ゲーム2026.09.09

対話型AIバーチャルヒューマンを開発 Awwが描く新しい接客体験とIP展開の未来

東京
株式会社Aww 取締役 CCO
Sara Giusto
沙羅 ジューストー

リアルな人と見間違うほどの存在感を放つバーチャルヒューマン事業で、先進的な取り組みを進める株式会社Aww(アウ)。AIも駆使した先端プロダクトの開発、ライセンシングビジネス、IP展開で成長を遂げる同社の軸は「クリエイティブで新しい真実を作る」こと。そう話すのは、同社の取締役かつCCO(チーフ・コミュニケーション・オフィサー)を務める沙羅 ジューストー(さら じゅーすとー)さんです。沙羅さんに会社の成り立ちや事業内容、クリエイターの働く環境などについて聞きました。

会社にとっての重要なIP「バーチャルヒューマン」の定義

御社では「バーチャルヒューマン」という先進的なプロダクトを扱っていらっしゃいます。まず、バーチャルヒューマンがどのようなものか教えてください。

バーチャルヒューマンの定義としては「デジタル上で作られた人間」だといえます。創業当初は「CGで作られた人間」だと説明していました。ただ、近年はCGに限らずさまざまな技術を組み合わせてバーチャルヒューマンを作れるようになったので、「CGで作られた人間」という説明だけでは収まらなくなりつつあります。より細かく定義するのなら「人間と見間違えるほどにリアルな、データで作られた人間」がふさわしいかもしれません。弊社としては、バーチャルヒューマンを重要なIP(知的財産)だと位置づけています。

御社がバーチャルヒューマンの事業に取り組まれた背景も、教えていただければと思います。

もともと、代表取締役の守屋(貴行)をはじめとする数名が立ち上げた会社です。起業する以前に、守屋は映像プロデューサーやマッチングアプリ創立の経験があり、メディアのあり方が大きく変わっていくのを目の当たりにするなかで、世の中がもっと「個の時代」になっていくのではないかと考えたそうです。彼自身は当時の思いを「究極の個体を作りたかった」と話していまして、自身がプロデューサーとして率いた小さなチームが最初に作ったのが、弊社の第1号バーチャルヒューマンである「imma」(イマ)だったと聞いています。

2019年に会社が設立されて以降、沙羅さんはどのように御社へ参画されたのでしょうか。

2020年だったと思います。当初は、通訳としてスカウトされたんです。当時、すでに企業やアーティストから注目を集めていたimmaが出演するイベントがあり、私は広告代理店のスタッフとして通訳を担当していました。弊社ではバーチャルヒューマンへの海外からの問い合わせが殺到していたようで、ディレクターから「通訳できる人間がいないので、プロジェクト単位で協力してもらえないか?」と相談を受け、副業として加わりました。

その後は正社員となり、2024年4月には「バーチャルヒューマンと共に生きる」をテーマに、世界的な講演イベント「TED Conferences」にも登壇させていただきました。現在の取締役かつCCOとなったのは、昨年10月です。それまではずっと、通訳はもちろん、各バーチャルヒューマンのプロデュースを担っていました。今は会社全体を代表するポジションに変わり、国内外に向けて会社として「バーチャルヒューマンの意義や可能性をいかに発信するか」を考えるのが主な役割となっています。

大作RPGなどを手がけたCGスタッフも在籍する環境

御社の事業内容について、改めて教えてください。
バーチャルヒューマンの開発、ライセンシングビジネスと、それらを包括したIP展開が主な事業です。企業からの相談を受けて、バーチャルヒューマンを一から作る事業もあり、ディズニー社とのコラボレーションで生まれたella(エラ)などがいます。

また、今年7月にAIエージェントサービス「HITO」をリリースしました。これまでに培った知見を生かし、対話型で接客などができるバーチャルヒューマンです。現状では最大80言語に対応しており、モニターを介して人間と変わらない自然な会話ができるため、ホテルや空港の案内役、企業の受付など、さまざまな場所で活躍できると期待しています。

