「子どもに安心できるお菓子を作りたい」から3年で3,400店舗での販売!日本人女性が開発したMochiグミブランド

Vol. 77
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Sayuri Fujii
藤井さゆり

サンフランシスコ在住のタレント、野沢直子さんが毎年夏に日本へ帰国されていることをいつもYouTubeで知るのですが、去年だったか今年だったか、彼女がとあるYouTube番組に出演していた時に「アメリカでお餅が定着している」と仰っていて、飼い犬にMochiと名前を付ける人もいる、という話をしていました。確かに、お餅はそのまま英語でMochiと呼ばれるほど、こちらでも浸透している印象はあります。

 

特に、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコといった都市部で、アジアンフード・スイーツの人気が高く、Mochiアイスクリーム(雪見だいふくの小さいバージョン)が普通のスーパーマーケットにも売られていますし、インスタでも「Mochiドーナツ」(いわゆるポンデリング)のような映えを意識した商品が話題を呼んでいます。

 

 
 
 
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実際に、北米市場ではお餅カテゴリーが急成長しているというデータがあります。食のトレンドとして「食感」や「異文化ミックス」が重要になっており、お餅の“chewy(もちっと感)”や“pillowy(ぷにっと感)”が人々を虜にしているようです。

 

 
 
 
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このような背景でわかる通り、今とても注目されている日本の伝統食材「お餅」ですが、今回ご紹介したいのは、Issei Mochi Gummiesです!

 

 
 
 
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Issei Mochi Gummiesは、お餅のようなもちもち食感が楽しめる、新感覚のグミキャンディ。米粉とタピオカ粉を使い、着色料・人工甘味料・ゼラチンを使わず、自然素材にこだわって作られています。グルテン、ナッツ、大豆、乳製品などのアレルゲンも不使用、non-GMOで体にやさしいおやつです。

 

フレーバーは、サワーアップル、サワーチェリー、サワーウォーターメロン、ストロベリー、ゆず、ピーチ、マンゴー、みかん(タンジェリン)があり、2オンス(約56.7グラム)で4.99ドル(約731円)、4オンス(約113.4グラム)で6.99ドル(約1,069円)です。

 

アメリカのスーパーで売られているグミは、約191グラムで2.99ドル(約455円)ほどなので、それに比べるとIssei Mochi Gummiesはかなり高めです。ただし、「non-GMO」「グルテンフリー」「プラントベース」といった特徴を持つため、一般的なグミより原材料コストが高く、そのぶん価格にも反映されていると考えられます。

 

 
 
 
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レビューでは「柔らかくて弾むような食感が最高」「自然な味がして罪悪感がない」など、食感や素材の良さを評価する声が多く、全体的に高評価です。ただし、「味が少し薄い」「お餅のようなもちもち感が足りない」「人工的な味に感じる」といった意見も一部あります。

 

私もストロベリー味を食べてみました。最初は少し薄味に感じましたが、やさしい甘さで飽きずに食べられます。一粒が小さく食べやすいのもポイント。「自然由来のフレーバー」「人工甘味料不使用のケーンシュガー使用」とある通り、つい食べすぎても罪悪感がありません。一部では「お餅感が足りない」との声もありますが、私はしっかりお餅らしい弾力を感じ、人工的な味もせず好印象でした。

 

 
 
 
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パッケージデザインについて見てみましょう。Issei Mochi Gummiesは3周年を迎えるタイミングで、先月(2025年9月)に大々的にリブランドを行っています。

 

 
 
 
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 (旧パッケージ)

 

旧パッケージは、白やペールグレーを基調に、ロゴやフレーバー名にアクセントカラーを取り入れたデザイン。たとえば、ストロベリー味では濃いピンク、ゆず味ではグリーンを使用するなど、フレーバーごとに差し色を変えることで味の識別を図っていました。全体としては控えめでミニマルな色使いが特徴。プレミアム感や素材の良さを引き立てています。色のトーンも柔らかく、強いインパクトよりも安心感や静けさ、そして上質さを演出していました。

 

 
 
 
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(新パッケージ)

 

