スーパーの性質は唐揚げで決まる

宮城
ライター
KIROKU vol.32
佐藤 綾香

わたしにはいくつかの持論がある。

「ごはん粒を残さずに食べる人に悪い人はいない」とか、「数珠を腕に2つ以上重ねてつけている人には何かしら気をつけたほうがいい」とか。

「スーパーの性質は唐揚げで決まる」も、そのうちの一つである。

 

最近、引越しをした。

新居の近所には地元密着型のご当地スーパーがある。実はこのスーパー、わたしがずっと通ってみたかったところでもある。

店舗はいくつかあるものの、これまでわたしが住んでいた周辺にはなかったので行きたくても「わざわざ足をのばすのも気分じゃないなあ」と面倒くさがりな性格が邪魔をしていた。

しかし、今では近所にあのスーパーがある。

はやる気持ちを抑えながら、念願のスーパーに足を踏み入れた。

まずは惣菜コーナーへ。

さきほど披露した持論「スーパーの性質は唐揚げで決まる」を試したかったので、ひとまず唐揚げをカートに入れた。

生姜とにんにくが程よく効いているらしい。たぶん、ベーシックに忠実な唐揚げなんだとおもう。わたしにとっては高ポイントである。

他にはどんな惣菜があるのかと物色していると、わたしの目に留まったのは鉄火巻。

ただの鉄火巻ではなくて、鮪がはみ出るくらい盛られている。

さらにそのネーミングにギョッとした。

「でしゃばり鮪の鉄火巻」。

盛られた鮪を「でしゃばり」と表現する、そのチャーミングさ。

あまりのネーミングセンスの良さに面食らって、わたしはしばらくその場に立ち尽くしてしまった。

立ち尽くしている間、頭の中では「でしゃばり鮪の鉄火巻」と何度も繰り返した。

ここまで立ち尽くす時間がないと、もう鉄火巻きを買わなければ失礼である。

しかし、600円以上もする。

引越しのあとだからすこしでも節約をしたいこちらにとっては、地味に痛い出費である。

ただ、わたしは鉄火巻という商品だけでなく、その名前をつけた人のクリエイティビティにもお金を払いたくなり、「でしゃばり鮪の鉄火巻」をカートに入れた。

 

自分の好みの唐揚げが置いてあるスーパーだと、他の惣菜もさることながら、全体の品揃えも文句なしの確率が高い。

野菜、肉、魚、お菓子、冷凍食品……。

全体の売り場を練り歩いたが、基本に忠実だけれど「遊び心を大切にしつつ質も落とさない」といったプライドの気高さを感じられる。

 

しかもこのスーパー、店内にスーパーのテーマソングが流れている。

わたしはご当地スーパーのテーマソングが大好き。

全国各地のご当地スーパーのテーマソングをまとめたCDが欲しいくらいである。

また一段と信用度が増す。

 

スーパーから帰宅したわたしは友人に「でしゃばり鮪の鉄火巻」を紹介したところ、「連れて行きたいスーパーがある」と返信があった。

どんなスーパーに出合えるのか楽しみ。いずれにせよ、まずは唐揚げを買ってみよう。

 

プロフィール
ライター
佐藤 綾香
1992年生まれ、宮城県出身。ライター。夜型人間。いちばん好きな食べ物はピザです。

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