深掘りシンガポール~クリエイターエコノミー#4~

Vol.19
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. エージェント/マネージングディレクター
Junya Oishi
大石 隼矢

Fellows Creative Staff Singapore PTE. LTD.代表の大石隼矢(おおいし じゅんや)です。

いつもコラムをお読みいただきありがとうございます。
第19回目のコラムです。クリエイターエコノミー編としては4回目、そして最終回になります。今回はフェローズシンガポールとして始める「クリエイターマッチング」サービスと実績、また、このサービスで仕事をしていただいた、とあるクリエイターの紹介をしていきます。知れば知るほど奥が深いクリエイターと彼らを取り巻く世界!

■新たなチャレンジ“クリエイターマッチングサービス”

“クリエイターマッチングサービス”は、自社クリエイティブを制作し、それを広げたいと考えているビジネスオーナーや個人店と、映像クリエイターやグラフィックデザイナー、デジタルマーケターなどのクリエイターをマッチングし、実際の制作工程上でのコーディネートを行うフェローズシンガポール独自のエージェントサービスです。シンガポールは社員としての採用が主なのですが、フェローズシンガポールは、そのクリエイターを社員として抱えるのではなく、プロジェクトベースで仕事を紹介していく、日本の業務委託や請負に近いサービスを展開していきます。より多くのクリエイターの方々にご登録いただき、そのネットワークを生かして最大限にクライアント様の要望に沿いながら、クリエイターとクリエイティブ制作を応援したいという思いがあります。現在、パイロット版としていくつかのプロジェクトが進行中なのですが、本格ローンチに向けてさらにご依頼をいただけるように、各分野のクリエイターを集め情報収集しながら具体的なサービス内容や料金などを調整中です。

■”シンガポール人クリエイター“を発掘し各種クリエイティブの受注を!
シンガポール版”クリエイターマッチングサービス“誕生ストーリー

Fellows Creative Staff Singapore(以下、フェローズシンガポール)は2020年4月設立、本格的にサービスを開始したのはその年の9月からだったので、おおよそ2年が経とうとしています。これまでの紹介実績を見ると2020年度は10件中1件、2021年度は19件中7件のみがクリエイターもしくはクリエイティブ関連の職種という結果でしたので、それぞれ成約した全体数に対してクリエイターのポジションが50%に満たなかったということになります。実際のところ2021年度は黒字化もでき初年度からの成長が見られたので、周りからは一定の評価や賞賛をもらったのですが、内心は複雑な心境です。もちろんできたことに対して自己肯定はしつつ、「もっと」という気持ちが湧き上がっていました。そうして、何が足りないのか、と悶々としていた時に出会ったマーケットコンサルティングなどを行う会社を経営している高間氏から「シンガポールで撮影ができるカメラマンを探している」という話をいただいたのが“クリエイターマッチングサービス”誕生のきっかけでした。

今までのような正社員紹介での発注かな、と想像しながら詳細をヒアリングしていると、どうやらいくつか撮影案件があり、それぞれを単発でお願いできる人を探しているとのこと。時を同じくしてその界隈では名前の通っているシンガポール人フォトグラファーのLenne Chaiと出会っていた私は、「だれか撮影案件をお願いできるシンガポール人カメラマンを知らないか」と尋ねたところ、DanというフリーランスのVideographerを紹介してもらいました。

その時、私の頭の中に「ビーン!」と電気が走りました。「この案件、単純にカメラマンを紹介するだけならどこでも同じことができる。東京で10年間、映像業界のエージェントをしてきた自分にしかできない紹介ができるチャンスだ」、そう思い立った私はすぐに高間氏に連絡を取り「実は紹介したいVideographerがいる。実際に彼の映像を見たがかなりイケてます。彼ならきっと色んな案件に対応できると思います」と丁寧ながらも少し強気な提案営業をしました。2022年の4月7日の出来事でした。

