「妊活・出産・産後・育児」身体と生活の変化への“現実的なケア”に特化したD2CブランドFrida
先日(2026年1月)、歌手のメーガン・トレイナーが代理母出産で第三子を授かったというニュースを見ました。あれ、そんなにお年だったかな?(失礼)と思って年齢を調べると現在32歳。代理母出産と聞くと私の中で高齢というイメージがあったので、理由を調べてみたところ、第一子の出産時に緊急帝王切開を経験し、身体的にも精神的にも負担が大きかったこと、その後の妊娠・出産では合併症のリスクが高まる可能性があったこと、自身の健康とすでにいる子どもたちとの生活を守るため最も安全な選択として選んだ、ということでした。
View this post on Instagram
代理母出産は、実際には体のことや健康上の理由で選択する人も多いようです。その他にはLGBTQ+カップルが子供を持つための選択肢としてもありますし、無知だったなと反省。
日本で代理母出産は実質不可能ですが、アメリカでは毎年およそ750人の赤ちゃんが代理母出産によって生まれているそうです。しかし、出産の形がどうであれ「産後」そして「育児」が始まります。代理母でも、帝王切開でも、自然分娩でも、自分の体や赤ちゃんのケアが必要になる現実は変わりません。
今回ご紹介したいのは、妊活、出産、産後、育児まで続く身体と生活の変化への“現実的なケア”に特化したD2CブランドFrida(フリーダ)。
View this post on Instagram
Fridaは、赤ちゃんの鼻水やガス、産後の出血や膣、妊活・人工授精など、大切なのにあまり語られてこなかった領域に向き合う商品を生み出し、次々と話題を呼んでいます。
まずは商品をご紹介しましょう。
Fridaの一番のヒット商品である、赤ちゃんの鼻水吸引機「NoseFrida」。親が口で吸引する方式のものと、電動式のものがあります。親が口で吸引するものは、使い捨てフィルターがチューブの途中に入っているので、吸引しても鼻水、菌、ウイルスが親の口側に来るのを完全にブロック。パーツ分割して洗いやすい設計になっています。電動式は親が吸引することに抵抗がある人向けで、モーター部分以外は洗える設計になっています。
View this post on Instagram
View this post on Instagram
NoseFridaに続く第二のヒット商品、赤ちゃんのガス抜きチューブ「Windi the GASPASSER」。赤ちゃんが「出したいのに出せない」ガスをそっと外に逃がす、医療現場で使われる直腸カテーテルと同じ原理のもの。ストッパー付きで深く入りすぎない、一回の使い切りで衛生的となっています。
View this post on Instagram
Fridaを“ベビーブランド”という枠を超えた存在にした商品、産後ケアキットの「Postpartum Recovery Kit」。特に会陰ケア用品が素晴らしいです。排尿や排便の後に会陰や外陰部を洗い流す「逆さま噴射の洗浄ボトル」、会陰や膣周辺の腫れ、痛みを冷やして緩和する「瞬間冷却ナプキン」、会陰や外陰部の回復を助ける泡状ケア「会陰用回復フォーム」など、産後の女性の体のことがとても考えられたラインナップとなっています。
View this post on Instagram
ブランドを一段階上に引き上げた戦略的ヒット、自宅用人工授精キットの「At-Home Insemination Set」。採取した精液を腟内の適切な位置にやさしく届ける「アプリケーター」と、精液を清潔に採取・保持する「再利用可能な精液採取カップ」、使い方ガイドのセット。価格は49.99ドル(約7,780円)。
View this post on Instagram
2025年の最新ヒット商品で、手動搾乳とシリコン吸引を一台に統合した搾乳器「2-in-1 Manual & Silicone Breast Pump」。電源不要で静か、パーツを取り外して洗いやすい搾乳器で、「道具を増やさない」という発想から生まれました。Time誌の2025年The Best Inventions(Parenting部門)に選ばれています。
View this post on Instagram
産後・育児・妊活用品自体は決して新しいものではありません。それでもFridaが際立つのは、「本当に欲しかったのに、誰も本気で作ってこなかったもの」を、妥協なく形にしてきた点です。その背景には、創業者チェルシー・ハーシュホーンさん自身の実体験が、ブランドの判断軸として一貫して存在しています。
チェルシーさんには現在4人の子供がいます。チェルシーさんが妊娠していたのは2013年頃だそうですが、一番最初の子供が新生児の時に鼻づまりを起こした時、当時、アメリカで使われていたスポイト型の吸引器ではまったく役に立たず、途方に暮れたそうです。実は私も同じスポイト型のものを病院からもらいましたが、全く取れませんでした。日本人の友達に相談したところ、日本で売られている「ママ鼻水トッテ」を勧められて、その取れ具合に感動したのを覚えています。ちなみに、NoseFridaは「ママ鼻水トッテ」と同じ構造です。
