テレワーク時代の自己演出とは、女優ライトから化粧顔自動生成、アバターまで

東京
エンタメ批評家・インタビュアー・ライター・MC
これだから演劇鑑賞はやめられない
阪 清和

 自分をどう演出するか。それは映画や演劇の世界に生きる人々だけの課題ではなく、すべての人に突き付けられた問題。もちろん「ありのままの私をありのままに見てくれればそれでいい」という方もいらっしゃり、それはそれで大正解なので押し付けはしない。ただ、よりグレードアップした自分に会ってみたい気もしませんか?

 それは新型コロナウイルスの感染拡大によって進められてきたリモートワークでも同じこと。画面に自分が映っていれば安心していた最初のころから比べると、画面映りの悪さが気になり出す。背景は図書館や海外の絶景などに自由に変えられるソフトがあるが、自分自身は自ら演出するしかない。
 暗さや顔色の悪さを解決するには「女優ライト」だ。特定の人物の顔色をよく見せたり、より美白度を増したりするための強力な武器。SNSで公開する自撮り写真やYouTuberの動画撮影のための楕円形の「リングライト」として一般にも普及した。柔らかい光なので、写り込まない位置に置いて顔を照らせば、健康的な顔色に。通販では5000円前後。1500円の商品もある。実は今、家電量販店でも一番目立つポップを使って大プッシュ。美を求める女性だけでなく、男性も大きな関心を持っているという。

 女性にとっては在宅勤務などでテレワークのためだけに化粧をするわずらわしさがあるが、ある大手化粧品会社は新型コロナ禍に陥る4年も前に、顔を映すだけで画面上の顔に自動的にメークを施すアプリを開発済み。顔色の補正や顔以外の部分をぼかす機能のほか、ほぼリアルタイムでメークが顔の動きに連動するため不自然さはない。男性版があるかどうかは不明だが、究極の自己演出法と言ってもいいだろう。

 そもそも顔を出したくないという人には、自分のアバターを作って、それにしゃべらせる方法もある。例えば犬のアバター。実際の口の動きと連動するので、違和感はない。会社の会議なのに、そんなの大丈夫なのかという方もいるかもしれない。しかしおそらくいつもとは違う発想が飛び出してくることは間違いない。そんな遊び心を持つことも必要だと思う。

プロフィール
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阪 清和
共同通信社で記者だった30年のうち20年は文化部でエンタメ各分野を幅広く担当。円満退社後の2014年にエンタメ批評家として独立し、ウェブ・雑誌・パンフレット・ガイドブック・広告媒体・新聞などで映画・演劇・ドラマ・音楽・漫画・アート・旅に関する批評・インタビュー・ニュース・コラム・解説などを執筆中です。パンフ編集やイベント司会、作品審査も手掛け、一般企業のリリース執筆や広報・文章コンサルティングも。今秋以降は全国の新聞で最新流行を追う記事を展開します。活動拠点は渋谷。Facebookページはフォロワー1万人強。ほぼ毎日数回更新のブログはこちら(http://blog.livedoor.jp/andyhouse777/ )

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