2034年冬季ユタオリンピック・パラリンピックのロゴが発表!賛否両論あり、あなたはどう思う?
オリンピックの開会式までちょうど3,000日の2025年11月24日に、ユタ州で行われる2034年冬季オリンピック・パラリンピックのロゴが発表されました。
しかしこれは、公式エンブレムが発表されるまでの期間に使用される一時的なトランジションロゴ。このロゴは、2028年のロサンゼルス夏季オリンピックが終了するまで使用され、その後公式エンブレムが発表されます。
最終ロゴではないのにも関わらず、このデザインについて、SNSでは早くも賛否両論が巻き起こっています。
ロゴのコンセプトとSNSでの反応をご紹介する前に、まずはこちらのブランドアンセム動画をご覧ください。
ユタ州の大自然を象徴した壮大で美しい風景と、ウィンタースポーツの躍動感が表現されていて素晴らしいですね。ロゴが見えてくる動きもいいです。
ところで、今回のオリンピックの名称ですが、いつもと違うことにお気付きでしょうか?オリンピックは通常「市の名前」となっていますが(東京やパリなど)、UTAH2034と発表されており、ユタは州の名前で市の名前ではありません。
大会組織側によると、このロゴは「ユタ州の自然の素晴らしさや、雪・氷の上を滑るウィンタースポーツ選手たちによって刻まれる動きの形を反映するようデザインされた」と説明。そして「ユタ州全体を代表するオリンピック」というコンセプトを前面に出し、開催地を単なる都市ではなく、州という広域で捉え直すという試みがあるそうです。
UTAHの「A」は(ユタの地形にある)デリケート・アーチの形を表現し、「0」の内側の曲線はペトログリフ(岩石や洞窟の壁面に、古代の人が刻んで描いた絵やデザインのこと)から、数字の「4」の曲線は山道のカーブから着想を得ています。
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コンセプトや背景を理解した上で、この新しいロゴについてのネット、SNS上でのコメントを見てみましょう。
< 賛成派の代表的な反応 >
- 印象に残る・個性的で良い
「退屈じゃなくていい。2025年のロゴとしては興味深い」「奇抜だけど忘れられないデザイン」「変わってるけど目を引くのは確か」
- 自然・地形を感じられるという理解
「ユタの地形や荒々しさをうまく抽象化している」
- トランジションロゴという前提での理解
「最終ロゴでないなら、話題を呼ぶのは悪いことじゃない」
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< 反対派の典型的な反応 >
- 読みにくい・視認性が低い
「CAPTCHAみたいで読みにくい」(CAPTCHAは、ログイン時に不正アクセスやスパムを防ぐために表示される通称「ぐにゃぐにゃ文字」で、人間とボットを区別するセキュリティ技術のこと)
- 伝統的な五輪ロゴ期待とズレ
「まるで中華料理店のフォントのよう」「サイケデリックなCanvaフォントみたい」「フリントストーンっぽい」「モアナみたい」「オリンピックロゴなのにワクワク感がない」
- 都市名変更への反発
「都市の名前であるSalt Lake Cityを外したのは伝統を軽視している」
この賛否両論のコメントを踏まえて、プロのグラフィックデザイナー3人による意見を見てみましょう。
< 肯定的な意見 >
- ロゴ単体(白黒)で見た場合、非常にユニークで奇妙に感じるが、ブランドアンセム動画を見ると、ロゴの印象がずっと良くなる。
- 手描きのような人物の形に見える要素があり、何らかの動きや個性を感じさせる点は良い。
- 単にまっすぐな文字ではないところ、遊び心のあるエッジ、そして全ての形状が大きな長方形の中に収まっているところが興味深い。
- 他のロゴが縦長なのに対し、このロゴは横長であるため、アパレル商品への印刷などには面白く、適しているかもしれない。
- ロゴのまとめ方も良い、もしこれがフォントとして提供されるならぜひ使いたい。
- 2002年のソルトレイクオリンピックのロゴの方が好みだが、新しいロゴはあえて過去のロゴとは差別化を図っているのだろうと推測。
< 否定的な意見 >
- (ブランドアンセム動画を見た後で)ユタ州のクールな映像や景色は理解できるが、ロゴがその景観や州とどのように関連しているのかよくわからない。
- 丸みのあるレトロなフォントに見えるため、オリンピックという未来志向のイベントにレトロなデザインが合わないと感じている。また、こんなに先のイベントのロゴを早く作ると、開催時には「時代遅れ」になる可能性がある。
- ロゴの背景にある意味や文脈がもう少しあれば良い。
- 正方形のようなデザインのため、遠くから見るとただの四角に見えてしまい、文字の判読が難しくなる可能性がある。
- ロゴ自体は良くできているが、オリンピックやユタ州を適切に表現しているかについては疑問が残る。
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おそらく、このロゴについてのコンセプトやトランジションロゴであるという情報を知らないまま、初見での感想を言ったのだと思います。
大会組織側は「ユタ州の自然の素晴らしさや、雪・氷の上を滑るウィンタースポーツ選手たちによって刻まれる動きの形を反映するようデザインされた」と説明していますが、その意図がプロのデザイナーにも一般にも全く伝わっていないのが残念ですね…
肯定的な意見、否定的な意見、どちらも確かにと思う部分はあります。その中でも「横長であるため、アパレル商品への印刷などには面白く、適しているかもしれない」「もしこれがフォントとして提供されるならぜひ使いたい」という意見は、デザイナーならではの視点だと思いました。
今までの意見を踏まえて、最後に、ユタオリンピックロゴを実際にデザインした、モーリー・マッツォリーニさんのコメントをご紹介しましょう。
ロゴをデザインするということは、単なるロゴ以上の、非常に多くの意味や要素があります。人は最初にデザインについて主観的な印象を持ちますが、デザインの意味を知れば知るほど、それ(デザイン)との繋がりが深まるということが、私たちの分かったことです。
ロゴの白と黒の色使いはパラリンピックに起因しており、高いコントラストの色を使うことが、視覚障害のある選手の競技を助けるものとなります。
彼ら(オリンピック大会組織側)は、誰もがより良く利用できるロゴの作り方を私たちに教えてくれました。
クリエイティブのプロフェッショナルとして、すべての主観的な意見に留意することは重要ですが、同時に中立的な視点からそれに取り組む必要があります。なぜなら、それが私たちが最高の仕事を提供する方法だからです。
モーリーさんは、2034年のロゴが大胆であることを認めつつ、他のブランディングやロゴデザインで、当初は否定的な反応があったものの、時間が経つにつれて人々が好むようになることを過去に経験したことがあり、2034年のロゴについても同じことが起こることを望んでいると語っているそうです。
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オリンピックのロゴについて、毎回賛否両論があるのはよくあること。パリのロゴについては「歴史やアイデンティティを否定している」「マッチングアプリのtinderに似ている」といった意見が、東京オリンピックのロゴについては、日本の市松模様をモチーフとしているため、「地味すぎる」「色彩が足りない」「スポーツの躍動感が感じられない」といった意見がありました。
色々と意見がありますが、結局これは最終的なものではなく、トランジションロゴなんですよね。最終的なものがどうなるのかが大切だと思いますが、全員が納得するデザインはできないと思いますし、最初は否定的な反応だったけどもう馴染んでいる、みたいな話はロゴデザインではなくてもよくある話です。
モーリーさんの「ロゴをデザインするということは、単なるロゴ以上の、非常に多くの意味や要素があります。」「クリエイティブのプロフェッショナルとして、すべての主観的な意見に留意することは重要ですが、同時に中立的な視点からそれに取り組む必要があります。」という意見に納得です。
みなさんはどう思いますか?そして、最終的なエンブレムはどうなるのでしょうか?最終エンブレムが発表される2028年にもまたこのことについて取り上げたいと思います。
ちなみに、過去にもオリンピックロゴについてのコラムを書いています。「あなたの好きな歴代オリンピックエンブレムは?2028年ロサンゼルス大会のエンブレムに注目!」もぜひご覧ください。
(参考)
The Utah Olympics logo is already stirring up drama – Fastcompany
Utah 2034 name, logo unveiled on 3,000 day mark of Olympics return – FOX13
Cox defends Utah’s ‘bold’ new Olympic logo, but he sees why it has people talking – KSL.com
New Winter Olympics logo gets icy response: “It’s giving Chinese restaurant” – Creative Bloq
Here’s what Gov. Spencer Cox really thinks about the new Utah 2034 Olympic logo – Deseret News

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