はじめてでも見られる!映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」ガンダム誕生40周年の凄み

東京
映像編集者
秘密のチュートリアル!
野辺五月

あざやかな閃光 新たな世界の始まり――


©創通・サンライズ

 

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』はガンダム誕生40周年プロジェクトの作品で、3部作の1作目にあたります。
原作は、1989~1990年に出版されたガンダムシリーズの生みの親・富野由悠季の小説。ガンダムシリーズは長いので、これ単体で見られるのか?復習が必要なのか?
気になるところですが、この40周年の作品……あえて前情報をそこまで入れずに見に行ってまいりました。
今回は初見の人向けに、レビューしたいと思います。

なお3部作ですが、ある意味でキリはいいところで終わっています。その点も安心できます。

さて前提として、この作品は、アムロとシャアの最後の決戦を描いた『逆襲のシャア』後、反地球連邦政府運動「マフティー」の戦いを描いています。
まず何かしらのガンダムシリーズを見ている方向けにSTORYをざっくりお伝えします。(ネタバレなし)
その後、はじめての方向けに最低限の最低限、ガンダムシリーズ全体との関係を補足したいと思います。

 

ストーリー

シャアの反乱から12年、地球連邦政府の腐敗が地球の汚染を加速させ、強制的に民間人を宇宙へ連行する「人狩り」も起きているような状況下で、連邦政府に牙をむいたのが「マフティー」。
この反地球連邦政府運動のリーダー、「アフティー・ナビーユ・エリン」の正体こそが、物語の主人公ハサウェイ・ノア。


©創通・サンライズ

連邦軍大佐ブライト・ノアの息子であり、アムロ・レイとシャア・アズナブルの理念や理想を宿した戦士である彼と、連邦軍大佐ケネス・スレッグ、謎の美少女ギギ・アンダルシアが出会うとき、運命が動き出す。


©創通・サンライズ

* * * *

「人物や社会情勢が複雑そうだけど、大丈夫?」とガンダム初心者の方は思うかもしれませんが、今回、シナリオの作りが秀逸。過去に何かあったことは匂わせられながらも、知らずとも見られるような構成になっています。

私もガンダムシリーズをいくつか視聴していますがうろ覚え部分も多い中、新しい体験として楽しむことができました。
多少乱暴ではありますが『機動戦士ガンダム』のざっくりした舞台設定と、人物関連(陣営関連)が分かれば楽しめるかと思います。

ちなみに、そんなに時間はないけれど2時間位ならという方は、『逆襲のシャア』だけチェックしてもらえれば、流れが劇的にわかりやすくなります。

以下、時間はないけれど今回の作品は見たいなと思った人に向けて、「先に分かっているといいな」を軽く……本当に最低限だけ。

※多少ガンダムシリーズのネタバレ含むのでご注意ください※

まずガンダムシリーズは基本的に、時代設定が「スペースコロニーへの宇宙移民が始まって半世紀がすぎた未来世界」です。
※地球の環境諸々ダメになって宇宙へ出ていく流れの世界線

宇宙に出た側の一部が「ジオン公国」と名乗り、連邦政府に対して独立戦争を挑んでいる対立構造。

かなり乱暴な言い方ですが、最低限それと、連邦・ジオンそれぞれのヒーロー、アムロとシャアが戦っていたことと、その後『機動戦士ガンダムZ』で地球連邦から発生した二つの勢力とジオンの残党の戦いが起きたこと(「グリプス戦役」)、
連邦から別れた勢力うち一つが「ネオ・ジオン」と改名して、新たな戦い(「第一次ネオ・ジオン抗争」)を起こしたこと……
そこから地球圏が疲弊したにも関わらず、地球連邦が手を打たなかったことに対して、再びジオン側のシャアが宣戦布告したこと(『逆襲のシャア』)

――ややこしいですが、何となくそういう流れであることさえ分かればOKです。

あとは人物、主人公ハサウェイの血縁。
細かく言えば『機動戦士Zガンダム』を見てくださいということになりますが、今作の主人公ハサウェイ・ノアは地球連邦側、アムロの戦友、ブライト・ノアの息子です。
(※「父さんにも殴られたことないのに!」という有名なセリフは、ブライト・ノアに殴られたアムロが言った言葉です)

更に細かく言えば、アムロ、シャア、そしてシャアに憧れてその元へ走ったクェス(ハサウェイが惹かれていた女子)の関係などもあるのですが、この辺りは見ていくと何となく何があったか分かるので気にせずに楽しむことも可能です。
極力名称や専門的な言葉を省いた説明ですみませんが、あまり構えずどうぞ。


©創通・サンライズ

「初見でも大丈夫ですよ」の前提を述べたうえで……

 

