WEB・モバイル2017.06.21

人材とITで中小企業支援。時間や仕事に縛られない働き方で日本一理解のある会社を目指す

札幌
株式会社フェリクシード 代表取締役社長 深澤 貴絵 氏
今回訪問した株式会社フェリクシードは、Web・システム、人材育成、求人、さらには運送業と業界を超えた多角経営展開を精力的に行っています。このような事業展開を行ってきた経緯、チャットワークを活用した時間や場所にとらわれないワークスタイルの確立について、代表取締役社長の深澤貴絵(ふかさわ きえ)さんに話を伺いました。

ワンストップでソリューション提案ができる

御社の事業内容を教えてください。

フェリクシードはひと言で言うと中小企業の支援事業を行っている会社です。
1年ごとに新しい事業を作りたいと思って始めた会社でもあります。1年目はweb・システム事業、2年目は人材育成・研修・セミナー事業、3年目は求人事業、4年目は運送事業を立ち上げ、現在はその4つの事業を主に展開しています。

業種がかなり多岐にわたっているんですね。

別々の事業をバラバラとやっているのではなく、実はマルチユーザーに対して、ワンストップで課題解決を提供していると捉えております。
例えば、運送会社のA社様からは、Web制作、社員教育、求人募集業務の委託を受け、さらに当社のドライバーを委託契約していただく……といった形で1社のお客様に対して、当社のサービス全てを使ってソリューション提案を行っています。
そしてそれぞれのサービスごとに別の担当者がつくのではなく、取引先様ごとのグループチャットを窓口としてその中で当社の誰でもが対応できるようなスキームになっています。

会社設立までの経歴を教えていただけますか?

学生時代はプログラミングを学んでいたのですが、結構早い段階で「私はエンジニアには向いていない」と見切りをつけました(笑)。私がやるよりできる人を集めた方が早いと思って経営側を目指すことにしました。30歳までには独立しようと考え、自動車ディーラーの営業、Web制作会社、商社を経て、ちょうど30歳の時に株式会社フェリクシードを設立し、現在5期目になります。

クライアントニーズに応え続けていた結果、多角経営に

Web制作事業で会社を設立されて、その後に全く別の事業展開をされたきっかけは何ですか?

企業のWeb制作をしていた時に、経営者の方から「社員の育成もしたいんだ」と相談されたことですね。そこで私はWebサイト制作を通して社員育成を行うことにしたんです。会社のコーポレートサイトを作ることは、実はとても大変なことなんです。会社のことをしっかり勉強して、会社に対する理解と思いがないと良いサイトは作れません。逆に言うと、良質なWebサイトを作る過程は、会社をきちんと理解することにもつながるのです。社員のモチベーションを上げる、ITリテラシーを上げる、企業理念をつくる、事業部を強くするというようなことをWebサイトを作りながら行っていきました。 当社でWebサイトを作りリリースすると、結果的に社員もしっかり育っている。最初はそのような形から始まり、その後個別の事業として展開していきました。

それに比べれば、人材育成事業から3つ目の求人事業への展開は自然な流れに思えますね。

そうですね。これも取引企業からの「人が足りない。何とかしてくれないか」という要望から始まりました。その時点で既存媒体に新規参入しても勝てないが、Web事業でリスティング広告などを扱っていたのでIndeedならうまく運用できるかもしれないと考えて、Indeedの代理業務を始めました。現在札幌を本社としてIndeedの代理店を行っているのは当社だけです。さらにそこから中小企業の求人情報に特化したフェリクシードキャリアという自社サービスが生まれました。
私たちの事業は、自分たちがやりたくて始めたというより、全てクライアントから求められて始まった事業なのです。

運送業界への参入とドライバー育成

展開中の事業の中で運送業はさらに異色ですが、なぜ運送業をはじめられたのですか?

会社設立当時、Web制作の営業先として競合が少ない業界を積極的に当たっていました。どうせならWebにあまり馴染みがない業界を攻めたほうが、チャンスが大きいのではないかと思ったのです。そこで、中小の土木建築業や運送業を中心に新規開拓していきました。
ある運送会社グループのWeb制作をしていた時にその会社が短期間で29店舗から100店舗を超えるまでに急成長したのです。その時に私は単純に「これはビジネスチャンスかもしれない」と思いました。
Web事業の伸びしろがある業界であり、成長企業、さらに運送会社のビジネスモデルはドライバーさえ確保できれば参入障壁が低い。そういったポイントがそろったという事もあり、その運送会社グループに加盟し運送事業をスタートしたのです。

ドライバーの採用や管理は社長がされているのですか?

