WEB・モバイル2022.10.05

住民が憩う、築100年の元お遍路宿でWeb事業を展開? 徳島・大阪・台湾で培ったご縁をつなげ、「遊び心」で包みたい

徳島
株式会社まめぞうデザイン 代表取締役社長
Dozono Seiya
ドウゾノ セイヤ

徳島県美波町にある築100年の元お遍路宿に本社を置き、大阪と台湾にもオフィスを構える「株式会社まめぞうデザイン」は、Webデザイン制作やシステム開発、プロダクトデザインなど、Web関連事業を幅広く展開しているクリエイター集団。元々、「犬のトリマーになる勉強をしていた」という代表取締役のドウゾノ セイヤさんは、あることをきっかけにWeb業界へ。今では、「それ、面白そうやな!」と思ったことにどんどん取り組んでいます。例えば、本社をクリエイターが集まる複合施設にしてみたり、密かにプロダクト化を企んでいたり…。そんなチャレンジ精神旺盛なドウゾノさんに、これまでの歩みや将来への展望を聞きました。

犬のトリマーからWebクリエイターへ転向! Webの世界にドハマり

起業に至るまでのキャリアを教えてください。

私は日本人の父と台湾人の母とのハーフで、幼少期は台湾で育ちました。10歳で大阪に移り住み、それからは主に日本で生活しています。
私は犬が大好きで、特にトイプードルをこよなく愛しており、高校卒業後はドッグショーで修行したり、トリマーになるための勉強をしたりしていました。20代前半は、バンド活動に精を出していた時期もありましたね。
どれも楽しく、とても魅力的な生き方ではあったのですが…。
自分には、それらで生活していくビジョンが見えなかったので、一旦、立ち止まることにしました。
時が経ち、20歳から付き合い始めた妻との結婚を考え始めたこともあり、「自分も楽しく、関わる相手も幸せになる仕事は、何だろうか?」と思い、好きな方向に進んでいった流れからWeb関連の仕事になっていきました。

どうしてWeb関連の仕事で起業しようと思ったのですか?

自分が好きな事、興味のある事に進んでいった時期は、ちょうどAppleがiPhoneを販売し始めたタイミングでした。iPhoneの見た目も機能も、何もかもが新鮮で見事にハマり、必死にiPhoneの動向を追いかけていたのです。
また、現在は「5ちゃんねる」という名称に変わりましたが、当時は「2ちゃんねる」というインターネット掲示板の全盛期で、私も夢中になって見ていました。
インターネットやアプリの世界がとても楽しくて仕方がなく、「自分はWeb業界に関わる仕事が性に合っているのかもしれない。ちょっとやってみようかな?」と思い始めたのです。
実は、その後大阪で2ヶ月アルバイトで制作会社に入りがむしゃらに勉強させてもらい、そこで基礎的なことを学びました。そこからすぐに友人と起業し、人脈を広げていきました。1年経ったころ、一旦友人とは離れてしまったのですが、今まで培った経験もあり、これをきっかけに自身で起業する事になりました。

「思い入れ」があった徳島を拠点に 国境もまたいでオフィスを展開

本社を徳島に置いたのは、なぜでしょうか?

本社の徳島県海部郡美波町は、妻の地元です。結婚する前から美波町には毎月訪れていて、田舎町の町並みや古民家が「夏休み感」があり、そこにとても思い入れがありました。
何かあれば助けてくれるような方が多く、美波町で仕事をするにあたって困った事は無かったです。フリーランスとして仕事をしている中で、同じようにフリーランスとして独立する方とのご縁があり、一緒に仕事をやっていこうという話から古民家を見つけて、2016年に美波町で創業しました。

本社は築100年の元お遍路宿 地域住民が集う憩いの場に

まめぞうデザインの徳島本社が入っている「at Teramae」について教えてください。

まめぞうデザインのオフィス物件を探していたところ、四国八十八か所 二十三番札所「薬王寺」の前にある、築100年近い元お遍路宿(弘法大師が修行した88の霊場をたどる巡礼のなかで使用された宿)を、幸運なことに無償で譲り受けることができたのです!
ただ、家具から使いかけの文房具に至るまで、あらゆる全ての物がそのままの状態で…。
「クリエイターや面白いアイデアを出す人たちが集まる場所」として、仲間たちと一緒に、2年半かけ、片付けや改修を行いました。
1階にコーヒースタンドとデザイナーズショップ、2階に各社のデザイン会社と弊社の事務所を構え、2018年に体験型総合施設としてオープンすることができた時は、「頑張って良かった…」と思ったものです。
地域の憩いの場や、中学生の職業体験を受け入れるなど、地域のお役にも立っているようで、at Teramaeの知名度もずいぶん高まり、人の生き方・働き方のデザインに一役買っているとご好評のようです。

西日本から日本一のクリエイター集団を目指すことが「自分らしい」

大阪や台湾にもオフィスがあるのは、なぜでしょうか?

