あの人だって悩んでた

東京
フリーランス記者・作家
スーパーいわちゃんねる!クリ目版
岩崎

 クリエイターが活動する上で付き合わなければならない存在…それは「締め切り」である。クライアントや取引先などの相手がいる以上、希望期日までに先方が希望するものを指定形式・指定場所に納めなければならないのはジャンルを問わず共通することであろう。

 実は教科書に名前が載って誰もが知っている文豪たちも、締め切りという存在には苦められたらしい。その様子を紹介しているのが「〆切本」(左右社、2016年)だ。

 94編のエピソード(事例?)から、生みの苦しみに襲われる文豪たちの阿鼻叫喚が垣間見える。クリエイターなら共感必至、人によっては地獄を見るような気分になるかも知れない内容である。

 個人的に衝撃的だったのが、今は亡き文豪たちが担当編集に「間に合わない、ごめん」という趣旨のハガキを送っていたことである。考えてみれば、長年語り継がれる名作を記した彼らが生きた時代は、現代のように通信インフラという概念がなく電子メールも無かった時代。電話とハガキしか意思伝達手段がない中で、文豪たちはハガキを選び自伝小説のリード文に使えそうなくらいの芸術的謝罪文を一筆認(したた)めたのである。そして、それを受け取った担当編集者の心情を想像すると…そちらにも同情せざるを得ない。

 ご興味が湧いた方は、ぜひ締め切りをすっぽかさない程度にご覧いただきたい。続編の「〆切本2」もあるそうだ。

プロフィール
フリーランス記者・作家
岩崎
フリーランス記者・作家。メディア関係の仕事に就く傍ら、書いて撮って編集・デザインして発信できる「平面系マルチクリエイター」を目指す平成元年生まれ。巳年・蠍座の女。本家ブログは「スーパーいわちゃんねる!」で検索。宮城県出身、東京都在住。上京してやりたいことに「としまえんのナイトプールで遊ぶ」を挙げていたが、閉園の可能性が示唆される報道があったことを受けて発狂している。

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