以下、感想。(ネタバレなし)

今作品の素晴らしいところは、ストーリーはさることながら、映像×音楽。迫力の戦闘シーン、大人も楽しめる人間ドラマ、どちらも大画面映えするものでした。
劇伴は進撃の巨人シリーズやガンダムUCで音楽を担当された澤野弘之。ストーリーを完全に盛り上げてくれること請け合い。
また3D周りと2Dアニメの表現のバランスが絶妙な戦闘シーン、美しい海面や迫力ある上空での表現――クリエイター向けにいうならば、エフェクト周りに興味ある方は必見です。


©創通・サンライズ

そして何よりそれぞれのシーンの尺=バランスがちょうどいいのです。特に戦闘シーン。ストーリーに引き込まれる中での戦いは無駄が一切なく、とにかく画面に引き込んでいきます。
また没入感あるアングル&音効果はぜひ映画館で確認してほしいです。

場合によっては4DXなどのアトラクション向きの部分もあるように感じました。私ももう一度行こうと思います。

また、ドラマ(お話)はどうかといいますと、今作、主人公ハサウェイは正直好き嫌いが別れるキャラクターであると思います。が、強烈なヒロインと、いろんな意味で人間くさいライバル側のキャラクターと、三つ巴とまではいきませんが、メインの視点が常にハサウェイのみを追うわけでもないので、うまい具合にお話を楽しめるのではないかなぁという作りです。

続きは2,3部。結末はまだわかりませんが、原作どおりにすすむのかどうか……この辺りも含め、1作目にあたる今作は「導入」であり「冒険のはじまり」でしかありません。
ここも初めて見る人にとっても、あるいは「ハサウェイかぁ」と思っている人にとっても新しさというか、「先を想像する楽しみ」がありそう。

声優陣もキャラクターと同世代に拘った配置で、脇を固める豪華なメンバー含めて、本当に素晴らしいとしか!
背景もですが、全体的にとてもスタイリッシュな映画に仕上がっており、何気なく見ても楽しめる完成度。
制作の本気を垣間見ました。ガンダム誕生40周年に思いを馳せていく方ももちろん多いと思いますが、「今更」と思う方にこそぜひお薦め。


©創通・サンライズ

開始は6月11日から。
映画館も解禁され、盛り上がった劇場でチェックするのには最適なタイミング。
更に、当日、劇場でのブルーレイDVDの販売も開始するという珍しいスタイルにも注目!

劇場で、あるいはホームシアターで、ぜひ40周年の制作の凄みをご堪能ください。

 


6月11日(金)全国ロードショーDolby Cinema™/ 4D同時公開


 

ハサウェイ・ノア 小野賢章

ギギ・アンダルシア 上田麗奈

ケネス・スレッグ 諏訪部順一

レーン・エイム   斉藤壮馬

 

アムロ・レイ 古谷

 

ガウマン・ノビル:津田健次郎

エメラルダ・ズービン:石川由依

レイモンド・ケイン:落合福嗣 

イラム・マサム:武内駿輔 

ミヘッシャ・ヘンス:松岡美里 

ミツダ・ケンジ:沢城千春 

メイス・フラゥワー:種﨑敦美 

ハンドリー・ヨクサン:山寺宏一

 

【主題歌】

 [Alexandros]「閃光」(UNIVERSAL J / RX-RECORDS)

 

【スタッフクレジット】(フルVER)

企画・製作 サンライズ 

原作 富野由悠季、矢立 肇

監督 村瀬修功 

脚本 むとうやすゆき

キャラクターデザイン pablo uchida、恩田尚之、工原しげき

キャラクターデザイン原案 美樹本晴彦

メカニカルデザイン カトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦

メカニカルデザイン原案 森木靖泰

色彩設計 すずきたかこ 

CGディレクター 増尾隆幸、藤江智洋

編集 今井大介 

音響演出 笠松広司 

録音演出 木村絵理子 

音楽 澤野弘之

配給 松竹ODS事業室

公式サイト http://gundam-hathaway.net/

公式Twitter @gundam_hathaway

©創通・サンライズ

 

 

 

プロフィール
映像編集者
野辺五月
学生時代、研究の片手間、ひょんなことからシナリオライター(ゴースト)へ。 HP告知・雑誌掲載時の対応・外注管理などの制作進行?!も兼ね、ほそぼそと仕事をするうちに、潰れる現場。舞う仕事。消える責任者…… 諸々あって、気づけば、編プロ・広告会社・IT関連などを渡り歩くフリーランスと化す。 2015年結婚式場の仕事をきっかけに、映像畑へ。プレミア・AE使い。基本はいつでもシナリオ構成!のひと。趣味は飲み歩き。

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