ひと目で記憶に残るブランドロゴが鍵!和風BBQソース「Bachan’s Sauce」

Vol. 76
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

アメリカで大人気、おばあちゃんの味を再現した「Bachan’s Sauce(ばあちゃんずソース)」をご存じですか?簡単に言えば、和風の味付けができる万能ソースなのですが、数年前からコストコで見かけるようになり、現在では普通のスーパーマーケットでも置かれるほど認知されるようになりました。

 

 

味は「焼肉のたれ」に近いものの、それよりもさっぱりした印象。原材料は、醤油、ケーンシュガー、みりん、トマトペースト、お酢、オーガニックの生姜・玉ねぎ・ニンニク、ごま油。高品質の非遺伝子組み換え原料を使用し、ソースはコールドパックで製造しているため、添加物、保存料、香料は一切不使用。17オンス(482g)で9.49ドル(約1,390円)。

 

アメリカでよく売られているこってりと甘いテリヤキソースや濃厚なBBQソースほど重くないので、焼いたお肉はもちろん、焼き野菜や、焼きおにぎりにもよく合うソースです。

 

 
 
 
View this post on Instagram

A post shared by Stefan Ng (@shaunson_explains)

 

和食に詳しくない人々にとって、日本の調味料はよくわからないもの。けれどもBachan’s Sauceには、醤油、みりん、お酢が入っているので、調味料がわからなくても、一本常備しておけば、料理にちょっとした和風の味付けができる便利なソースとなっています。例えば、焼いたチキンに仕上げでひと回し、ゆでた麺に絡めたり、スープに少し入れたり、と様々な使い方ができます。

 

 
 
 
View this post on Instagram

A post shared by Nick Nesgoda (@burnt_pellet_bbq)

 

ブランドロゴですが、ロゴにはハチマキをしたタコが使われています。なぜタコ?と思いますよね。これは、創業者のジャスティン・ギルさんがタコが好きというところから来ています。また、ジャスティンさんは海が好きなサーファーであるのと同時に、生涯をかけて起業家精神を追い求めて来ました。ビジネスで生き残り成功するには、タコが海で生き残り、繁栄するために持っている「適応力、回復力、粘り強さ、そして知性」が必要だと信じているそうです。

 

タコ好きが高じて、2017年に家族と日本へ旅行した時、タコのタトゥーを入れるほど。しかしこのタトゥーがBachan’s Sauceのロゴデザインのインスピレーションとなります。このタコが巻いているハチマキは、家族のレシピ発祥の地である日本を表しています。

 

タコのブランドロゴを大胆に配したパッケージは強く目を引き、ひと目で記憶に残ります(あのタコのやつ!)。米国市場ではタコを前面に出したソースは珍しく、棚での識別性と競合との差別化にしっかり効いています。

 

ちなみにこのタコは、日本への伝統と海への愛着を遊び心で表現したマスコットとして、Octo(オクト)と名付けられています。

 

 

パッケージ以外のブランディングのポイントは名前。おばあちゃんを意味する“Bachan”のローマ字表記は、日本語の響きを残しつつ、商品カテゴリーは“Japanese Barbecue Sauce”と明確に打ち出されています。

 

おばあちゃんの味を再現したBachan’s Sauceですが、実際に、創業者のジャスティンさんのおばあちゃんである日系アメリカ人のジュディ・ヨコヤマさんのレシピがベースとなっています。毎年クリスマスになると、ジャスティンさん一家は「ばあちゃん直伝のソース」を仕込み、家業の造園の顧客に配っていました。すると「売ってほしい」「レシピを買いたい」という声が相次ぎ、ジャスティンさんは「これはいける」と確信、事業化をすることに至ったのだそう。

 

また、祖母から受け継いだ味を家族の物語ごと世に届けたかったと言います。ブランド名「Bachan(=おばあちゃん)」としたのも祖母への敬意から。

 

ジャスティンさんは2013年から本格的に商品化に取り組み、無保存料でも味を守れる「コールドフィル製法」(※瓶詰め前に高温加熱をしないため、加熱で飛びやすい香り・風味を残せ、香料や保存料に頼らないという製法)を採用。資金繰りもしながら、2019年にローンチ。

 

 

左がジャスティンさん、右がジュディさん。

 

ローンチ直後からAmazon広告で検索面の露出を確保し、初速の購買を獲得。タコのキャラクターと使いやすいスクイーズボトルで店頭やSNSで広く認知され、コロナ期の自炊ブームも追い風になりました。

 

のちにウォルマートでの取り扱いを皮切りに、コストコやホールフーズなど大手へ販路を拡大。商品は辛口・柚子・味噌・ハニーに加え、ディッピングソースや限定フレーバーも展開。資金面では2022年にシリーズAで1,300万ドルを調達し、2025年の年商は1億ドル超と報じられています。本社はカリフォルニア州セバストポルにあります。

 

 

最後に、インスタに投稿されている、Bachan’s Sauceを使ったレシピをご紹介します。

 

 
 
 
View this post on Instagram

A post shared by Wild Planet Foods (@wildplanetfoods)

 

スパイシーツナレタスラップ

 

 

ブラータチーズの上で、凍ったトマトときゅうりを擦りおろし、辛口のBachan’s Sauceとオリーブオイルをかけて、最後にバゲットに乗せていただく前菜。

 

 
 
 
View this post on Instagram

A post shared by Nick Nesgoda (@burnt_pellet_bbq)

 

バインミーサンドイッチ

 

 

Bachan’s Sauceが入ったたい焼き。なんと中身にスパイシーハニー味のBachan’s Sauceとチーズを入れます。食べる前にもBachan’s を追いソース!

 

いかがでしたでしょうか。2019年にローンチしたばかりなので、まだ6年しか経っていないことにもびっくりですよね。自宅にもBachan’s Sauceはあるのですが、いつも餃子や焼肉などの漬けダレにしか使っていないので、レシピを見ながら新しい食べ方に挑戦してみたいと思います。

 

(参考)

Our Story – Bachan’s

How Bachan’s Became Amazon’s Most Popular Barbecue Sauce – JungleScout

Bachan’s Japanese Barbecue Sauce Is Here To Spice Things Up – dieline

Japanese barbecue sauce maker Bachan’s of Sonoma County raises capital for expansion – North Bay Business Journal

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。
foxylilly.com
Instagram: @foxylilly

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP