WEB・モバイル2025.09.04

落合陽一×日本フィルハーモニー交響楽団『null²する音楽会』を鑑賞して

東京
WEBクリエイター
日本文化×デザインあれこれ
いのうえ

毎年開催されている、落合陽一さんと日本フィルハーモニー交響楽団のコラボプロジェクト。今年は『null2する音楽会』と題して、東京と大阪・関西万博で開催されました。

私はその東京公演に初参加したので、その感想をお届けします!

興味を持ったきっかけ

落合陽一さんのイメージといえば、とにかく頭が良くて睡眠時間が短くて、難解な文章を書く人というイメージでした。
メディアアーティストだったり、筑波大学の准教授だったり、経営者だったり多方面でご活躍されていて、「よく分からないがとにかく凄い人」という印象もあります。

そんな落合さんに興味を持ったきっかけは、聴覚保障デバイスの開発に取り組まれていることでした。私は聴覚障害(難聴)があるので、いわゆる「普通の人」より音が聞こえないし、聞こえても聞き取れません。

落合さんは、私の知る限り健常な聴覚をお持ちなのかなと思います。それなのに聴覚障害と本気で向き合ってくれているんだ!と驚きと感動を覚えました。経験上、目に見えない障害は素通りされがちで本気で向き合ってくれる人は少ないです。

落合さんと日本フィルハーモニー交響楽団との最初の音楽会のタイトルは「耳で聴かない音楽会」。聴覚障害を持っている人でも触覚や視覚で楽しめるように配慮したものでした。

以降毎年行われている音楽会、タイトルは変われど、聴覚障害に対する配慮はずっと行われています。日頃、聴覚障害で苦しんでいる者としては、こういった配慮は大変有り難く感動します。

そして今年初めて参加した感想は、「毎年の楽しみにしたい」です。 聴覚保障デバイスを使って、聞こえない人に配慮した席もあったのですが、席数は限られています。なんとしても席を確保したかったので、今回は一般席でチケットを取りました。次回は聴覚障害者向けの席で楽しんでみたいと思います。

曲目は、クラシックに明るくない私でも聞いたことがある「天空の城ラピュタ」や「THE LAST EMPEROR」などもあり、敷居は高くないと感じました。

AIによりリアルタイム生成される映像がバックで流れていました。AI生成ということで、凄く不思議なヌルヌルとした映像です。音楽と無関係の映像が流れるわけではなく、関連するモチーフが取り入れられています。

例えば、一曲目の「祝祭行進曲」では、昭和初期をイメージさせるモノクロの映像で、歓喜する人々やブラウン管のテレビなどが映し出されていました。

そして一部が終わり、休憩を挟んで二部は能・狂言とのコラボレーション。
能楽師の方が舞台上を所狭しと演じます。演者の方々を囲むようにオーケストラが配置されており、演奏も彼らを包むような演奏でした。指揮の仕方が独特で、コラボレーションを実現するために様々な工夫がされているのだろうと感じました。
演奏のタイミングなど、阿吽の呼吸で素晴らしかったです。
日本文化へのリスペクトと最新テクノロジーの融合が行われている音楽会でした。

アンコールは坂本龍一さんのAqua。この開放感というべきか、トンネルを抜けたような爽快感によって私たちはnullになったのかもしれません。

各種展示もありました

会場の入り口近くの小ホールでは、聴覚保障デバイスや落合さんの作品の展示もされていました。

<聴覚保障デバイス>

  • SOUND HUG
  • ボディソニック
  • LIVE JACKET(開発試作品)
  • ORCHSTRA JACKET
  • ハグドラム、ハンドルドラム

<落合陽一作品>

  • 「ヌルを植うる、ヌルに浮かぶ」

SOUND HUGは落合さんの会社、ピクシーダストテクノロジーズ提供の機器で、丸いオブジェクトを抱くことで音を感じるものでした。優しい光を放っており、見た目も可愛らしく素敵でした。体感したかったのですが、長蛇の列だったので今回は諦めました。

SOUND HUG公式サイトはこちら

ハグドラムは体験させていただきました。上部を叩くと光が動き、音が鳴っている事を知らせてくれます。視覚的に音を知らせてくれるのは、聴覚障害者にとって親切なアイテムだと思いました。操作が簡単なので、子供から大人まで楽しめます。

ハグドラム公式サイトはこちら

落合さんの作品、「ヌルを植うる、ヌルに浮かぶ」は、 黒い板に白字で般若心経が無数に高速で流れている作品でした。文字盤を覗き込む姿勢は、まるで水鏡を見る姿勢。そこに写るものは全て「空」であると言われているような作品でした。

完全に個人的見解ですが、落合さんの言うnullは般若心経の空に近いのかもと思いました。
文字だと伝わらないのですが、写真や動画の掲載許可を得ていないので、ご了承ください。

落合さんが、Xで「(写真)持っている人いたら上げて」と呼びかけていたので、気になる方はXで検索してみてください。落合さんの作品は見ていただき各々が感じるのが1番だと思います。

最後に

表参道の交差点では「即今鏡門」と「リキッドユニバース:記号宇宙のテトラレンマ的形態生成」が展示されてます。
大阪・関西万博の落合さんのパビリオンを小ぶりにしたような展示です。
予約不要でどなたでも見れますので、ぜひ落合さんの世界観に触れてみてください!
私はもちろん拝見しました。そして来年の公演も楽しみにしています!

プロフィール
WEBクリエイター
いのうえ
WEBクリエイター(デザイン/コーディング/ディレクション) 官公庁系サイトディレクション、デザインの他、企業系大規模サイトリニューアル、ECサイト運営などに携わる。fellowsでのセミナー講師経験もあり。 ここでは個人的に情報収集・発信している日本文化とデザイン、映画レビューについて紹介します。

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