ベーグルブラジャー!?どんな素材もアートになる。サスティナブルは遊び心から!

Vol. 74
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

ベーグルをブラジャーにしちゃう人、見たことありますか?ハイヒールにイーゼルとパレットをくっつけたり、チーズボードを電動バイクに装備したり…。

 

 
 
 
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bagel(ベーグル)+bra(ブラジャー)で、bragel(ブラジェル)

 

 
 
 
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easel(イーゼル)+heel(ヒール)で、eas-heel(イースヒール)

 

 
 
 
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charcutery(シャルキュトリー:チーズボードのこと)+e-bike(電動バイク)で、charcuter-E(シャルキュトリイー)

 

Nicole McLaughlin(ニコール・マクラフリン)は、こんな風にちょっと変わったアートプロジェクトを大真面目にやっているデザイナーです。

 

たとえば「pizza binder」。

 

 
 
 
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バインダーを開くとタブごとに整理されたピザの具材。謎すぎるけど最後まで見てしまう。見た瞬間「いや何これ?」ってなるけど、それが彼女の狙い。FORBIDDEN(禁断)とラベルが貼られた別バインダーに保存されているパイナップルの登場も面白い。

 

こちらは「breakfast to go」(テイクアウトの朝食)。

 

 
 
 
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耳にぶら下がっているピアスは、なんと個包装バター。朝食のバゲット用にバターが必要な時はここから取って塗ることができます。

 

他にこんなのもあります。「ping pong jibbitz!」(ピンポンジビッツ)。

 

 
 
 
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かわいいジビッツで盛る時代は終わり。これからはピンポンができるDIYジビッツ盛るのがニコール流。

 

その他、大手ブランドや企業とのプロジェクトも手がけています。

 

 
 
 
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プーマとのプロジェクト。ゴールキーパーのグローブのサンプルをアップサイクルして作られたジャケット。カラフルで何より強そうです。

 

 
 
 
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エルメスとのプロジェクト。エルメス(コンスタンス)ベスト、エルメスのバッグレザーを使った工具入れベルトポーチ、エルメスの保存袋で作られた遊び心のあるシューズを制作。エルメスの端材が、ニコールの手にかかると一気に「おどけた日用品」に変わるのが面白いですよね。

 

 
 
 
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Vansのプロジェクト。「探検のためのカプセルコレクション」というコンセプトで、ここでもニコールのDIYクリエイティビティが爆発しています。ポケット付きソックスやチョークバッグ型リュック付きスニーカーなど、可愛さがギュッと詰まっている感じがいいですね。

 

実は、ニコールの作品には大きく2種類あります。

 

一つは、日常の廃材、古靴や古着を使ったアップサイクルDIY。

 

例:プーマ、エルメス、Vansのプロジェクトなどファッション系や、 eas-heel、ピンポンビジッツといったオリジナルのDIY作品。

 

もう一つは、 食べ物を使ったインスタ・TikTok用の「ビジュアルジョーク」作品

 

例:bragel、pizza binder、breakfast to goなど。

 

食べ物を使ったビジュアルジョーク作品は、見た目のインパクト優先。食べ物ですので、撮影後は廃棄やコンポストされます。

 

 
 
 
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廃材のテニスボールで作られたビーニー。

 

彼女の作品は「面白い」「変わっている」と注目を集めますが、実は大量消費社会への強いメッセージが込められています。

 

EPA(アメリカ環境保護庁)によれば、1960年から2015年までに米国の繊維廃棄物は800%以上増加し、そのほとんどが埋め立て処分されているというデータがあるのだそう。ニコールは「過剰消費に対抗する唯一の方法は、生産を減らし、もっと再利用すること」と訴えています。

 

日常の廃材、古靴や古着を使ったアップサイクルDIYは、まさにサスティナブルな活動ですし、食べ物を使ったビジュアルジョーク作品は「消費の無自覚さ」をあぶり出すものと言えます。

 

また、ニコールは「ありとあらゆる素材に可能性がある」「素材そのものが次の作品を形づくる出発点になる」と語っており、彼女の手にかかれば、保存が効かない食べ物でさえもアート素材になり得ます。

 

 
 
 
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サンドイッチショートパンツ。ピクニックに便利(笑)

 

ニコールのプロフィールも簡単にご紹介しておきましょう。

 

ニコールはニュージャージー出身で、現在は、コロラド州ボルダーとニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動しています。父親と祖父が持っていた工房で、幼少期から本物の工具に触れて手を動かすことを経験し、「子どものときに本物のハンマーや釘で遊ばせてもらった体験が、今の創造力につながっている」と語っています。

 

大学ではデジタルメディアを学び、スニーカーブランドのReebokでグラフィックデザイナーとして勤務。Reebok時代に廃棄サンプルの多さを目の当たりにし、「なぜ捨てるのか」「他に使えないか」と疑問を持ったことが転機に。自身のアップサイクルアート作品をソーシャルメディアで投稿し始め、それがバズり、独立するほど注目されました。2023年には、Forbesの「30 Under 30(アート&スタイル部門)」の一人に選ばれています。彼女の活動は、ニューヨーク・タイムズ、Vogue、Footwear News、GQ、InStyleなど数多くのメディアで取り上げられています。

 

 
 
 
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初期の作品。廃材のバレーボールで作ったスリッパ。

 

またニコールは、自身のアート活動と並行して、アップサイクルのワークショップにも力を入れています。

 

2024年9月にデンバーで開催されたAltra(ランニングシューズブランド)とのワークショップでは、靴の余剰素材を持ち寄ってボトルホルダーを制作するイベントが実施され、参加者からも好評だったようです。

 

 
 
 
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Altraとのワークショップの様子。

 

ニコールのワークショップは「素材=チャンス」を体感する場であり、ブランドとの開催で「余剰素材=価値ある資源」という考え方を広め、参加者が「捨てずに再構築する」習慣を学べる教育的デザインとして機能しています。

 

ニコールはサステナビリティについて以下のように語っています。

 

サステナビリティは、PRのためのマーケティング用語として使われることが多いけれど、私にとっては「運営哲学」。

 

廃棄されるものを、新しく想像的で、ときに意外な機能を持つものに変えることで、循環的な考え方が、廃棄物を「チャンス」に再定義できると示したいのです。

 

アップサイクルについては素材の可能性を探り、楽しみながら創作しています。

 

 
 
 
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「どんな素材もアートになる」と語るニコールにとって、クロワッサンもアートに。bra(ブラ)+croissant(クロワッサン)で、brassant(ブラワッサン)。

 

いかがでしたでしょうか。サスティナブルはニコールのアートのように、遊び心やユーモアを交えたアプローチで実践していくのがいいと思います。みなさんはどう思いますか?

 

(参考、引用)

 

nicolemclaughlin.com

 

Nicole McLaughlin’s Designs Are No Joke – New York Times

 

Upcycling Guru Nicole Mclaughlin Preaches the Gospel of Doing It Yourself – PRINT

 

This Viral DIY Shoe Designer Could Shape the Future of Sustainability – Vogue

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。
foxylilly.com
Instagram: @foxylilly

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