Google、Amazon、Rakuten…テック企業のスーパーボウルCM!今年VS昨年

Vol.46
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

毎年、2月の上旬もしくは中旬の日曜日に行われるNFLの優勝決定戦「スーパーボウル」が今年も開催されました。「スーパーボウル」は、アメリカ全土でライブ中継されるアメリカ最大のスポーツイベント。それと同様に注目されるのは、スーパーボウル中継時に放映されるテレビCMです。CMには有名セレブが出演したり、大掛かりな演出であったり、そして広告料がかなり高額なこともあり、毎年様々なメディアで特集されます。

 

なんと今年の広告料は過去最高値の30秒枠で700万ドル(約9億390万円)!昨年は650万ドルだったので、50万ドルの増加です。年々増加傾向にある広告料ですが、来年も最高値を記録するのでしょうか。

 

昨年のCMは暗号資産に関連する企業​​が目立ちましたが、今年はありませんでした。自動車業界も減少し、例年に比べて華やかさや目新しさはなかったかもしれません。

 

ということで、今年のスーパーボウル特集は少し趣を変えて、テック企業のスーパーボウルCM、今年と去年バージョンを比べていきたいと思います。上が今年(2023年)で下が昨年(2022年)です。

 

Google

 

Official Google #FixedOnPixel SB Commercial 2023 with Amy Schumer, Giannis Antetokounmpo & Doja Cat – Made by Google

 

Lizzo in Real Tone #SeenOnPixel – Made by Google

 

今年はGoogle Pixel 7、昨年はGoogle Pixel 6のCMでした。

 

一年で技術が進化していること、過去に撮影した写真で不要な部分を削除できたりと、消費者のニーズに応えた機能が搭載されたことは言うまでもありませんが、CMでどちらが記憶に残るか、と言うとやはり今年ですね。エイミー・シューマーが「元彼たちも消せるの?!」と言ってどんどん写真から消していくのも面白いです。

 

Amazon

 

Saving Sawyer | Amazon’s Big Game Ad – amazon

 

Amazon’s Big Game Commercial: Mind Reader – amazon

 

今年のCMは、犬が主人公のドラマ仕立てのCM。ステイホーム期間中は家族といつも一緒だったペットの犬Sawyerですが、ステイホームが終わるとともに家族は仕事や学校に行き一匹になってしまいます。寂しさからいたずらをしてしまうSawyerに届けられたものとは…?最後はハッピーエンドで終わるハートウォーミングなCMです。

 

昨年はAmazonアレクサの宣伝で、スカーレット・ヨハンソンとコリン・ジョスト夫妻による、アレクサがもし頭で思ってることを読めたとしたら…というCM。コリン・ジョストがスカーレット・ヨハンソンの朝起き抜けの息を臭いと感じ、アレクサがコリン・ジョストの頭の中を読んで、強力マウスウォッシュを勝手にオーダーしてしまうなど、コメディ仕立てになっています。

 

昨年と今年で対局設定とも言えるCM、こちらは甲乙つけがたいほど見応えがあると思いますが、今年の方が記憶に残るものと言えるでしょう。

 

Rakuten

 

Not-So Clueless | Rakuten Big Game Commercial – Rakuten

 

Rakuten ‘High Stakes’ – Super Bowl 2022 Commercial – Top Super Bowl 2022 Commercials

 

すでにスーパーボウルCM枠のレギュラーとなったRakuten。

 

今年のCMは、1995年公開の映画「クルーレス」のオマージュ。主演だったアリシア・シルヴァーストーン自身が主人公のシェールとして出演しています。シェールは買い物中毒な女子高生でしたが、今回のCMでも映画と同じファッションで登場し、Rakutenのアプリをプレゼンするという設定。

 

昨年のCMは、2020年よりApple TV+ で配信されているドラマシリーズ「テッド・ラッソ」のレベッカ役、ハンナ・ワディンガム出演のCM。舞台はカジノで、悪女役のハンナ・ワディンガムが次々と高価な商品を提示しますが、相手の女性(楽天)も同じ商品を出してきます。ワナワナするハンナ・ワディンガム。しかし最後は楽天のキャッシュバックでハンナ・ワディンガムが負けてしまう、という設定。

 

どちらのCMも凝った仕上がりではありますが、「クルーレス」のオマージュがスーパーボウルの視聴者にとってノスタルジーを感じるものだったためか高評価のようなので、今年のCMに一票。

 

Uber

 

UBER ONE – ONE HIT FOR UBER ONE – Uber Eats

 

Uber ‘Don’t Eats’ feat Gwyneth Paltrow, Trevor Noah, Jennifer Coolidge – Super Bowl 2022 Commercial – Top Super Bowl 2022 Commercials

 

