品質・体験・ストーリーを「美しく伝える」コーヒーコンセントレートブランドKloo

Vol. 75
FIND IT. LOVE IT.
Sayuri Fujii
藤井さゆり

日中はまだまだ暑いけれど、朝晩には少しずつ秋の気配が漂う9月。そんな「夏の名残」と「秋の始まり」が混じり合うこの季節に、ちょっと贅沢なアイスコーヒーを味わうというのもいいかもしれません。

 

今回ご紹介するのは、ロサンゼルス発のクラフトコーヒーコンセントレート(濃縮液)ブランドKloo(クルー)

 

以前ご紹介したノンアルアペリティフのGhiaのように、Klooもまた、様々な楽しみ方ができる大人向けのドリンク。秋の気配を感じながら、静かに味わいたくなる存在です。

 

「クラフトコーヒーコンセントレート」とは、濃縮された高品質コーヒー液のこと。水やミルク、炭酸水などで割ることで、自分好みの濃さや飲み方が楽しめます。また、大量生産品とは違い、選び抜かれた豆と繊細な焙煎・抽出技術で作られます。

 

 
 
 
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Klooは、Qグレーダー(コーヒーの国際的な資格を持つテイスター)の資格を持つマリエラ・チョーさん(Mariella Cho)と娘のクラウディアさんが立ち上げたコーヒーコンセントレートブランド。

 

Klooのコーヒーは、いわゆる“普通のコーヒー会社”の作り方とはまったく違います。

 

まず何よりも大切なのは、最高品質のコーヒー豆を使うこと。Klooでは、「スペシャルティグレード」と呼ばれる豆の中でも、カッピングスコア85点以上のものだけを厳選しています。※カッピングスコアとは、香りや味、後味などを総合的に評価する国際基準の品質スコアのこと。もちろん、最終的には自分たちの舌でもしっかりとテイスティングを行い、味の良さを細かくチェックするそうです。

 

そしてここからが本番。まず、選び抜いた豆を自社で丁寧に焙煎し、それぞれの豆が持つ個性を最大限に引き出します。次に、少量ずつのバッチで濃縮液を抽出。豆ごとの異なる特性に合わせて、最適な方法を採用することで、1杯ごとに味の輪郭がクリアに立ち上がるように仕上げます。

 

さらに、抽出したコーヒーはほどよく寝かせて熟成。風味が落ち着き、香りと味わいに自然なハーモニーが生まれます。そして最後に、冷蔵状態のまま丁寧に出荷。輸送中の温度変化による味の劣化を防ぐためです。

 

このように、Klooの一杯には、目に見えないこだわりと丁寧な工程がぎゅっと詰まっているのです。

 

 
 
 
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マリエラ・チョーさんと娘のクラウディアさん

 

Klooコーヒーは、12倍濃縮のプレミアム仕様で、1ショットで1杯分のコーヒーが作れる超濃縮タイプ。冷水やミルクで割ってアイス、ホットでも使用可能です。

 

Klooで使用されている豆はすべてシングルオリジン。つまり、ひとつの国・地域・農園で収穫された豆だけを使ったコーヒーです。産地は、エチオピア、ケニア、グアテマラ、コロンビアの4つ。それぞれの地域ならではの個性豊かな風味を楽しめるのが魅力です。

 

また、パッケージには産地ごとのアロマノート(香りの特徴)が明記されていて、たとえばコロンビア産は、アーモンド、メープルシロップ、ブラックベリーといった香りが特徴。細部にまで「味わう体験」を設計する、Klooならではのこだわりが感じられます。

 

 
 
 
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製品の品質に加えて、ぜひ注目したいのがパッケージデザインです。Klooのパッケージは、高級感とサステナビリティを両立させた設計が特徴的です。

 

たとえば、香水のように美しいガラスボトルは、視覚的にも“映える”存在感があります。一方で、サブスクの顧客向けには、詰め替え用のリフィルパウチも用意されており、環境への配慮もしっかりと組み込まれています。

 

ブランドとしての美学と実用性のバランスが、多くのユーザーから高く評価されているのも納得です。

 

 
 
 
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また、Klooの魅力は味だけではありません。自由な楽しみ方ができるのも大きな特徴です。アフォガートやアイスラテ、カクテルなど、多彩なアレンジが可能で、自分好みの一杯を見つける楽しさがあります。公式インスタグラムではデザートに応用できるレシピも紹介されていて、コーヒーを「飲む」だけでなく「使う」楽しさまで提案してくれます。

 

 
 
 
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ナッツの食感も楽しめるピスタチオラテ

 

 
 
 
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コーヒーリキュールが入ったチェリーバニラアフォガート

 

 
 
 
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口当たり滑らかなKlooコーヒープリン

 

このように、味だけでなく、香り・手触り・ボトルを開ける瞬間までを“体験”として設計されたブランド哲学が見えます。

 

Klooは「1杯のコーヒー」というより「1つの体験」を届けるクラフトブランドとして確立されているのです。

 

 
 
 
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価格は、250mlの標準ボトルが33ドル(約4,850円)、リフィルできるサブスク価格では初回以降25ドル(約3,670円)。ボトル1本で約12杯分を作れるとはいえ、他ブランドに比べるとコストは高め。しかも購入はオンラインのみ、一般の店舗では扱われていないため、そこにも“特別感”が加わります。

 

公式サイトのレビューをいくつかご紹介しますと、

 

Klooを定期購入していますが、職場でも移動中でも、スーパーの棚にあるものより10倍おいしい。

 

Keurigやスタバの濃縮液と比べても群を抜いている。カフェインに敏感な私でも、Klooなら安心して飲めるし、毎朝、7ドルのラテのような満足感がある。

 

エスプレッソマティーニを大量に作るのにぴったりでした。味もゲストから大好評!

 

などレビューは高評価で星5つが多く見られます。

 

また、Klooが初めて販売されたのはいつか調べてみたところ、2024年初夏に正式ローンチとあるので、販売されてまだ一年しか経っていないようです。

 

 
 
 
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インスタグラムでは、創業者マリエラさんのストーリーが、娘のクラウディアさんの視点で語られている投稿があります。マリエラさんは韓国からアメリカへ移住し、コーヒー愛好者として豆の焙煎を始め、やがてQグレーダーの資格を取得。そしてKlooを立ち上げるまでの過程が、温かく丁寧に綴られています。

 

また、商品紹介にとどまらず、Klooがインスピレーションを受けているアートやテクノロジー、スモールビジネスの紹介なども投稿されており、そうした発信の一つひとつがブランドの世界観やストーリーを形作っています。

 

いかがでしたでしょうか。Klooは「単なる濃縮コーヒー」ではなく、「クラフト品質・体験・ストーリー」を美しく感じられるブランドと言えるでしょう。

 

(参考・引用)

Kloo

How Kloo’s Year-Long Soft-Launch Strategy Led to Rapid Growth – Shopify

プロフィール
FIND IT. LOVE IT.
藤井さゆり
東京生まれ、2008年ニューヨークに移住。 公益法人に勤務の傍ら、仲間内で企画したクラブイベントのフライヤーデザインをしたことから、デザインの面白さに目覚め転職。 転職後は、都内商業施設のウェブサイトの販促用ページ企画と取材、ライティングを経験。 ニューヨーク移住後は、ウェブマーケティングを企業にて経験、ウェブデザインをフリーランスで行う。 現在は、日本の着物をインスパイアしたオリジナルTシャツブランド「Foxy Lilly」のオーナー兼デザイナーを務める。
foxylilly.com
Instagram: @foxylilly

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