WEB・モバイル2022.06.08

日本に新しいソーシングシステムを定着させ、人生の豊かさを提供する

新潟
株式会社Matchbox Technologies 代表取締役社長
Hiroaki Sato
佐藤 洋彰
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現場を支えるHRtech として、企業の柔軟な職場環境づくりと自分らしく働くをテクノロジーで実現することを目指しています。

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「matchbox(マッチボックス)」は、当日、前日でも面接なしで短期・単発アルバイトとして働くことができるサービスです。

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「work’z」はスマホやPCからいつでも・どこでも簡単に仕事の依頼と応募ができるオンデマンド派遣プラットホームです。

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「job’z」は経営者から社員・アルバイト まで、すべての方が簡単に使えるクラウド型業務管理システムです。

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社内では立場に関係なく、フラットにコミュニケーションが取れるように、社長から社員に声をかけることもよくあります。

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自由闊達に意見を言い合える職場づくりを行い、社員1人1人の自立と成長を促進しています。

時代の変化と共に起業という働き方が広がっている一方で、企業生存率は決して高くなく、企業を持続することは難しいと言えます。
「起業したい!」という一念から大学を中退し、ゆかりのない地方で最初の会社を2004年に設立して、以降複数の会社を立ち上げてきた株式会社Matchbox Technologies代表取締役社長の佐藤洋彰さん。「何者でもなかった学生」から大手企業も巻き込み社会的な課題解決を実現する社長に、そしてグローバルカンパニーへと邁進する挑戦者へと飛躍していく姿を追います。

起業のために大学を中退し、ゆかりのない新潟へ

佐藤さんは新潟で起業し事業を展開されていますが、元々は静岡県出身。起業のために移住したと伺いました。

起業したいと高校生の時に思い始め、情報を求めて静岡から東京の大学に進学しました。スポンサーを探すために「犬も当たれば棒に当たると言われるように、とにかく棒に当たろう!」と東京で活動していた時に出会ったのが、新潟で幅広い事業を展開しているNSGグループの池田弘会長です。「チャンスをいただければ成功させます、お金と商材をください」と訴えたところ「新潟に来るならいいよ」と言われて。

池田弘会長のその言葉だけで新潟に来たんですか!?

はい、半年かからずに大学を中退し新潟に行って、NSGに出資していただいた800万円と、兄と高校の先輩の3人で集めた200万円で最初の会社、株式会社Fusion’zを2004年に立ち上げました。Fusion’zで取り組んだ課題解決が株式会社ローソンのメガフランチャイズ化。従来の家族で1店舗を経営するのではなく、企業である私たちが複数店舗展開をしていく形を新潟で実現しました。それを首都圏へと展開することに成功して、ローソンで一番大きいフランチャイズオーナーになりました。

念願だった起業を実現し、どのような実感を得られましたか?

周りから無理だと言われることでも、臆せず取り組んでみたらできたんです。「いきなり若い奴が来て成功した、あいつはできる」となると、波紋のようにその影響は広がっていきました。これはとても貴重な体験でしたね。

大手企業とタッグを組み、課題解決。雇用に「恩恵を受けあう」関係づくり

コンビニエンスストアのフランチャイズから、どのように事業を展開されていったのか教えてください。

次の課題は、コンビニで働く人不足でした。そこでしっかりとした人材会社を作ろうと考えて、2014年にローソンとローソンスタッフ株式会社を作りました。29歳の時です。全国18ヶ所に拠点を作って、派遣スタッフがトレーニングを受けてから現場に出られるシステムを作りました。でもこのシステムだと拠点に通える人しかトレーニングを受けられないし、時間もコストも高い。そこで全国にたくさんいる“元スタッフ”に注目しました。彼らは信頼できる貴重な戦力です。合理的に現場と彼らのマッチングができるシステムを作る株式会社matchboxを設立し、2020年に吸収合併して株式会社Matchbox Technologiesが誕生しました。他に、システム開発の会社をベトナムにも持っています。

フランチャイズ経営、人材派遣、システム開発と一見するとバラバラのようで、実は密に繋がっている事業を展開されているんですね。

どんな時も意識しているのは、誰か一方が恩恵を受ける仕組みにはしないこと。そこに持続性のヒントがあると思っています。例えば働く意欲はあるけど言語の障壁がある留学生にトレーニングを受けてもらったり、事情があって辞めたけど完全に関係を断ちたいわけではない退職者を再雇用したり、繋がれる場所を作る、誰も損をしない仕組みを作ることを心掛けています。

事業にするのは、たとえうまくいかなくても「やり続けたい!」という気持ちの純度が保てるものを

展開している事業に通じる理念を教えてください。

私たちがずっと大事にしているコアとなる考えは理念に掲げている「より良いセカイと自分をつくる」ことです。社会の課題解決を図り、手段としてmatchboxのサービスを提供したりシステムを開発したりしています。解決の手法を見出すことは難しいし、思い描いたものを形にするには時間がかかる。だから発明家にならないといけません。
そして事業化する時、大事にしている基準は儲けではありません。うまくいかないことを想像して、「それでもやり続けられる」と思えた事業をやることにしています。個人的な欲求を基準にすると「別にいいや」と諦めやすいんです。寝ても覚めても解決したいと思える、気持ちの純度が保てるものに取り組んでいます。