冒頭でもお話ししたように、大阪は私が長く暮らしてきた場所です。
東京ではなく大阪に拠点を置いたのは、東京に行けば案件も多く、たくさんのクリエイターがいるからこそ、あえて西日本で挑戦したいと思ったからです。東京と比べると、西日本で目立つクリエイタ―が少ないので、「クリエイティブを勉強したい」と思ったときには、どうしても東京のクリエイターに会いにいかないといけない。だったら「自分が西日本で目立つクリエイターになろう」と思い、西日本を拠点にいしています。
西日本で日本一のクリエイター集団を目指す方が、自分らしいかなと思いますしね。
台湾の台北には去年、ワーキング・ホリデーに来ていた台湾出身の男性を責任者に置いて、オフィスを構えました。
台湾は私が幼少期を過ごした場所でもありますし、母方の親族も多いので、台湾を拠点としてビジネスがしたいと常々思っていたのです。
今はコロナ禍でまだ動きが取りづらいですが、いつか台北へ社員旅行に行きたいものですね。
「会社を大きくして、20~30人で社員旅行に行く」というのが、私の密かな夢です。

「無料で構いませんから!」と実績重ね 人の輪で仕事を受注

まめぞうデザインを起業するにあたり、苦労した点はありましたか?

美波町は薬王寺があるので、お遍路さんが通る遍路道があり、おもてなしの文化が息づく街です。何か困ったことがあれば、周りの皆が助けてくれていたので、正直なところ、あまり苦労らしい苦労はありませんでしたね。
最初は「無料で構いませんから!」と行政書士さんにお願いしてWebサイトを作らせていただいたり、サテライトオフィスの誘致で地方と都市をつなぐ「株式会社あわえ」さんからお仕事をいただいたりして、いくつも実績を作らせてもらいました。
そんな風に、人や環境に恵まれていましたし、起業したタイミングも良かったのかもしれません。その後も人が人を呼び、お仕事を頼んでくださるケースも多く、本当にありがたいことです。

まめぞうデザインの事業内容を教えてください。

Webサイト制作、Webシステム・スマートフォンアプリ開発、プロダクトデザイン制作などを幅広く行っています。
写真や動画も撮れますし、イラストもOKです!
Webに関することは何でも行うので、一社で完結できるのが、まめぞうデザインの強みの一つですね。

まめぞうデザインのこだわりや重視している点を教えてください。

まめぞうデザインは、クライアントファーストではなく、最終的にWebサイトを見てくださるエンドユーザーファースト。
もちろん、クライアントさんのご意見は大切ですし、尊重したいと思っています。
しかし「わかりました!」とクライアントさんのお願いをなんでも聞く、イエスマン的な仕事は行いません。
Webサイトは「何か」を強化するために存在するものなので、広告としてたくさんの人に見てもらい、アクションを起こしてもらうことが重要です。
エンドユーザーが「おっ!このWebサイトには、どんなものがあるんだろう?」とワクワクするような、そのWebサイトの持つストーリー性を大切に、これからもデザインを通して世界に素敵な記憶をちりばめていきたいと思っています。
また、「電車の広告を、人は0.2秒しか見ていない」と言われています。
広告として、わずか0.2秒の中で「おっ!調べてみよう」と思ってもらわなければならない。
制作対象の雰囲気や、お客さんの要望・想いといった情報をギュッと凝縮して、「0.2秒で伝わるものを作る」という点を意識しています。

楽しくユーモアの溢れる「モノづくり」がモットー

どんな人と一緒にお仕事をしたいですか?

Web関連の仕事というのは、「モノづくり」だと思っています。 サイトの機能性であったり、創造性であったり、作り込むことを楽しめる職人気質な人が、Web関連の仕事に向いている気がしますね。
Web業界は日々、新しい技術が現れる、変化の激しい世界です。そういった変化に敏感に、興味や好奇心を持って接することのできる、時代の流れに乗れる人であることも重要な要素の一つでしょう。
それ以上に大切なのは、「我々と同じビジョン・マインドを持ち、同じ方向を目指すことができるのか?」という点に尽きます。やるからには楽しく、ユーモアを大切にできる人材が手をあげてくださったら、最高です!

まめぞうデザインの今後の展望について、教えてください。

インターネットがこの世に現れて、30年くらい経ちました。今では手のひらサイズの端末を使えば、地球の裏側の人とですら、タイムラグがほとんどない状態で顔を見ながら会話ができるし、これまで何日もかかってやっと手元に届いていた商品が、翌日や当日に受け取る手配もできます。
この加速していくWeb業界に身を置きつつも、あえて今、「お客さんの顔を見て、現金で売り買いする仕事」も、ゆくゆくは展開していきたいと思っています。
ハイテクとローテク、どっちも味わえたら楽しいですよね。「遊び心」を忘れず、ワクワクする気持ちを大切に、これからも挑戦していきます!

取材日:2022年8月18日 ライター:山口 夏織

株式会社まめぞうデザイン

  • 代表者名:ドウゾノ セイヤ
  • 設立年月:2016年3月
  • 資本金:1,820,000円
  • 事業内容:Webサイト企画・制作・運営
    Webシステム企画・開発・運営
    スマートフォンアプリ企画・制作・開発・運営
    プロダクトデザイン企画・制作
    プログラム開発
    マルチメディア企画・制作
  • 所在地:〒779-2305 徳島県海部郡美波町奥河内字寺前179-1
  • URL:https://mamezoudesign.com/
  • お問い合わせ先:https://mamezoudesign.com/contact

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