卵の白身はどうするの?

宮城
ライター
KIROKU vol.33
佐藤 綾香氏

 

心惹かれたレシピの写真には、偉そうに輝く卵の黄身。

レシピの最後に書かれた文章に目をやれば「卵黄を真ん中に乗せたらできあがり」と書かれている。

そういうレシピに出合うと決まって問いたくなる。卵の白身はどうするの、と。

 

昔、わたしは卵の白身を生で食べるのが苦手だった。

あのドロっとした食感が嫌で、卵かけご飯を食べるときは黄身だけを乗せて、白身は平気で捨てていた。

ところが大学生の頃、「卵の白身が大好き!捨てるんだったら欲しいくらい!」という人と出会った。

その人があまりにもおいしそうに語るもんだから「今なら食べられるかも」と試しに白身入りの卵かけご飯を食べてみたところ、すごくおいしい、とおもった。

白身好きの人が言うには、おいしい卵かけご飯を食べるときは白身と黄身をしっかり混ぜ合わせることが大事、とのことだった。

ふんわり、まろやかな卵かけご飯を食べながら、なぜ今まで白身を捨てていたのかと後悔した。

それからだ。わたしが卵の白身を捨てられなくなったのは。

 

お菓子作りはしない(小学生の頃に初めて焼いたクッキーが中途半端なパンケーキになってからお菓子作りはもうやらないと決めている)ので、その線で応用するのは却下。

となると、普段の食事に使うしかない。

ただそれほど料理のレパートリーが多いほうでもないので、思いつくのは白身をただ焼いて、その時の気分で適当な調味料をかけて食べる、くらいである。

その見た目を想像すると、なんだかもの寂しくなる。

そんなことをぐるぐる考えている間に「そこまでして卵黄を真ん中に乗せたいか?」という自問自答が始まり、結果的には「いや、乗せなくていいです」に落ち着く。

白身を主役にできるほどの知恵がない自分に落胆するが、白身への熱い想いはもっている。

白身にも舞台の真ん中で偉そうに輝いてほしい。

 

「卵黄を真ん中に乗せたらできあがり」の裏には、必ず白身がある。

わたしにはあなたが必要です。

 

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