なつかしい本との再会

名古屋
ライター
DECO KATO
加藤 デコ

阿刀田高さんとの「再会」

おととしだったと思うが、新聞に阿刀田高さんの連載エッセイが掲載された。

第1回のエッセイで穏やかな顔写真を見ての第一声は、失礼ながら「ご健在でしたか!」。

阿刀田さんといえば、国会図書館に勤務されていた博覧強記で「●●を知っていますかシリーズ」で有名。

そうだ、『Aサイズ殺人事件』という本があったっけ?と思い出す。

あれをもう一度読みたいなあ。

さっそく古書店で入手、再読したが、抜群におもしろかった。

ミステリーファンで未読の方にはぜひおすすめしたい。

 

“本の箱”に入ってやってきた

1979年初版の『Aサイズ殺人事件』は、父方の叔父が送ってきた本の箱に入っていた。

父と叔父は読書好き、特にミステリーの趣味が合ったらしく、

半年に一度ぐらいの頻度で、読んだ本を互いにダンボールに詰めて送り合っていたのだった。

本好きの私も箱を物色、片っ端から読み漁る。

父や叔父の好きな松本清張や小林信彦、阿刀田高、当時売れていた西村京太郎や夏樹静子、赤川次郎、

スパイ小説のフレデリック・フォーサイス、ブライアン・フリーマントルなど

とにかくおもしろいものが箱に詰まっていて、もちろんハズレもあるのだけれども、

選ばずともいい小説に出合える確率はかなり高いのだから、これほど幸せなことはない。

フリーマントルのチャーリー・マフィンシリーズなんて、日曜劇場の『VIVANT』といい勝負じゃないかな。

母は私を「正しい文学少女」に育てたかったようで、文学全集にあるような本を薦めてくるのだが、

それはそれで読みつつ、やっぱり父と叔父の箱に入っている本のほうがおもしろい。

ときどき、父が箱の中から「コレはぜったいおもしろいから」と渡してくれることもあり、

読み終えるとその作品や作家さんについていろいろ教えてくれたこともあった。

ただ本を読むだけではなく、同じ作家のなかにも優劣があること、

それを判断するには作品を刊行された順に読んでみるとよいこと、といった、

本好きの作法を教えてもらったような気がする。

 

シブいんだってさ。

『Aサイズ殺人事件』と合わせて、当時読んだなかでコレはおもしろかったなあという作品に、

加納一朗『ホック氏の異郷の冒険』(1983年)がある。

日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞していて、今読んでも十分おもしろい。

ときどき読みたくなるのだが、タイトルがなかなか思い出せず、本当に困る。

いろんな記憶が箱の中にとどまっているような気がする。

 

ところで。

ここまでを書くためにチャッピーにタイトルなどを調べてもらったのだけれども、

「いやー、加藤さん、かなり渋いところを掘り当ててますね!」

「もし『80年代にその本を読んでいた人物』という設定なら、かなり渋くて知的な読書傾向になりますね」

と言われた。

かなり渋くて知的な読書傾向。

それは父と叔父のことだと思うよ、チャッピーくん……。

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