水の重さに耐えられる?! @Greenwich+Docklands International Festival(GDIF)

Birchmere Lake in Thamesmead アビーウッド駅からバスで13分。
夏の日差しの残る夕暮れ時の9月初めのこの日、向かったのはロンドンの極東テムズミードの町にあるBirchmere Lake。以前にもコラムで紹介した夏の終わりのパフォーマンスアートの祭典、Greenwich+Docklands International Festival (GDIF) の一環です。普段は静かなフナなどの釣り場としても知られるBirchmere Lakeですが、この日は湖のコンクリートの階段が野外劇場の座席に変身。湖の中央には階段のある不思議な白い彫刻のようなオブジェが浮かんでいます。

The Weight of Water by Panama Pictures
白いオブジェは実は舞台。赤いボートに乗って現れたのはスマートな装いのスーツを着た人々。離島で地球温暖化について話し合う、各国の政治家を示唆しているようです。パフォーマンスはオランダの劇団、Panama Picturesによる「The Weight of Water」。その隣には小さな水上櫓が組まれ、トランペット奏者と歌手が生演奏で応戦。

The Weight of Water by Panama Pictures
初めは互いに友好的だった各国代表。しかし挨拶後間も無く、それぞれの利権をめぐり、言い争いが始まります。そしてそれはやがて取っ組み合いの喧嘩にエスカレート!大きな船のような舞台も、彼らが左右に動き回るたびにそのバランスを崩しシーソーのように上下します。

The Weight of Water by Panama Pictures
クジラのような大きな舞台が左右に水しぶきを上げて揺れ動く様子にただならぬものを感じたのか、水鳥たちもその様子をうかがいに観客の頭上を旋回し始めます。

The Weight of Water by Panama Pictures
やがて彼らは右派と左派の二組に完全に分かれてしまいます。バランスを失い、揺れ動くシーソー、一番上の端の人危ない!

The Weight of Water by Panama Pictures
その瞬間、ボトンと音がして一人が真っ逆さまに水の中へ!

The Weight of Water by Panama Pictures
シーソー状の舞台は落ちた人を釣り上げては水に浸し、また釣り上げては水に浸しを残酷に繰り返します。スーツに革靴で水にどっぷり浸かる様子はさぞかし重くて気持ち悪いだろうなあと思わせます。そして、その上下の動きは潮汐のようであり、温暖化によって潮の満ち引きに関係なく水没する国を暗示しているかのようでもあります。世界的に過酷になっていく水害、そしてその犠牲者を暗示しているのかもしれません。

The Weight of Water by Panama Pictures
しかし、その水没した人もようやく助けられ、仲良くフィナーレ。

The Weight of Water by Panama Pictures
日の沈む直前拍手喝采の中、迎えのボートに乗り込む役者さん、そして気持ちよさそうに真っ先に水に飛び込む役者さんたちの姿がありました。







