WEB・モバイル2023.12.27

取引先の「マーケティング室の一員」として伴走し、沖縄企業の成長を底上げ

沖縄
株式会社ISLAND 代表取締役
Yuya Nakatukasa
中司 雄也

Webマーケティング・ブランディング事業とコーチング事業という、一見異なる二つの事業を柱に構える株式会社ISLAND。その理由は、20代という若さでいくつもの会社を経験した代表取締役、中司 雄也(なかつかさ ゆうや)さんの、苦い経験によるものでした。なぜ二つの事業を手がけるようになったのか、その真意を伺いました。

1年あまりで3つの会社を経験し、辛酸をなめた20代

中司さんの会社設立までのキャリアを教えてください。

神戸出身で、大阪の大学を卒業して東京のIT系ベンチャー企業に入社しました。入社早々派閥争いのようなものに巻き込まれてしまい、「この環境はよくない」と、大手の広告制作会社に転職することにしました。しかし仕事は雑用のようなことばかりで面白味を感じられず、再び転職を決意。3社目はWeb制作会社の営業で、新しく創設された沖縄支社を任されることになり、沖縄に転勤しました。
沖縄支社には私1人でしたので、当然営業だけをしているわけにはいかず、新規客を開拓しつつディレクター業も兼ねることになり、独学でWebディレクションの知見を深めていきました。しかし次第に東京にいるメンバーとの意思疎通が図りづらくなってしまい、辞めざるを得ない状況に。転職しようかとも思ったのですが、会社員でいることに若干嫌気が差したこともあり、フリーランスディレクターとして生きていくことを決意しました。

まだお若かったのに、短期間で随分ご苦労されたんですね。それからお一人でどのようにお仕事を増やしていったのですか?

交流会に積極的に参加したり、伝手をたどったりして徐々にネットワークを広げていきました。どうにか接点を作れた企業に対しては提案を繰り返すことで、少しずつお仕事を依頼していただけるようになりました。
今から5年ほど前の当時は、フリーランスでWebマーケティングをしている人は珍しい状況でした。沖縄への移住者も今に比べて少なかったので、「若い移住者が頑張っているようだ」と、依頼してくださった方に応援のお気持ちもあったように感じます。

「できます!」とくらいつき、地道に経験を重ねる。広がった事業の幅

どのようなお仕事を手がけていたのでしょうか?

主にWebやSNSマーケティングを手がけていましたが、経験がないことでも「できます!」とがむしゃらにくらいついていきました。知識や技術が追いついていませんでしたので、必死で勉強しながらです。
印象的な仕事としては、広告や映画などを制作する会社に業務委託でかかわるなか、新しく立ち上がったホテル事業に参画してゼロから売上を伸ばす一端を担えたことです。
またある時は、沖縄のテレビ局からの依頼でInstagramのキャンペーンを成功へ導いたり、県内の大手IT企業と組んで、プログラミング教室やイベントの運営をディレクションしたり。さまざまな案件を地道に積み重ね、人脈も仕事の幅も広げていきました。
しばらくフリーランスとして続けていたのですが、仕事の規模が大きくなるにつれ、法人化した方が交渉のしやすさを感じるようになってきたため、2020年に起業することにしました。

起業のタイミングで、チャンスが多いであろう東京などの首都圏へ行くことはお考えにはならなかったのでしょうか?

まったく思いませんでしたね。沖縄に移住して以来、たくさんの方の助けで仕事を続けられました。とても感謝していて、沖縄のために少しでも貢献できる環境にいたかったんです。また私のような仕事をしている人が、東京に比べて沖縄は少ないので、チャンスが多いと考えたことも沖縄で起業した理由の一つです。

伴走し改善を続け、クライアント自身のマーケティング力をUP

現在の事業内容は、引き続きWebやSNSマーケティングが主流ですか?

はい。それに加えてデジタルの領域以外でも、長いお付き合いのクライアントさんからは、新商品のプロモーションからブランディングまで、より深く会社や商品を伝える役割も請け負っています。たとえば、沖縄の泡盛酒造メーカー「菊之露」さんの新商品のCM制作やイベントをディレクションしたり、企業理念の策定にも参画したりしています。

近年では沖縄にもWebマーケティングの会社が増えています。競合他社と比較したとき、御社ならではの強みを教えてください。

改善を徹底的に行う点だと思います。Webサイトを作って納品して終わり、というビジネスにはしたくないんです。サイトが完成したからといって売上や集客力がすぐにUPするわけはなく、施策を打ち改善し続け、「伴走する」ことを大切にしています。
弊社の立ち位置は、「クライアントのマーケティング室の一員」というイメージです。私自身、帰属意識が高い性格なので、しっかりクライアント企業の内部に入って一緒に改善策を練っていくことが性に合っています。また、このやり方であればいつでもクライアントさんにアドバイスできるので、クライアント自身もマーケティングの知見を深めることができ、より強い組織になれると思っています。

