「作り手」と「消費者」を結ぶ人気スポット ~ 2k540 AKI-OKA ARTISAN

Vol.107
(株)ジェイアール東日本都市開発 2k540運営推進センター 齋藤順平さん
JR山手線の秋葉原駅と御徒町駅間の高架下に、個性あふれる店が集合した「2k540 AKI-OKA ARTISAN」が2010年12月にオープンしました。オープンから3年半経った現在も、週末にはたくさんの人が押し寄せる人気スポットとなっています。「2k540 AKI-OKA ARTISAN」の運営会社である(株)ジェイアール東日本都市開発の2k540運営推進センターの齋藤順平さんに、コンセプトや現在の状況、そして今後の展望について伺いました!

秋葉原駅と御徒町駅の間に生まれた 「職人」が集う場所

2k540中通路

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」の名前の由来を教えてください。

「2k540」は鉄道用語で、東京駅からこの場所までの距離を表しています。「AKI-OKA」は秋葉原駅と御徒町駅の中間にあること、「ARTISAN」とは「職人」を意味するフランス語です。このエリアは伝統工芸の職人がもともと多い地域でもあり、作り手が集う「ものづくり」をテーマとした施設として立ち上げました。

運営会社のジェイアール東日本都市開発は、さまざまな不動産開発を手がけていますね。

近年は、耐震補強工事に伴い、高架下の用地開発プロジェクトが増えています。郊外であれば駐車場、住宅街であれば保育園など、立地のニーズに合わせて開発します。秋葉原駅と御徒町駅間では、ものづくりをコンセプトにした「2k540 AKI-OKA ARTISAN」の他にも、神田青果市場跡に食をコンセプトにした「CHABARA AKI-OKA MARCHE」を開発・運営しています。

「作り手」であることが出店の条件 工房併設の店舗も

2moa

ジュエリーの工房・ショップ「2moa

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」に出店する条件は?

「作り手」であることが絶対条件で、仕入れ品だけを売ることは認めていません。店内に工房を構えて販売することもできます。出店の際には工房や工場を見学して、「作り手」であることを確認させてもらっています。もちろん、自分で作った商品と、それに合う仕入れ商品を一緒に使うことを提案して販売することは問題ありません。また、基本的には「食べもの」ではなく「使うもの」の出店に限っています。ただ休憩したりランチをする場所も必要ですので、「食べもの」のお店も、ものづくりのコンセプトに合う数店舗に出店してもらっています。

店舗の入れ替えは頻繁にあるのでしょうか?

立ち上げから3年半の現在は、そんなに頻繁に入れ替えはありません。この3年半で6店舗ですね。通常のショッピングモールに出店すると、家賃は固定金額にプラスして売上に応じた歩合を払う必要があるのですが、「2k540 AKI-OKA ARTISAN」では家賃のみです。そのあたりも入れ替えが少ない理由かもしれません。

作り手と買い手のコミュニケーションが生まれる場 メイドインジャパンならではのこだわりが人気

職人さんなど「作り手」の方は、接客に慣れていない方も多いのではないでしょうか。

約50店舗中、30店舗以上が初めての出店でした。今まで商品を作っているだけで、直接お客様に接したことがなかったので、最初は挨拶もうまく言えなかったり、大変な思いをした作り手も多かったようです(笑)。 ですが、お客様の顔が見えて、直接商品を手に取ってもらったり買ってもらえたりするのは、作り手にとって最高のやりがい、手応えになります。お客様との会話の中で、何気ない一言から新商品開発につながった例もあるんですよ。

inoui

inoui」の革小物

買い手としても、作り手の顔を見ながら買い物ができるのは、とても新鮮ですね!

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」の店の販売員は、作り手としての活動もしているので、苦労やこだわりなど商品の裏話を聞いたり、実際に作る現場である工房を見ながら買い物ができます。オーダーメイドなどが可能な店舗もあるので、ものづくりに興味があったり、こだわりがある人には「本当に欲しいものが手に入る」と好評です。

人気の商品は?

「日本のものづくり」をテーマにした場所なので、メイドインジャパンならではのこだわりがある商品が人気ですね。例えば、日本製のスニーカーや、オーダーメイドの傘は、なかなか他では手に入らないこともあって人気があります。また、観光地の浅草、上野、秋葉原に近いことから、海外からの観光客向けの旅行ガイドへの掲載率も高いので、海外のお客様が多いんですよ。海外の方には、やはり日本らしいものが人気ですね。

企画を変えて毎月ワークショップを開催 お店同士のコラボレーション企画も!

ワークショップ風景

ワークショップの様子

販売だけではなく、自分で作れるワークショップも頻繁に開催されています。

各店舗の作り手が直接教えるワークショップは、企画を変えて毎月マルチスペースで開催していますし、常に体験できる工房併設のお店もあります。夏休みには子どもでもできるワークショップも計画中です。ぜひ夏休みの自由研究に!

毎月開催されるワークショップは、いろいろな企画があるので、どれに参加しようか悩みます!多くの作り手が集まっていると、お互い刺激し合って新しい企画が生まれそうですね。

作り手同士、お店同士のコラボレーション企画も生まれています。あるお店のオリジナルキャラクターを使って別のお店が傘を作ったり、販売されている陶器を使って食事を提供したり。運営会社としては、どんどん自由に企画してもらいたいと思っています。もちろん、鉄道の運行を妨げない限りにおいて、ですが(笑)。

日本のものづくりを支えたい 長く大切に使う日本文化を受け継ぐ場に

(株)ジェイアール東日本都市開発 2k540運営推進センター 齋藤順平氏

(株)ジェイアール東日本都市開発
2k540運営推進センター
齋藤順平氏

「2k540 AKI-OKA ARTISAN」には魅力的な商品がたくさんありますが、どんな時にオススメですか?

個人的には、「他ではなかなか買えないもの」「長く使えるもの」が多くあるので、大切な人へのプレゼントを探している時にオススメです。大切な人には、ちょっと気が利いていて、長く使ってもらえるものを贈りたいですよね。プレゼントを買うだけでなく、作ることもできますよ!

今後、「2k540 AKI-OKA ARTISAN」をどのような場に成長させていきたいですか?

「ものを買う場所」は多くあるので、「ものを作る場所」であり続けたいです。日本のものづくりは安い海外産の製品に押されて難しい状況にあり、危機感を持って日本のものづくりを支えるためにはじめた取り組みでもあります。作り手から直接買うと、ものに込められた思いや心が見えるので、長く大切に使おうという気持ちが自然と芽生えてきます。大切にものを使う昔ながらの日本文化を受け継ぐ場でありたいと考えています。

取材日:2014年6月3日 ライター:植松

「2k540 夏祭り 2014」のご案内 夏祭り

7/26(土)、27(日)に、2k540のイベントスペースで「2k540 夏祭り 2014」を開催します! 2k540にショップを構える作り手による夏祭りは、「やわらかたわし手作り体験」や「革小物のワークショップ」など、ものづくりの店ならではの屋台が並びます。 他にも楽しい催しが盛りだくさん!みなさまのお越しをお待ちしております。


UAMOU人形すくい

「2k540 夏祭り 2014」ものづくり縁日を楽しもう!! 場所:2k540 AKI-OKA ARTISAN イベントスペース 会期:7月26日(土)・27日(日) 時間:11:00~18:00 詳細:公式ページで順次公開

 
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