今年のCMは、2022年11月に開始された、配車サービスUberと料理や日用品などの配達サービスUber Eatsを統合したサブスクリプションサービス「Uber One」のCM。Uber幹部がパフ・ダディにUber OneのCMのための音源を依頼します。「ジングルはやらない」と主張していたパフ・ダディ側でしたが、ヒット曲が欲しいというUber幹部の依頼に応えることに。そこでパフ・ダディは様々なアーティストに、アーティスト自身のヒット曲をUber Oneバージョンに変えて歌ってもらいます。登場するのは過去にヒットしたりバイラルになった懐かしいアーティストたち。パフ・ダディがピンときたのは、Haddawayが歌う1993年にヒットしたWhat Is Love​​のUber Oneバージョンでした。出来上がった音源を聞かせるとポカーンとするUber幹部ですがパフ・ダディは満足げな様子を見せます。

 

昨年はUber Eatsが料理だけではなく日用品など物品の配達サービスも開始したことを訴求するためのCM。グウィネス・パルトロウ、ジェニファー・クーリッジなどが出演していて、Uber “Eats”だから配達されたものは食べれるのだろうと思い食べてしまうというCM。

 

昨年のCMはインパクトをねらった感がありますが、今年は、パフ・ダディや懐かしいアーティストの出演でコメント欄が盛り上がっていたり、「ベストCM!」というコメントも多々あったので今年に決まり。

 

Squarespace

 

The Singularity (Extended) | Big Game Commercial 2023 | Squarespace Squarespace

 

Squarespace I Super Bowl I Zendaya I Sally’s Seashells – Squarespace

 

今年のCMは、ColdplayやBryan Ferryのミュージックビデオ、トヨタ自動車やNikeのスーパーボウルCMなどを手がけたイーファ・マッカードル (Aoife McArdle)というアイルランド出身の女性映画監督によるもの。スターウォーズシリーズのカイロ・レン役で知られるアダム・ドライバーが、Squarespaceが「ウェブサイトを作成するウェブサイトである」ことに問いかけをするところから始まります。そこから砂漠のシーンに飛び、同じ問いを反芻します。そして「ということは、“それがそれ自身を作ることができる”ことだ!」と答えを見つけ出したとたん、アダム・ドライバーが増殖していきます。

 

昨年のCMは、歌手のゼンデイヤとラッパーのアンドレ・ベンジャミンが特別出演しています。アメリカの早口言葉、Sally Sells SeashellsにインスパイアされたこのCMは、ゼンデイヤが貝殻販売ビジネスの成長を目指す起業家サリーとして​、​アンドレ・ベンジャミンがナレーションで登場します。貝殻の販売から、貝殻アクセサリーのショー、海辺のツアーなど、Squarespaceの助けを借りながら成功するサリーのビジネスの変革を描いています。

 

SquarespaceのスーパーボウルCMは毎年秀逸ですが、今年も昨年もコンセプトも含めて素晴らしいですね。今年はSF的な要素もあるまるで映画のようなCMで、アダム・ドライバーが適役です。私の好みだと圧倒的に今年です。

 

Netflix

 

Why not an EV? | GM x Netflix – General Motors

 

最後に番外編として紹介したいのがGMとNetflix共同制作による今年のCM。ウィル・フェレルがNetflixの大ヒットシリーズの役に扮して出演するというもの。

 

「EV(電気自動車)の開発を進めるGMと、映画や番組に積極的にEVを使っているNetflix」のセリフから始まるのは、2021年公開の映画「アーミー・オブ・ザ・デッド​​」のゾンビに噛まれるシーン。その後、「ストレンジャーシングス」のダスティン役になったり、「イカゲーム」に参加する競技者になったりとNetflixの大ヒットシリーズの各シーンが登場します。

 

GMとNetflixによる共同制作というのも面白い試みですし、このシリーズがもっと見たいと思わせるCMでした。ちなみに去年のNetflixのCMは放映予定作品のティーザーでしたので、紹介は省きます。

 

結局、全て今年のCMに軍配が上がるという結果になりましたが、いかがでしたでしょうか。来年のスーパーボウルCMはEVが増えると予想しますが、来年も特集したいと思います!

※掲載の社名、商品名、サービス名ほか各種名称は、各社の商標または登録商標です。

(参考)

Here are the tech industry’s 2023 Super Bowl commercials, with noticeably less crypto – TechCrunch

Diddy Recruits Montell Jordan, Kelis and More to Make a Hit Song for Uber One in New Super Bowl Ad – People

Squarespace’s 2023 Super Bowl Campaign ‘The Singularity’ Stars Adam Driver – Squarespace

Squarespace Teams up with Zendaya for 2022 Super Bowl Campaign – Squarespace

Will Ferrell Cruises Through ‘Bridgerton,‘ ’Stranger Things’ Universes in Netflix-General Motors Super Bowl Commercial – Variety

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。
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Instagram: @foxylilly

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