matchboxのサービスについて教えてください。

一言で表現すると「ダイレクトソーシング」です。従来は求人が出るたびに、求人情報誌や求人サイトに各社が情報を掲載する「プラットフォーム型」でした。私たちが提供している「ダイレクトソーシング」は、自社独自の人材プールを構築しておいて、必要に応じてすぐに人を配置できるシステムです。企業がこのシステムを導入すれば、従業員や退職者に登録してもらい、必要な日程に合わせてマッチングができます。スマホにアプリを入れるだけで簡単に操作ができて、単日や短時間でも対応できます。
このアプリは求人情報から労務アラート、給与設定、勤怠管理など様々な機能を搭載しています。
ツールとしての価値はもちろんですが、現状の人員について把握ができて、どれだけ足りていないか、どの属性がどれだけ配置できれば十分かが一目でわかるデータに一番価値があると思っています。

matchboxについてさらに詳しい情報が気になる方はこちら

あらゆる人材をスポット雇用で活用し、属性に合わせて適切な雇用手続き/労務処理をおこなう革新的なシステムとして、matchboxは関連特許を4つ取得済みです。

未経験の知識習得も、意思決定のための努力は惜しまない

仕組みを考え実装する上で、ITの知識なども重要になってきます。佐藤さんご自身はどのようにプロジェクトに携わられているんですか?

分野を問わず課題解決が専門です。どの切り口で現状分析を行い、どの切り口で原因を特定し、より本質的なところに早く辿り着いて打ち手を出せるかを判断し、緊急性と重要性を見極めてお金と時間を投資します。
実装するために優秀なエンジニアを見つけることはもちろんですが、基本的にはデザインやシステムも自分で勉強して理解します。構造を理解することで意思決定ができるようになるので、勉強はすごく頑張りました。

新潟を拠点に全国展開されていますが、“地方”をハンデに感じることはありませんか?

特に感じたことはありません。実際、デザイナーはオーストラリアに、マーケティングの担当者はシカゴに、国内では北海道にインサイドセールスの担当者がいます。それでも十分パフォーマンスを発揮しています。どこに住んでいても働ける事例を地方から作っていけたら面白いんじゃないでしょうか。

好奇心とリスク予測。「まだ見えていないもの」を信じてもらうために必要なもの

会社として今感じている課題を教えてください。

注力している「ダイレクトソーシング」をいかに日本に普及させていくか、というところです。日本では新しい概念ですが、アメリカでは2021年頃から普及してきた概念であり、今後20年で世界の人材市場を牽引していく仕組みになっていくだろうと言われています。各業界のリーディングカンパニーにも採用されており、分野は製造業や小売店、医療機関など多岐にわたります。

お話を伺っていて、佐藤さんは常に前進していっている印象を受けました。

事業に集中するためにも、各分野で自分より優秀な仲間と一緒になり共存できるよう、環境づくりのために大変努力しました。環境が整った分、次のビジョンをどんどん描いていかないといけません。
同時に、非常にリスクを感じます。経営は17年やっているし、リスクに対しては人よりも敏感で慎重だと思います。そうでないと会社も10年以上はもたないと思います。リスクに関する感度はとても高いのですが、たまにそれに勝る好奇心から、試さざるを得ないものが出てくる感じです。

未開拓の分野にどんどん切り込んでいくマインドの裏で、リスクに敏感であるというのは少し意外です。

会社が潰れると従業員、銀行、投資家など多くの人に迷惑をかけてしまいますので、日常的に自分が知らないこと、想定していないことを探しています。これから作る自分には見えている世界を第三者に信じてもらうためには、「この人は勝率が高い」「この人が言ったことは時間の問題でおおむね形になっている」と信用してもらわないといけません。だから予測が重要であり、そこには圧倒的な理屈が必要です。
知らないことが一番のリスクで、毎日の情報収集を大切にし、いろいろな切り口で仮説を立ててものすごい数のシミュレーションをします。早く危機を察知し、近しい事例を検証し、見極め、判断するんです。

ダイレクトソーシングの領域で国内を制し、グローバルリーダーに

今後の展望を教えてください。

まずは、「ダイレクトソーソング」の分野で国内ナンバーワンになることです。そして「ダイレクトソーシング」のソフトウエアでグローバルリーダーになっていきたいですね。
兆単位のユニコーン企業になることを目指していますが、それはとても難しく、高いハードルがあります。サービスの希少性や重要性、海外マーケットへの参入…様々な要素が必要となってきますが、そういった企業が地方にあることはとても大事だと思っています。

最後にコアとされている考え「より良いセカイと自分をつくる」の「より良いセカイ」について、想いをお聞かせください。

見えている理不尽とか不合理に対して、「こうしたらいいのに」というイメージが明確にカラーで見えたら、それは基本的には自分が理想としているものであり、理想を客観的事実に変えることが「より良いセカイ」をつくることです。頭の中にしかなかった構想を、大手企業含めいろいろな企業が実際に使っていることは、「より良いセカイ」の主観が客観に変わっていくイメージなんです。客観的事実を積み上げていくことで、本当に価値のあることをしている実感が生まれます。大手企業に採用されるだけではなく、会ったこともない人が定年退職しても働けたとか、誰かの生活が変わったとかは、僕のアイデアが客観的事実に変わった例で、その事実はすごいことだと思います。
誰かの何かを豊かにするには膨大なエネルギーが必要で、一人ではできないことですが、やりがいはあると感じています。

取材日:2022年4月12日 ライター:丸山 智子

株式会社Matchbox Technologies

  • 代表者名:佐藤 洋彰
  • 設立年月:2015年7月1日
  • 資本金:1億4310万円(資本準備金含む)
  • 事業内容:ITサービスの開発・提供、コンビニ運営、派遣事業
  • 所在地:〒950-0945 新潟県新潟市中央区女池上山3-14-10
  • URL:https://matchboxtech.co.jp/
  • お問い合わせ先:025-384-4457

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