日曜日だった。

Vol.185
CMプロデューサー
Hikaru Sakuragi
櫻木 光

天気も気候もいい暑くも寒くもない日曜日の午後。

体がだるくてソファで横になっていたらぐっすり寝てしまった。

起きたら額に汗がびっしょり。

 

直感的にやべえと思いました。

ついにきたか。と。

喉がカラカラのまま、この数日だるかったことや、やけに咳が出るなあと

思っていたこと。を思いながら、熱を測ったら37・7度。あー、もはやこれまでか。

 

ここまで2年以上頑張ってきたのになあ。

悔しいなあ。と思いながらスマホで「東京都 コロナ対策」と検索してみました。

東京都新型コロナ対策のページに飛ぶと感染者数のグラフやデータがいろんな角度から

研究されているサイトが出た。

あらまあ、治験が溜まってきたのね。と感心するけど

俺が今知りたい情報はそう言うのじゃないんだな。

 

別に普通に平日だったらかかりつけの医者に相談すればいいという手筈は

医者とも確認しているし、なんの心配もないんだけど、爽やかな日だけど今日は日曜日。

いつもの病院はやっていない。

どこに電話すればいいんだろう?

 

データのサイトをこねくり回していたら、東京都なんとか保健局というページに

飛んだ。

そこに書いてある発熱相談なんとかというところに電話すればいいらしい。

 

電話番号が書いてあり、対応言語に日本語、中国語、韓国語、ベトナム語、タガログ語

ネパール語、ミャンマー語、タイ語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語。と

書いてある。すげえなあ。

 

早速電話して見た。

「熱があるんですけど」

「何歳ですか?性別は?お住まいは?お名前は?どんな症状ですか?

 熱は何度ですか?咳は出ますか?

 ワクチンはうちましたか?何回打ちましたか?最後はいつですか?」

と矢継ぎ早に質問されてそれに答えていく。

おおっ、ちゃんとしてるなあ。いっぱい経験が蓄積してるんだな。と思った。

 

「お住まいの地域で日曜日のこの時間にやっている医療機関をご紹介します」

と言って病院を3つほど紹介された。ありがとうございます。

「ご紹介した医療機関は、こちらのデータでは今日やっているということになっていますが

 実際どうだかは保証はできません」と言った。

 

「は?」

まあいいや、電話してみよう。もう切羽詰まってる。いつものようになんじゃそりゃ?とか

言っていちゃもんつけている場合じゃない。

 

1件目、電話が全く繋がらず。2件目、残念ながら診療は5時までです。5時20分になっていた。

3件目、受付はwebのみとしております。ちなみに本日の診療は終了しています。

と電話で丁寧に断られた。ん?

打つ手が無くなった。どうしよう?

 

もう一回さっきの発熱相談センターに電話してみよう。

同じ人が出た。

「先ほど電話した櫻木です。紹介いただいた医療機関は全滅でした」

「日曜日ですからねえ。難しいですね。明日かかりつけのお医者さんに相談したら

 どうですか?」

「それでよければ今日あなたにこんなに食い下がってませんけどね。申し訳ないけど。

 コロナに日曜日も木曜日もクソもないんじゃないですかね?

 僕の状況をもう少し詳しく話してもいいですか?僕ね、2歳にならない幼児が

 家にいるんですよ。当然奥さんもいる。今出かけてて、まだ外にいろ、と指示してる。

 今日発症したとすれば手遅れかもしれないけど、うつしたくないんですよ。

 だから、今日からホテルに泊まるとか、これからどうしたらいいか知りたいんです。」

 

「あー、それなら、うちは熱が出た人に、その人の家の近くの医療機関を紹介する

 だけですから。そういう話は医療機関としてください」

「え、そんだけ?」

「そんだけです、はい」

「そんだけなのに、さっき電話で聞かれたような沢山の質問したんですか?

 いろいろ答えたことはなんに使われるんですかねえ?

 俺まだ医療機関とやらを紹介スラしていただいていませんが」

 

「日曜日のこの時間ですからねえ」

「日曜日がダメなら日曜日はあなたたちもお休みしたらいいんじゃないですか?