中司さんがクライアントを教育するという側面もあるわけですね。

そうですね。教育係的なスタンスでどんどん社員の方々を巻き込んで、一緒に施策を作っていくようにしています。クライアント自身で考えた施策が目に見えて売上や集客の増加につながるとうれしいものですし、やりがいにもつながります。その醍醐味を味わっていただきたいですね。

苦い経験から、「コーチング」を活用した事業を手がける

御社の事業は、もう一つ「コーチングとトレーニング」が主軸になっていると伺いました。どのような事業か、詳しく教えてください。

資格を有したコーチ約20人が登録する「HALERU(ハレル)」というプラットフォームを作り、運営しています。組織課題を抱える経営者や経営企画、人事などの悩みをヒアリングし、1on1コーチングも含めて、課題に最適な案とコーチをご提案するサービスです。トレーニングでは、このコーチングを活用した人材育成プログラムを実施しています。

マーケティングとは異なる性質の事業のように感じますが、なぜ手がけるようになったのか経緯を教えてください。

二つの理由からです。一つ目は、私が会社員時代上司に恵まれず、成長実感を味わえなかった苦い経験からです。一方フリーランスになってからは、話を聞いてもらえたり問いかけられたりする機会が増え、成長スピードが格段に早くなりました。つくづく何かを教えてくれる上司やコーチという存在は必要だと実感し、その不可欠な存在との出会いを運任せにしないために、コーチングサービスを広めたいと思うようになりました。
二つ目の理由は、プログラミング教室を運営していたときの経験からです。自分の意思を強く持ち言語化できる生徒は上達が早く、それを教えるコーチの存在はやはり重要だという考えに至りました。

中司さんはコーチングのスキルはお持ちだったのでしょうか?

しっかりと学んだことはなかったので、一から勉強しました。とはいえこのサービスの目的は私がコーチとして活動することではなく、「コーチング」という価値観を広めることです。基本的には講師にコーチングはお願いし、私は運営やディレクションに集中できる体制を整えています。

利用状況はいかがですか?

リリースから3年ほど経つのですが、しばらく順調とは言いがたい状況が続いていました。当初は個人向けサービスを想定していたのですが、「どんなコーチを選べばいいのかわからない」という声が多く、さらに無料体験だと満足度が高いものの、費用を払ってまでコーチングを受けようとはならないようで。そこで1年ほど前から法人向けサービスを作ったところ、数社からお申し込みを頂きました。今後はもう少し営業に注力し、より多くの会社へご提案していきたいと思っています。

コーチングの価値を高め、沖縄企業のマーケティング力の底上げに貢献したい

これから取り組みたいことを教えてください。

最近は全国にコーチングサービスを提供する会社がどんどん増え、比例してコーチングを導入する企業も増加傾向にあります。その波はまだ沖縄には届いてはいないものの、もし増え始めたら弊社は先頭に立つ存在でありたいですし、「コーチング」の価値を沖縄に広める一役を担いたいと思っています。
また、マーケティングとコーチングは相関すると思っており、事業をどちらかに特化するのではなく、両輪で走っていきたいです。マーケティング事業ではクライアントさんに伴走し、教育係のような立ち位置でかかわることを大切にしています。これこそがまさに「コーチング」で、クライアントの担当者の育成にはコーチングのスキルは必須です。やはりWebやSNSマーケティングは自社スタッフが担うのが一番です。特に沖縄の場合、ITリテラシーが低いために、外注した広告代理店や制作会社のいいなりになってしまうケースが多々あるようなので、そのような状況を、弊社のマーケティングやコーチングのサービスで少しでも改善できればうれしいですね。

最後に、どのようなスタッフと一緒に働きたいですか?

SNSやWebを使ったものだけでなく、CM制作やイベントなど、クライアントのニーズに合わせて幅広く提案することを信条にしています。だからこそ、どんな仕事でも楽しめる方がいいな、と思います。「自分はこれの専門家」とか「これしかできない」という方より、やれないことや、やったことのないことまで意欲的に取り組める柔軟な方に、ぜひ参画していただきたいですね。

取材日:2023年10月6日 ライター:仲濱 淳

株式会社ISLAND

  • 代表者名:中司 雄也
  • 設立年月:2020年12月
  • 事業内容:マーケティング事業、ブランディング・クリエイティブ事業、コーチング事業、組織、人材開発事業、教育事業
  • 所在地:〒904-0004 沖縄県沖縄市中央1丁目7番8号2階
  • URL:https://islandinc.co.jp/
  • お問い合わせ:上記サイトの「Contact」フォームへ

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