View this post on Instagram
耳鼻科の先生が考案し、長年ママ・パパに愛用されてきたという丹平製薬「ママ鼻水トッテ」。
赤ちゃんの鼻づまりに困っていた時、チェルシーさんが近所のお母さんからもらったのが、スウェーデンでは一般的だった鼻水吸引器「NoseFrida」でした。見た目には強い抵抗を感じつつも、実際には驚くほどよく取れるという体験が「なぜ本当に使えるものほど、家庭用として語られてこなかったのか」という疑問へとつながります。
この疑問をきっかけに、チェルシーさんは2014年、NoseFridaを起点としたビジネスを立ち上げます。ただしそれは、単に製品を売るための事業ではありませんでした。使い方を隠さず説明し「気持ち悪い」と感じられがちな行為も含めて、現実を正直に扱う、そのためのトーンやデザイン、伝え方までを含めて再設計する試みでした。
実際に育児を通した体験を基に、ガス抜きチューブ、産後ケア用品、妊活アイテムへと領域を広げながら、Fridaは一貫して、彼女自身が経験してきた“誰も教えてくれなかった現実”を、プロダクトとして形にしてきています。
View this post on Instagram
チェルシーさんと4人の子供たち
育児ケアのFrida Baby、産後ケアのFrida Mom、そして2023年には、妊活・不妊ケアラインのFrida Fertilityを立ち上げます。
View this post on Instagram
このラインで扱うものは、排卵、精子、人工授精、性行為と妊娠の関係であり、Frida Fertilityの商品を発売後、アルゴリズムや審査基準によって制約を受けることもありました。そこでFridaは、制限なく体系的に届けるための場所として独立した教育的コンテンツ「Frida Uncensored」を立ち上げました。内容は年齢チェック付きで、検閲されがちなトピックを率直に扱い、健康情報として提供しています。
Frida Uncensoredはこちらから ※率直な医療・身体表現を含む内容のため、公共の場での閲覧にはご注意ください。
Frida Uncensoredは、2025年のFast CompanyのInnovation by Designにも選ばれました。
育児や産後、妊活といったテーマは、どうしても真面目で慎重な文脈で語られがちです。しかし、Fridaはその真逆とも言えるような商品も世に出してきています。そこがFridaが従来からある育児・産後ケア用品ブランドと違う点です。
Boogie Bites(鼻水グミ)
View this post on Instagram
「子供は鼻水を食べるのが好き」という面白い結果を元に作られた鼻水色のビタミンC入りグミ。
Breast Milk Ice Cream(母乳アイスクリーム)
View this post on Instagram
母乳アイスクリームは、実際の母乳を使ったものではなく、母乳の味わいをイメージしたフレーバーとして開発されたコンセプト商品。2025年8月にはブルックリンでポップアップストアも出ました。
Frida Balls(男性用プロテクショントランクス)
View this post on Instagram
子どもからの不意な一撃や、おもちゃやボールが当たった際の衝撃から、男性の大切な部分を守る下着。父の日向けの商品として発表されました。
こういった商品を発表する理由は単なる話題作りではなく、育児や身体のケアを「正しさ」だけで囲い込まないこと。重くなりがちなテーマにあえて遊びや余白を持ち込むことで、身体の話題を日常の会話に引き戻すという狙いがあるのだと思います。育児や産後、妊活は全て日常にあることですから。
本社はフロリダ州マイアミ。2014年の立ち上げから数年で製品数を100点以上に拡大。現在では、世界50を超える国で販売され、米国の大手小売チェーン(Target、Walmart、CVS、Walgreens、Amazonなど)で展開するまでに成長しています。
Fridaは今後、プレティーンやティーン向けのケアラインにも目を向けているといいます。どんな商品が生まれるのかはわかりませんが、「身体の変化」を恥ずかしいものではなく話していいものに戻すこと、でしょう。商品以上に、その空気づくりにこそ意味があるのかもしれません。
(参考)
Frida’s Chelsea Hirschhorn Wants to Make the Gross Parts of Parenting Easier – Glamour
How Many Surrogate Births Per Year: Statistics of Newborn Babies – WCOB

foxylilly.com
Instagram: @foxylilly