 売るもんがないのに店開けてるようなもんだよね。無駄でしょう?」

「そうなんですよね、ちょっと上司と相談してきます」

 

保留音。待たされること数分。

「上司と話をしましたが、やはり明日、かかりつけのお医者さんに行かれた方が・・・」

「やだよ、その間に急に容態が悪化して死んだりする奴いたよな。

 よしわかった。お前の名前言え。その気楽さと他人事感が我慢ならんわ」

「〇〇です」

「上司は」

「△△です」

「わかった。やり方考える。じゃあね、ありがとう」

 

「あ、ちょっと待ってください。ありました。ここはやってますね。ここに電話してください。

 やってなかったらもう一度電話ください」

「それを早く言えばいいんじゃないですか?ありがとうございます。お騒がせしました

 僕も必死なもんで」

「わかります」

 

よくわからないまま紹介された医療機関はやっていて、すぐきてください。という話になった。

医療機関についたときには、熱は下がり、怒ったからか気持ちもピシッとして

新緑の萌える匂いをクハッと嗅ぎながらPCR検査を受けて自転車で帰りました。

結果は明日分かります。と。

 

帰り道に、東京都のモニタリングのPCR検査会場があり、まだやってますか?やってます。

今日結果出ます?んー、明日になりますが急ぎます?急ぎます。じゃあ少し遅くなりますが

お知らせします。事情は分かりましたので。まじか。お願いします。

みたいなやりとりがあって結果は陰性。

帰り道に薬局で買った抗原検査キットも、次の日に出た医療機関からの検査も陰性。

つまり最終的にはコロナじゃありませんでした。人騒がせな。

 

コロナ禍ってもう2年以上もやってるんだと思うんだけど対応はまだそんなレベルですよ。

どうやったら感謝するようなレベルで仕切ってくれるような国になるんだろう?

どういう人が出現したらこんな国じゃなくなるんだろう?

いい国なんだけどなあ。

 

なんだかこれ書いているとコントの台本見たいなやりとりだったんだなあと思います。

 

でもこれは、コロナのことだけではなく、日本に暮らす日常にこんなことばかり起きるのです。

マンションの売買で不動産会社と揉めたときも、都庁を巻き込んでのこんな話だったし

住宅取得控除をもらい過ぎてると税理士のミスで追徴されて揉めた時もこんな感じ。

組織は全てのことに自分達のメンツを優先して、発火点の僕のことなんか最初は

めんどくせえなあって感じで適当にあしらおうとする。

 

 

まあまあ、そういう決まりになっていますから。仕方ないですね。

あっそう。じゃあ、君と僕の個人的な諍いですねこれは。行政と喧嘩しても負けちゃうだろうから、あなた一人にターゲットを絞ってやりあうしかないですね。

僕はあなたが好きじゃない。お名前教えてくださいフルで。

明日弁護士が行きますから話しといてくださいね。ごきげんよう。

とやると凄まじく態度が変わる。

 

どういうことなんだろうか?色々事情はあるんでしょうけどね。

一人一人はいい人でもなんだか組織はどす黒い。そこは昔から変わらない。

組織と自分にケチがつくことを恐れる。人は皆縛られたか弱き子羊のままか?

結局俺もその範囲の中で暴れて迷惑なだけなのか?

 

ネットのニュース記事で

「日本人は高学歴の馬鹿を量産する社会になったしまった」と書いてあったが

そうなってると言ってもおかしくないと思うのです。

役所の人だって、みんないい大学出てるんだろうに。突発的なこと

イレギュラーなことに対応する能力が極端に低い人が多いと思う。組織がそれを阻むのか?

組織優先の考え方で個人の意見なんかどうでもいいのか?正しいとか正しくないとか

ないのか?旧日本軍みたい。そう思われないように気をつけましょう。

 

実はこのコロナの件がそれを許してくれなくなった。

死ぬかもしれないという事実の前で役所の人間の適当なあしらい方は怒りや恨みしか産まない。

泣き寝入って死んでしまった人たちを見るとなおさら。

 

一般の会社にもそんな適当な人がわんさかいるだろうけれども、

「仕事を増やすな」と怒鳴っていたそういう人は立場がどんどんなくなっている。

今はもう集団に隠れて責任逃れができるような世の中ではなくなった。

卑屈に顔までさらされて厳しい世の中です。おじさんたちはそれを意識するべきだ。

 

イーロンマスクが「このままでは日本はなくなる」と発言したら

慌ててなんかしようとする人たちにも、それってずっとみんなで言ってるよね。

と思う。

これからは日本の問題は、外国の有名な人たちに金でも払って

Twitterで指摘して貰えばいいんじゃないかと思いますね。

プロフィール
CMプロデューサー
櫻木 光
プロデューサーと言ってもいろんなタイプがいると思いますが、矢面に立つのは当たり前と仕事をしていたら、ついたあだ名が「番長」でした。

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