新デザインは、より明るくカラフルなトーンへと生まれ変わることで、棚での視認性を高めながら、Joyful=楽しさにあふれ、Heritage-proud=ルーツを誇りに、Innovation-driven=革新に突き動かされる、というブランド精神を表現。

 

また、従来の2オンスサイズに加え4オンスサイズを追加。味や食感も改良され、見た目だけでなく体験そのものをアップデートしました。ミニマルで静かな印象から一転、発色と楽しさを前面に押し出したリニューアルとなっています。

 

次に、商品名の“Issei“ですが、「アメリカにおける日系“一世“移民」から来ており日本のルーツや過去の物語を食を通して大切に守り、ルーツに忠実でありながら新しい方法を受け入れるということを意味しているそうです。実際に、創業者のMika Shinoさんは日本で生まれ、幼少期に両親とアメリカに移住した「日系一世移民」。

 

 
 
 
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 創業者のMika Shinoさん

 

MikaさんがIssei Mochi Gummiesを始めたきっかけは、二人の息子さんがグミキャンディを欲しがる中、既存のグミ製品に使われているゼラチン・人工着色・人工香料・化学的安定剤といった成分に疑問を抱いたことでした。「子どもに安心できるお菓子を作りたい」という思いのもと、「自宅でお餅を小さく切って“モチグミ”として試していた」という実験的なスタートでした。

 

当時趣味として作っていたモチグミでしたが、他の親からどこで食べられるのか聞かれたり、食品業界にいる友人からも強く勧められ、ブランドを立ち上げることに。

 

彼女の目標は、ゼラチンや人工的なジャンクフードではなく、米から作られ、噛み応えがあり、クリーンで、常温保存可能なグミを作ることでした。しかしなかなか難しいことがわかり、フードサイエンティストを雇って、保存料を使わずに常温保存できるモチグミを作る方法を2年間かけて研究したそうです。

 

 
 
 
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ブランドを立ち上げたのは2022年で、同年の9月に自然派食品のスーパーマーケットWhole Foods Marketの全米192店舗で販売されることに。現在、Issei Mochi GummiesはAmazonやWalmartを含む、数多くの店舗で販売されています。

 

商品はこれまでに、Noshアワードへのノミネート、ヘルシーグルメアワード、Nourishアワードなど食品やブランド業界からの表彰を数多く獲得。また、Mikaさん自身は、2024年スティービー賞最優秀女性起業家賞を受賞し、Inc.誌の2024年女性創業者特集号で女性創業者第2位に選ばれています。

 

公的に開示された企業の年商・売上高の明確な数字は確認できませんが、2024年10月時点でのインタビューで「約3,400店舗での展開」と言及していること、数多くのアワードを獲得し注目されていることからも、成長が著しいスタートアップと言えると思います。

 

最後に、Mikaさんのビジネス成功の秘訣の一部と言える、インタビューからの引用をご紹介してコラムを締めたいと思います。

 

私は企業の成長に細心の注意を払ってきました。それが、オフィスを借りていない理由の一つです。資金調達のために外出する必要がないように、できる限りコストを削減しようとしました。営業担当者とグラフィックデザイナーを雇い、夫はただ入社しただけです。私には(業界の)知識はありませんでしたが、標準的なやり方を知らなかったため、多くのコストを削減できたため、チャンスにも繋がったと思います。

 

いかがでしたでしょうか。ちなみに本社はメリーランド州のベセスダという所にあります。このベセスダは、ワシントンDCから車で約20分の距離で、メリーランド州は、バイオ/食品イノベーションのホットスポットでもあり、移民人口比率が高く、アジア系文化への理解度も高い地域。Issei Mochi Gummiesのブランド戦略に合致している場所と言えそうです。

 

(参考)

Mochi trend overview – tastewise

BIOGRAPHY – Issei Mochi Gummies

Issei Mochi Gummies Celebrates 3-Year Anniversary with Bold Rebrand, New Flavors, and Expanded Product Line – Specialty Food Association

MIKA SHINO OF ISSEI MOCHI GUMMIES – CWBS

Mochi Gummies Break Into Whole Foods with Mika Shino – SHELF TALKS

Hitting the ‘sweet’ expansion spot – Food Business News

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。
foxylilly.com
Instagram: @foxylilly

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