WEB・モバイル2013.03.22

子供が夢中になる通信教育!? 『スマイルゼミ』 ジャストシステム担当者に聞く

Vol.92
株式会社ジャストシステム スマイルゼミプロジェクト 寺尾房代さん、大島教雄さん、飯尾明彦さん、原田洋佑さん
デジタルデバイスが多様化してきた昨今、ついに専用タブレットPCで子どもが勉強する家庭学習通信教材が登場!この通信教育システムを開発したのは、一太郎・ATOKでおなじみの株式会社ジャストシステム。あえて激戦の通信教育分野に殴り込みをかけた真意を、スマイルゼミプロジェクトの寺尾房代氏、大島教雄氏、飯尾明彦氏、原田洋佑氏に直撃インタビューしました!

学校向けソフトに実績あり! ジャストシステムが通信教育分野に参入!!

株式会社ジャストシステムといえば、ビジネス向けソフトの印象が強く、通信教育分野に参入と聞いて驚きました。

寺尾氏:実は弊社と教育分野との関わりは、かなり深いものがあるんですよ。小学校向けのPCソフト「ジャストスマイル」は10年以上前から提供しており、現在では8割以上の学校に導入されているほどの実績があります。ジャストスマイルは学年別に習った範囲内での漢字を使って入力のできるワープロ機能はもちろん、プレゼンテーションやお絵描き、動画や地図作製などができる総合ソフトで、小学校での授業に利用されています。

8割の小学校に導入されているということは、はじめてPCを触って動かしたのが御社のソフト、という子どもが多いということですね!

寺尾氏:ジャストスマイルの開発・提供において、小学校の先生と情報交換をさせていただくなかで、はじめてPCに触れる子どもたちにも使いやすい機能やインターフェースについてのノウハウがたまりましたし、教育現場の要望や課題にも一つひとつ対応してきました。よく言われていることですが、今はゆとり学習の時代から転換し、小学校で教える内容が増えています。学校でも今の学習範囲をしっかりと定着させるためには家庭学習がこれまで以上に大切だ、という意識が強くなっているのを感じ、小学校の授業で活用するソフトの開発ノウハウがあるジャストシステムだからこそできる家庭学習システムがあるのではないか、と考えたのです。

専用タブレットPCをデバイスに採用 タブレットならではのメリットを追求

御社の通信教育教材「スマイルゼミ」は、専用タブレットPCを使っているというのが大きな特徴ですね。

画像はスマイルゼミ公式ページより

[画像]スマイルゼミ公式ページより

大島氏:現状の通信教育は「紙」が主流ですが、ソフト開発会社ですからそのノウハウを活かした通信教材を提供したいと考えました。現在はいろいろなデジタルデバイスがあり、どのデバイスで展開するか検討しましたが、タブレットPCは起動が速く、思いついたときにすぐに始められる。大人も同じだと思いますが、普通のPCでは、目の前に座ってスイッチを入れるまでに時間も気合いも必要ですからね(笑)また、子どもにとって専用のタブレットPCを持つ、ということは、親のPCを借りるのとは違った特別なことで、「自分のもの」という意識を持って興味をもってもらえるのではと思いました。

「紙」の通信教材にはない、タブレットのメリットとは何でしょうか?

大島氏:今回の開発にあたり、様々な通信教材を分析しましたが、紙の持つ温かみや達成感はとてもすばらしいと感じました。子どもが頑張ったテキストを親が丸付けしてあげたり、提出した教材を丁寧に手書きで添削してもらえる喜びは、紙の通信教材ならではですよね。しかし、毎回親が丸付けするのは大変ですし、添削も提出してから返ってくるまでタイムラグがあり、解いた時の考え方を忘れてしまう、というデメリットがあります。回答したらすぐにその場で○×がわかり、すぐに解説を見ることができる、その即時性はタブレットに軍配が上がると思います。

正解がすぐその場でわかると、ゲーム感覚もあって勉強へのモチベーションも上がりますね!

寺尾氏:今回の開発にあたっては「親がつきっきりでなくても、子どもが一人で自主的に勉強できる」ことを重視しました。最近は働いているお母さんも多いので、なかなか子どもの勉強を見る時間がなく、通信教材を与えても「本当にやっているの?」と心配し、気が付いたら教材をためている…ということが多かったと思います。

原田氏:スマイルゼミでは、子どもが勉強したらその時間と単元を登録された親のアドレスにメールでお知らせする仕組みを導入しています。また、勉強した時間だけゲームができるようになっているので、子どもはゲームがしたければ勉強するしかありません(笑)

それは素晴らしい(笑)他にタブレットならではのメリットはありますか?

大島氏:やはり「動き」や「音」で理解を促すことができることが大きいのではないでしょうか。たとえば、理科の天体の単元などは、いくら図解で示されても、星や太陽の動きはピンときませんよね。それがタブレットだと、1日の星や太陽の動きを地球を自転させながら解説することができます。国語の漢字の書き順も、紙の上で数字で示されてもわかりにくいと思いますが、実際に順に動かしながら漢字が成り立つ様子を見せて、その順で書かないと正解がもらえない、となれば、しっかり理解できます。スマイルゼミでは、「ワーク」で理解を促進し、「問題」演習で定着を図る仕組みになっています。

ソフト開発のノウハウを活用 子どもにも直感的にわかるインターフェース

学習の内容によっては、タブレット上で理解させるのが難しいテーマもあると思います。

大島氏:そこは、ジャストシステムとしての腕の見せどころですね!課題を解決するためにはどのようなユーザーインターフェースが必要か、ディスカッションを重ね、かなり緻密な動きまで計算して作っています。これまで実績として積み上げてきたコンテンツ開発のノウハウが詰まっていますよ。

確かに、インターフェースがとてもシンプルで、直感的に操作がわかりますね。

原田氏:子ども向けですが、変に子供らしさを全面に出さないスッキリしたデザインにしています。とはいえ、子どもには大人のルールが通用しないので、できるだけアイコンやイラストを使って具体的に操作の流れを示す必要があるのですが、ポップになりすぎて飽きが来ないようにしています。このあたりのさじ加減は、学校向けのソフトを作ってきたノウハウが活きていますね。

保護者向けのページもわかりやすいですね!

原田氏:学習データについて、グラフや数値など詳しいデータをもちろん見ることはできるのですが、それだけでは保護者の方は読み取る手間がかかります。 日々の学習のタイムライン表示やまとめコメントなどをメインの情報にして、パッと見ただけで進捗や学習結果が把握できるようにしています。

大島氏:子どもが勉強をしたらメールが親のアドレスに届き、その時にコメントを子どもに返す機能があるのですが、子どものやる気がアップするようにポジティブな内容のコメントのテンプレートをいくつか用意してあるので、選ぶだけで子どもに励ましの言葉をすぐに返してあげることができます。しかも、単元の内容によってプルダウン表示できるテンプレートの文章を変えているので、子どもにとっては親がしっかりと勉強を見てくれて励ましてくれる、とモチベーションアップにつながります。家庭学習はやはり親子のコミュニケーションが重要なのですが、親の時間がなかなか取れない悩みも解決できると思います。

「試してわかる」「すぐにアップデートできる」 タブレットならではの武器で激戦分野を勝ち抜く!

親にとってもうれしい機能が満載ですね!しかし、通信教育分野は超激戦。マーケティング戦略はどのように考えているのでしょうか?

飯尾氏:もちろん最後発なので厳しいことは承知していますが、タブレットPCの良いところは、触って試してもらえることです。ショッピングモールなどで体験イベントを実施していますが、すぐに採点できる即時性やメールのやり取りなど、試してみればスマイルゼミの良いところをわかってもらえますね。2012年の12月より開講したばかりですが、会員の目標値はクリアできています。

順調なスタートですね!まだ始まったばかりですが、今後の展望や戦略はどのように考えていますか?

大島氏:スタートしてから、うれしいことに様々な要望をいただいています。タブレットのいいところは、こうした改善点をすぐにアップデートできることなので、ますますわかりやすく、使いやすく、良いものにしていきたいと思います。また、新たに「英語講座」をスタートします。音が出せるタブレットPCのメリットを最大限に活かしていきたいですね。さらに、スケジュール機能やコミュニティ機能の追加や強化も考えています。タブレットならではのメリットを追及していきますので、ぜひ今後のスマイルゼミに注目してください!

株式会社ジャストシステム 寺尾氏/大島氏/原田氏

インタビューにご協力いただいた
株式会社ジャストシステム 寺尾氏/大島氏/原田氏

◆スマイルゼミ|タブレットで学ぶ小学生向け通信教育 http://smile-zemi.jp/

取材/2013年3月13日 取材・文/植松

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