春はあけぼの…AIイラストは古文にどれだけ対応できるか?

神奈川
フリーライター
youichi thunoda
角田陽一

AIイラストは「古文」に対応できるか

Aiは本当に恐ろしい。
適当にネタを放り込んだだけでイラストを、小説を、脚本を、果ては短歌に俳句を詠んでしまう。
これではクリエイターの立場はいかなるか。
新人小説家はどうやってデビューすべきか、などと考えながらもふと思う
「AIは古文や漢文にどれだけ対応できるのか」

基本AIが強いのは現代文化に欧米文化である。
日本文化も含め欧米以外の文化には疎い。
これが、現代日本文ではない古文漢文で、それもイラスト指示ともなればいかなるか。

そこで試してみた

AIイラストは、古文漢文にどれだけ対応できるのか。

清少納言『枕草子』

まずは古文の基本「枕草子」でいこう

春はあけぼの

はるは、あけぼの。うしろくなりゆくやま、すこしかりて、むらさきだちたるくもの、ほそくたなびきたる

(春は夜明け頃がよろしい。だんだん山の端が白く明るくなってくる。紫がかった雲が細くたなびいているのがなんともよろしい)

まず原文を貼り付け、イラスト指示。

そして画像がこれ

よろしいんじゃないでしょうか。

夏は夜

次は夏の場面

なつは、よるつきのころはさらなり。やみもなほたるおほびちがたる。また、ただひとふたつなど、ほのかにうちひかりてくも、かし。あめなどるも、かし。

(夏は夜がよろしい。月の頃は言うまでもないが、闇夜でも蛍が多く飛び交っているのが良い。1,2匹の蛍のみがほのかに光りつつ飛び行くのがよい。雨降りの夜も、なんとも風情がある)

「月夜」と「闇夜の蛍」がゴッチャだが、それでもよろしい。

秋は夕暮

続いて秋

あきは、ゆふぐれゆふのさして、やまいとちかうなりたるに、からすどころへくとて、つ、ふたつなど、びいそぐされなり。まいて、かりなどのつらねたるが、いとちひさくゆるは、いとかし。りはてて、かぜおとむしなど、はた、べきにあらず。

(秋は夕暮れがよろしい。夕日が差せば山の端が近く見える。カラスが塒を求めて三羽四羽、二羽三羽と飛び急ぐ様は風情がある。まして雁が連なる様が小さく見えるのがよい。日が暮れれば風の音に虫の音、言葉にもできない)

とても京の都あたりの山には見えないが、これもよろしい。

冬はつとめて

そして冬

ふゆは、つとめて。ゆきりたるは、べきにもあらず。しものいとしろきも。またさらでも、いとさむきに、などいそぎおこして、すみ持てわたるも、いとつきづきし。ひるになりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶ひをけも、しろはひがちになりて、わろし。

(冬は早朝がよろしい。雪の降った朝は言うまでもないが、霜が白く降りたさま、そうでなくても、ひどく寒い朝に炭火を急いで熾し、それぞれの部屋に急いで配る様も朝に似つかわしい。昼になって温かくなれば、火鉢の火も白く灰がちになって興ざめだ)

これは…
日本建築なのはいいとしても平安時代の寝殿造りではなくて江戸時代風
それに…畳の上で直に火を焚いたら火事になりますわよ。

 

プロフィール
フリーライター
角田陽一
1974年、北海道生まれ。2004年よりフリーライター。アウトドア、グルメ、北海道の歴史文化を中心に執筆中。著書に『図解アイヌ』(新紀元社 2018年)。執筆協力に『1時間でわかるアイヌの文化と歴史』(宝島社 2019年)、『アイヌの真実』(ベストセラーズ 2020年)など。現在、歴史系の月刊誌で記事を執筆中。

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