AI vs クリエイターの私 〜その技術、敵か、味方か〜 第1話
この話は、壮大なタイトルからは想像もつかないほどの、実話ベースな日常系ストーリーである。
仕事で使っているパソコンの1つが変わった。
将来のアップデートでサポート対象外になることを見据えてのこと。
新しいパソコンでスペックも高くなり、動作はサクサクで業務効率も上がった……はずだった。
作業しているとキーボード手前の方にある、とあるキーにどうしても触ってしまう。
そこを触ると頼んでもいないのにAIが起動し、「なんすか?(意訳)」と聞いてくる。
誰だお前。
調べたところ、新しいパソコンには以前まで使っていたパソコンにはないキーが一つ追加されていた。
特に用事もないので、そのキーを誤って触ってしまってもAIが起動しないように設定したい。
しかし、新しくなったばかりなので設定画面も変わってしまい、どこをどう操作すればそのようにできるかイマイチわからない。
そうだ、聞けばいいんだ。
AIに。
キーを押し、AIを起動させた。
変わらずに「なんすか?(意訳)」と聞いてくる。
呑気でいられるのも今のうちだぞ……と思いながら、私はある言葉を打ち込んだ。
「お前を消す方法」
この記事をご覧いただいている読者の方で、古(いにしえ)のPC使いがいたらピンとくるだろう。
とあるイルカ型のサポートキャラクターに対する、いわゆるインターネットミームである(※ご存じない方はぜひネット検索で見てみてください)。
で、私も古のPC使いの一人。
このミームがなぜ生まれたのか知っているし、そして今なら当時できなかった「お前を消す」を成し遂げられるのではないだろうか。
技術の進歩に期待を抱きつつ、AIからの回答を待った。
「あ、それイルカのヤツっすよね!知ってます~!超面白いっすよね(笑)なんかぁ、ネットに上がってる情報見るとぉ……(意訳)」
なんということだ!
自分に言われていると判断していない!
いや、それよりもAIって若いから(なんだそりゃ)自分事と捉えていないのか?
これが「鈍感力」「スルースキル」「嫌われる勇気」……なんか他にも色々言葉が浮かびそうだがこの辺にしておこう。
とにかく、私が望む結論は得られなかった。
煮え切らない感情を抱いた私は、AIのプログラムそのものをアンインストールした。
コミュニケーション能力、ひいては相手が意図することをできる限り正確に捉えて求めるものを提供できないものは仕事を得られない。
酷かもしれないが、この点においてはAIも人間も同じかもしれない。
図らずも、現代社会の仕組みに気づいてしまった。
ちなみに、先述した例のキーはAIが起動しなくなっただけで、相変わらず誤って触れると謎の画面が立ち上がる。
どうしたらいいの~!!







