」を作る仕掛け人のこと。2016年に福岡で誕生した「ママグロースハッカーズ」は、子育てママの目線や経験を生かしたグロースハック専門のママユニットチームです。2人の子供を育てる現役ママでもある代表の高橋愛子(たかはし あいこ)さんに、ママチームを結成した経緯、現在の事業内容やワークスタイル、これから目指す理想の働き方について伺いました。

チームを組み、ママの理想の働き方を応援

最初に、「ママグロースハッカーズ」について教えてください。

クリエイターとして活躍しているママたちによって結成されたユニットです。普段は個人事業主という立場で仕事をして、プロジェクトが立ち上がれば案件に必要なスキルや経験をもったママたちとチームを組みます。結成した当初からテレビ会議システムを導入し、子育てや家事のために場所や時間に制限があるママたちの在宅ワークを可能にしています。

結成したきっかけは?

クリエイター育成スクールの「デジタルハリウッドSTUDIO福岡」が開講した「ママ向けグロースハッカー養成講座」の一期生として参加したことです。ママたちの在宅ワークを応援する企画だったので、受講者はもちろんママだけでした。講座では画像の編集やホームページ制作、そしてサイトの改善(グロースハック)についての勉強もしました。

実践の場として、受講中に福岡市からサイト制作を提案する機会をいただき、数人の受講生と「ママグロースハッカーズ」というチームを組んだのが始まりです。

以前から「ビジネスチームを立ち上げたい」という思いはありましたか?

正直に言うと、あまり考えたことがありませんでした(笑)。私は、以前、企業の広報でディレクションなどをしていました。その後、出産を機に仕事を辞め、下の子供が幼稚園に入園したので再就職先を探したのですが、自分の都合の良い時間に働くことはなかなか難しく、在宅で働くことを目指して講座を受けることにしたのです。

でも通い始めると、他の方々もいろいろな経験やビジネススキルを持ち、かつ意識が高かったので、仕組みをきちんと作れば企業に勤めなくても仕事が成り立つと感じました。たまたま組んだクラスメイトとチャンスをつかむことができ、チームで理想の働き方を作っていきたいと思いました。

ママの視点を大切に、助け合いながら日々成長

チームではどのようなプロジェクトを手掛けていますか?

現在は約30人のママクリエイターが在籍し、そのうち20人ほどが稼働しています。ママたちの在宅ワークを応援する講座で知り合ったので、当初からテレビ会議システムを使って打ち合わせや相談をしながら、それぞれが自宅で作業するリモートワークスタイルです。

ご相談をいただいた案件に合わせてメンバーの中からチームを組み、ホームページの制作やリニューアルして改善・制作したサイトのアクセス分析や運用をして、さらに改善するという仕事が中心です。

例えば、求人サイトの改善を請負ったときは、検索ボタンなど使われていなかった部分を使いやすくデザインして、既存のサイトとA/Bテストを行った結果、私たちが提案したサイトがよく使われてそのまま採用いただきました。

他にもバナー制作やアプリのダウンロード率の改善も手掛けています。これまでの成果改善の成功率は約5割という実績を誇っています。立ち上げ当初はデザイン中心のページ改善が多かったのですが、最近では新規制作の依頼も増えています。昨年はママたちのアイデアを活かしたECサイトを制作しました。

他社との違いを出すために心がけている事は?

私たちの組織はママだけで構成されているので、その特徴を活かせられるように心がけています。その中でも、特に、ママの目線で共感できる情報は何かということは大切ですね。

「自分だったらどう思うだろう?」「どういう情報があったら欲しくなるかな?」と考えながらサイト制作をします。例えば、大学の学部のホームページを作らせていただいた際には、この大学に自分の子供を通わせたいと思うにはどういうホームページがいいのかを考えました。他のサイトをチェックして良い部分を参考にして、自分たちならどうだろうと考えることを常に出発点にしています。

また、いつも私たちは納得がいくまでお客さまから話を伺うので、「しっかり話を聞いてくれる」「言いたかったことがきちんと伝わった」と喜んでいただいています。女性の視点だけでなく、グロースハックという視点でも考えますので、お客様の目的を達成するためにどうしたらいいか、本当に困っていることを見極めながら、打ち合わせをしています。

ママチームのメリットはどんなところでしょうか?

選択を迫られたときの決断力があります。結婚、出産、育児という人生に関わる大きな決断をしてきたママだからこそ、何を優先して何を捨てるかという際に、思い切れるのかもしれません。

例えば、クライアントが必要といった情報でも、本当に必要かをママ目線でしっかり考えて判断することにつながっています。

次に、お互い理解してサポートし合えるという点です。子育てをしているママは子供の年齢によって働ける時間や働き方を変えざるを得ないですよね。今でこそテレワークが浸透しつつありますが、以前はそういう働き方は少なかったので、在宅勤務は魅力的でした。子供が小さくて急病や急用で仕事ができないことがあっても、チームで対応することができます。メンバー全員がママという立場で、お互いの状況を理解し合えますからね。

それぞれが自立したプロフェッショナル集団を目指して

今後はどのようなチームを目指していますか?

5年目を迎えましたが、まだまだ未熟な部分があると思っています。それでもママたちにとって需要があるワークスタイルなので「一緒にお仕事をしたい」と言っていただける方が増えました。引越しやライフスタイルが変わっても、世界中どこにいても仕事ができるのが強みです。チームを大きくしたいというよりも、スキルを持っているママたちが、理想のスタイルで仕事ができる場所であり続けたいですね。

プロとして恥ずかしくないよう、クオリティを高めることを心がけていますので、実績が少ない方は特に、人一倍、勉強や努力をしていただいていますし、高いスキルが求められるお仕事は誰にでもお願いできるわけではありません。せっかく一緒にやりたいと言ってくれているのですから、みんなが満足して働ける環境にしていく事がこれからの課題だと思っています。

実際に何か取り組んでいることはありますか?

ママクリエイター同士が繋がって学び合えるコミュニティ「ママクリエ(mamacrie)」を2020年3月に発足しました。

ママでありクリエイターでもある方には同じ立場でしか分からない悩みがあるはずです。それを共有し、家事や子育てとの両立について相談しながら、同じ価値観を共有できる有意義な場にしたいという思いから誕生しました。これからクリエイターを目指したい方も参加してもらえるようにイベントも開催する予定です。

一緒に仕事をするメンバーへメッセージをお願いします。

お互いがスキルを磨き、クオリティーを上げ、刺激し合いながら成長していける関係でありたいです。ママグロースハッカーズというチーム名に、何かしらの成果を期待して仕事をいただいているので、それを一緒に考えて提案していけることをこの先も求めていきたいです。

取材日:2020年6月12日 ライター:井 みどり
※オンラインにて取材

ママグロースハッカーズ

  • 代表者名:高橋 愛子
  • 設立年月:2016年2月
  • 事業内容:リサーチ(調査・評価・分析)、プランニング(企画)、Webコンテンツ・販促ツールなどの制作・運営、Webシステム開発、プロモーション支援・販促支援、セミナー・イベント企画・運営、法人・団体向け研修
  • URL:http://www.mgh.plus
  • お問い合わせ先:上記ウェブサイトの「CONTACT」より

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