最近では、東京・池袋にあるKDDI社のポップカルチャー体験拠点「POP Culture Style IKEBUKURO」です。日本語、英語、中国語を話せるimmaの弟・Zinn(ジン)が、来場者とのコミュニケーションをはかりました。

実際、1人のバーチャルヒューマンを作る場合には、どのような工程があるのでしょうか。

まず、ムードボード(事前にデザインの世界観やコンセプトを明らかにするためのビジュアル資料)を作ります。例えば、1人の男性を作る場合には「一般的なビジネスパーソン風なのか」「クリエイター風なのか」などをチーム内でディスカッションし、最初に大枠の設定を決めるんです。大枠の設定が決まったら、次は、髪型や髪の色、細部のパーツなど、キャラクターの性格もふまえながらCGで具体的なビジュアルを制作していきます。

先端技術を具現化される御社のクリエイティブでは、どのようなスタッフの方々が働いていますか?

大作RPG「ファイナルファンタジー」シリーズでメインキャラクターのモデリングを担当したスタッフ、美空ひばりさんのバーチャルヒューマンプロジェクトに関わったスタッフなどがいます。VTuber(バーチャルYouTuber)のモデリングを手がけていたスタッフもおり、領域としては、エンターテインメント業界出身の人間が多いです。バーチャルヒューマンの制作チームには、必ずしもバーチャルヒューマンやCGの分野出身とは限らない、様々な国籍やバックグラウンドを持つ発想やユニークなスタッフが集まっています。

バーチャルヒューマンが「そこにいる未来」へ

未知なる部分も多いであろう事業ですが、どのようなクリエイターの方々を求めているのでしょうか。

バーチャルヒューマンの可能性を見いだすべく、新たな提案ができる方です。いまだに前例のない領域ではありますし、自分なりにバーチャルヒューマンの新たな価値を考えて、私たちやクライアントもすぐにうなずくほど、魅力的な提案ができる方を歓迎しています。また、日々アップデートされるAIの情報を積極的にキャッチアップしながら、時代の流れに合わせて柔軟に動ける方も求めています。何事にも面白さを見いだし、好奇心のままに働きたい方にとっては活躍しやすい環境だと思います。

弊社では、入社時の肩書きのまま仕事を続けるケースはまれですし、業務は常に変動します。CGの制作スタッフとして入社して、1年たらずで生成AIクリエイターになったスタッフもいました。現在、サンフランシスコのベンチャーキャピタルから資金調達を受けており、会社としても次の成長フェーズに入っています。AI技術の進化がすさまじいスピードで進んでいる分野だからこそ、「常に変化を受け入れ、常に新しいことに挑戦する」といった気持ちで、仕事に取り組む方と一緒に働きたいです。

最後に、御社が思い描く会社の展望を教えてください。

今の会社には「クリエイティブで新しい真実を作る」という軸があります。第1号バーチャルヒューマンの「imma」が誕生した当時は「バーチャルヒューマンって何?」という反応が目立ちました。最近では、ようやく存在が認知されつつありますが、活躍の場としては広告やInstagramなどが多く、タレントのような活動が中心で、それ以上の広がりはこれからです。将来的には弊社でリリースした「HITO」のように、対話型のバーチャルヒューマンが日常に普及する未来を私たちは思い描いています。

理想とするのはアニメ「ドラえもん」に登場するドラえもんとのび太くんの関係性のように、バーチャルヒューマンが「人の相棒としてそこにいる未来」です。SNSが浸透した今は、たとえ物理的にふれられなくても「存在」を感じられるようになりましたし、バーチャルヒューマンが日常に溶け込み、新たな存在として受け入れられることが、私たちにとっての「新しい真実」になっていくと願っています。

取材日:2026年7月13日 ライター:カネコ シュウヘイ

株式会社Aww

  • 代表者名:守屋 貴行
  • 設立年月:2019年5月
  • 資本金:4億9,000万円
  • 事業内容:バーチャルヒューマンの開発やエージェンシー、AIサービスの開発
  • 所在地:〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町26番1号セルリアンタワー15階
  • URL:https://aww.tokyo/
  • お問い合わせ先:https://aww.tokyo/contact/

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