運送ドライバーの仕事は大変です。私が直接面接をしてドライバーと契約し、北海道や東京で仕事を始めてもらうのですが、すぐに「続けていく自信がありません……」という電話やLINEが来ます。ほとんど全員からです。弱音や愚痴が出るくらい大変な仕事であることは、もちろん十分理解していますので、そんな時は私が励まし、慰め、叱咤激励しながら育てていきます。私のNLP※1の資格もコーチングの技術も、通常の社員教育はもちろんですが、ドライバー育成にも活きていると思っています。離職率の高い運送業界において、当社のドライバーは皆、辞めずに頑張ってくれています。人が成長する過程を見るのはとてもありがたく楽しい瞬間でもあります。

※1 神経言語プログラミング。 ジョン・グリンダー(言語学者)とリチャード・バンドラーによって提唱された心理療法。

チャットワークを駆使し、いつでもどこでも仕事ができる体制作り

業務上のやり取りのほとんどをチャットワークで行っていると伺いました。

人数を増やさずに少数精鋭・多角経営で利益を上げ続けられる理由の一つがチャットワーク※2です。
新しいクライアントと取引を始める際には必ずチャットワークのアカウントを取得してもらっています。
札幌の企業であれば最初は当社に来社してもらうこともありますが、その後の仕事はほぼチャットワークでのやり取りで進めます。クライアント先への訪問はもちろん、メールや電話もほとんど使いません。
お客様の満足度とは、いつでも連絡が取れて、どこよりも早く返事が来て、スピーディーに仕事が進むことに限ると私は思っています。そのためには「会う」ことよりも、その時間を使ってクライアントの悩みを解決した方が良い場面も多いと思うのです。

※2 クラウド型ビジネスチャットツール

チャットワークを業務に取り入れたのは業務効率化のためですか?

それもありますが、そもそもは会社に出社しなくても仕事ができる体制を作りたいと思ったのです。これからの時代、男性も女性も子育てや介護と仕事を両立していかなくてはいけません。そういった時に、家庭の事情を理由に仕事を諦めなくてもすむようにしたかったのです。
当社には子育て世代の女性も多いです。在宅勤務のスタッフも含め、子供の行事や体調不良などにも柔軟に対応しながら働いています。移動時間ほど無駄なものはない、会社に戻ってくる時間があるなら出先や自宅で仕事を済ませてしまえばいいと思っているのです。私自身、札幌本社には月に2、3日ほどしか出社しませんがどこにいてもチャットワークを使って問題なく仕事を進められています。

「働き方改革」が叫ばれる、今の時代の流れにあった働き方ですね。

テレワークや在宅勤務などを取り入れている会社も増え、国もワークライフバランスを標榜しています。私たちは設立当初から「日本一働き方に理解のある会社」を目指して取り組んできました。理解とは、社内のスタッフに対しても、クライアントに対しても、時間を大切に使うということです。チャットワークを活用すれば仕事も会議も面接も、いつでもどこでもできて、時間や業務に縛られずに働くことができます。連絡さえ取れるようにしておけば、どこで仕事をしたって構わないのです。
しかし、誰にも何も言われず自由に働ける反面、一方では自分で自分を管理することができる自立した人でないと難しい働き方でもありますね。

知恵を絞ってより良い働き方や事業を確立していきたい

セミナー風景

現在課題とされていることはありますか?

少数精鋭と言いながらも、やはり優秀な人材の確保が大きな課題ですね。現在の人材不足の状況はどこの企業も共通だと思いますが、Web業界も顕著ですね。求人事業をやっていて業界の単価や予算が判っているだけに、思い切って採用に予算をかけられないという悩みもあります。
だからと言って人材不足を成長できない理由にはしたくないので、人がいなくても売り上げが上がり続けるという「人に依存しないサービス提供」として多角経営を行っているという側面もありますね。

全く違う業界だとリスク回避にもなりますね。

伸びしろがあるものや、特に需要がある事業があればそれに絞ろうと考えたこともありました。ただ、ありがたいことに今のところ全ての事業に需要があります。
特に現在、運送業界は業界的にも大改革中ですからね。価格がどんどん上がっているのでありがたい反面、人件費も上がり超売り手市場で人を集めるのが大変です。私たちは求人事業も行っているので自社のドライバーを採用できていますし、取引先の企業へもindeedを活用して人材募集を行っています。

今後の展望を教えてください。

5つ目の新規事業も考えています。自社独自のサービスを作りたいと構想中です。ただ、この事業をやるからそのためにこの人を採用したいではなくて、出会ったスタッフやご縁のある人にできる仕事を増やしていきたいと考えています。
自分がやりたいからではなく、今まで同様クライアントからニーズのある事に取り組んでいきたいですね。
そしてそれをベースに、仕事や時間にとらわれない働き方で新たな事業を確立したいです。
当社がミッションとしているのは「中小企業の支援と人材の活用」。その人に合った仕事は必ずあるので、それを見つけるための情報が集まる会社にしていきたいです。

取材日:2017年6月6日 ライター:小山佐知子

:株式会社フェリクシード

  • 代表者名:代表取締役 深澤 貴絵(ふかさわ きえ)
  • 設立年月:2012年10月
  • 事業内容:Webサイト制作、システム構築、人材育成コンサルティング、セミナー事業、indeed代理店、軽貨物運送事業など
  • 所在地:〒060-0063札幌市中央区南3条西1丁目1-1 南3西1ビル7F
  • 電話番号:011-209-0055
  • URL:http://felixeed.jp/
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