「ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―」 ポケモンと工芸の意外な親和性

金沢
ライター
いんぎらぁと 手仕事のまちから
しお

兼六園の桜が散り始めた4月の始め、国立工芸館の「ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―」へ行ってきました。

1980年代生まれの私は何といってもポケモン第1世代!初めてプレイしたのはシリーズ初作「ポケットモンスター 赤・緑」の別バージョン「ピカチュウ版」でした。いまだに小学生の息子と最新作「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」を楽しんでいます。

というわけで、春休み真っただ中の息子と半ばスキップしながら足を運んだ国立工芸館。工芸に携わる作家20人が漆工や金工、染織、陶磁などそれぞれの「わざ」を駆使して、ポケモンをテーマに72点を展示しています。

順路通り進むとまず堂々お目見えするのが、金工家・吉田泰一郎さんの「イーブイ」「シャワーズ」「サンダース」「ブースター」の4作。神々しいほどの風格と迫力はもちろん、七宝焼(しっぽうやき)の瞳が得も言われぬ美しさを醸し出しています。

吉田泰一郎
《サンダース》
2022年
個人蔵
©2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
撮影:斎城卓

陶芸家・今井完眞さんの「フシギバナ」はどっしりとした存在感と、無機質な素材のはずなのに体表の質感が伝わるようなリアルさでまるではく製のよう。

今井完眞
《フシギバナ》
2022年
個人蔵
©2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
撮影:斎城卓

可変金物作家の坪島悠貴さんは「可変金物 ココガラ/アーマーガア」を出品。作中では上からバッサバッサ来られたらちょっと怖いアーマーガアですが、作品はメカニック感が増してスタイリッシュなカッコよさがありました。

坪島悠貴
《可変金物 ココガラ/アーマーガア》
2022年
個人蔵
©2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
撮影:斎城卓

着物もいくつか展示されており、明るい色合いの琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)にピカチュウやライチュウ、モクローにオドリドリなどが散りばめられていたり、シックな江戸小紋によく見るとゲンガーとゴーストが描かれていたりと楽しい作品になっています。

城間栄市
《琉球紅型着物「島ツナギ」》
2022年
個人蔵
©2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
撮影:斎城卓

小宮康義
《江戸小紋 着尺 「ゲンガー・ゴースト」》
2022年
個人蔵
©2023 Pokémon.
©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
撮影:斎城卓

また、ポケモンわざの「かげうち」や「つららおとし」、「ピカチュウの森」をイメージした空間展示も行われているのも見どころのひとつ。ポケモンの世界観を再現した作家さんの想像力と技能には脱帽です。

ポケモンと工芸は一見かけ離れているようですが、ポケモンが現実にいたとしたらそれは基本的に野生の生き物。木や草や土など自然にあるもの、金属や鉄や火や水など工芸になくてはならないものとも非常に近いところにある生き物です。今回展示された工芸作品は、何ら違和感なくポケモンを見事に表現していました。

ゴールデンウイークには金沢旅行がてら、ポケモン×工芸の世界へ足を運んでみてはいかがでしょう。

【開催概要】
ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ― 

・出品作家
池田晃将、池本一三、今井完眞、植葉香澄、桂盛仁、桑田卓郎、小宮康義、城間栄市、須藤玲子、田口義明、田中信行、坪島悠貴、新實広記、林茂樹、葉山有樹、福田亨、桝本佳子、水橋さおり、満田晴穂、吉田泰一郎[五十音順]

・出品点数 72点

・会期 2023年3月21日(火・祝)〜 6月11日(日)
開館時間:午前9時30分〜午後5時30分
(4月29日(土)~5月7日(日)は午前9時30分~午後8時)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(5/1は開館)、5/14(日)

・観覧料
一般900円(600円・800円)
大学生500円(350円・450円)
高校生300円(200円・250円)
※( )内は20名以上の団体料金・割引料金の順で記載。
※オンラインによる事前予約もあり。
※中学生以下、障害者手帳をお持ちの方と付添者(1名)は無料。※キャンパスメンバーズ加入校の学生・教職員は、学生証・職員証の提示により団体料金でご鑑賞いただけます。
※割引対象の詳細は国立工芸館ホームページをご確認ください。
※いずれも消費税込。

・主催 国立工芸館、 NHKエンタープライズ中部、読売新聞北陸支社
・特別協力 株式会社ポケモン
・制作協力 NHKプロモーション
・後援 石川県、金沢市、北國新聞社、テレビ金沢

画像提供・取材協力:国立工芸館
(石川県金沢市出羽町3-2、TEL 050-5541-8600)

プロフィール
ライター
しお
ブランニュー古都。 ふるくてあたらしいが混在する金沢に生まれ育ち、最近ますますこの街が好きです。 タウン情報サイトの記者やインターネット回線系のまとめ記事などを執筆しながら見つけたもの、感じたことをレポートします。 てんとうむししゃ代表。

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