そこから立て続けに2本の受注をし、1本は納品済み、もう1本も納品間近というのが現在です。

■実際に発注を受けた案件と作品の一部紹介
シンガポール人クリエイターはどんな映像を作るのか

1作品目は前述の高間氏が手掛けるレストラン、Wabi Sabi Dinningのプロモーショナルビデオ。以下の公式ウェブサイトのトップページにその動画が出てきます。

https://www.wabisabi-dining.com/

この案件はDanとアシスタントの2名で撮影を担当しました。撮影自体は約4時間。また映像編集はDanおよび彼のパートナーとなるエディターが担当をし、オフライン編集に2日、オンライン編集に2日というスケジュールで行われました。クライアントによるチェックはオフライン、オンラインで1度ずつでした。

Danと高間氏の引き合わせが4月7日で、撮影は4月18日というタイトなスケジュールで進みましたが、ご覧になっていただけるとわかる通り映像クオリティは高く、自慢のワインコレクションや壁に展示しているアート、高級感のある内装やそれを楽しむゲストの空気感が伝わってくる映像に仕上がっています。

ちなみに制作費は弊社のコミッションを含めて5000ドル以下。一般的に演出から完パケまでをプロダクションに依頼すれば倍やそれ以上の予算が必要なケースもあります。

■フェローズが生み出したいクリエイターとシンガポールのつながり

Dan Chan/ Danvisuals

上記で登場したDanですが、実際にはVideographerのDan率いるDanvisualsというフリーランスのチームで活動しています。Dan自身は2013年から “Editorial Stills”(編集用のスチール写真)で活動を開始し、現在は一般企業やスタートアップ企業、ブランドや代理店などに向けたコンテンツ制作をしているクリエイターです。コンテンツはその企業やブランドを強く反映するもの、ということを信念に、日々作品制作を通してその撮影・演出スキルに磨きをかけています。

個人的な彼の印象は、まっすぐな目をした好青年。
シンガポールのカルチャーを理解し、クリエイティブに関するインプットも熱心。クライアントと会って打ち合わせをしても先方からの印象が良いのは、そういったところから来るのだと思います。そんな若手クリエイターのDanは、会えばきっと皆さんも応援したくなると思います。

まとめ

どこの国でも地域でも、個人でプロジェクトを請け負う際には、契約や納品物、支払などでトラブルは起こりがちです。フェローズシンガポールの“クリエイターマッチングサービス”を利用する大きなメリットは、クリエイターと企業の双方の間に入ることで、そういった煩わしいことから逃れ、それぞれの活動に専念できる、ということ。

そして、シンガポール人クリエイターに活躍の場をより多く提供していくことを実現したいと考えています。そのために私は日々多くのクリエイターに出会い、フェローズの理念に共感し、フェローズにも親しみを持ちジョインしてくれる人たちとのつながりを多く作っていきたいと思っています。

シンガポール在住の「イケてる」コンテンツメイカー、クリエイターのみなさん!「シンガポールで自分のスキルを試したい!」という日本人クリエイター・多国籍クリエイターのみなさん!ぜひ、“クリエイターマッチングサービス”へのジョインをお待ちしています。

日本とは違った場所に自分のコンテンツが露出する。

とても素敵な瞬間がそこにあると思います。ぜひこのコラムを見た方、そのお知り合いの方でビビッときた方がいらっしゃればご連絡いただけると嬉しいです。

プロフィール
Fellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd. エージェント/マネージングディレクター
大石 隼矢
1990年 静岡県焼津市生まれ。小さいころからサッカーに魅了され、日韓ワールドカップで来日したデイビッド・ベッカムの話す英語に衝撃を受け、自分も話せるようになりたい!と大学は外国語大学へ。2010年カナダ・ウエスタンオンタリオ大学へ交換留学。2012年株式会社フェローズ入社。ブロードキャスト・ビジュアルセクション。2020年4月にフェローズ初の海外拠点であるFellows Creative Staff Singapore Pte. Ltd.の責任者に就任。好きなバンドはOasis、最近の趣味はNetflixで英語学習、尊敬する歴史上の人物は吉田松陰と白洲次郎、好きな食べ物はカレーライスとらっきょう、嫌いな食べ物はかぼちゃと大学芋、みずがめ座B型、佐々木希とジェームズディーンと富岡義勇(鬼滅の刃)と同じ誕生日。
Twitter:@junya_oishi
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LinkedIn:https://sg.linkedin.com/company/fellows-creative-staff-singapore

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