三省堂がカムバック!

東京
映像・フリーライター
秘密のチュートリアル!
野辺五月

神保町は、130店以上の古書店や新刊書店が集中する「世界一の本の街」です。小学館や岩波書店などの出版社も多く、平日でも編集者や作家、本を求める研究者たちがそこかしこに姿を見せます。古くから打ち合わせに使われてきたことで喫茶店文化も発展しましたが、今でも喫茶店で編集者が企画を練っている光景をよく見かけますね。最近では「カレーの街」としても有名です。

さて、そんな神保町で新刊を取り扱う老舗といえば「書泉グランデ」と「三省堂書店」です。三省堂の本社ビルは2026年3月19日(木)、約4年の建て替え期間を経て、ついに新装オープンを迎えました!というわけで、さっそく初日にお邪魔してきました。

当日は「店内写真OK」のマークが多くて安心したものの、何せ人・人・人……!ろくに写真が撮れなかったことはご容赦ください。

活気あふれる「本への入り口」

 

入り口ではLINE友だち登録による記念品贈呈が行われており、早くも大行列。その横を抜けて(後でちゃっかりクリアファイルをゲットしましたが)、一歩足を踏み入れた売り場はまさに「本好きのワンダーランド」でした。

以前の三省堂は、上へ上へとエレベーターで昇っていくワクワク感があり、マニアックな本もがっつり揃った「玄人向け」の印象がありました。対して新しい店舗は、ライト層や「昔はよく本を読んでいたな」という人を呼び戻すような、親しみやすい作りになっています。

入ってすぐは新刊コーナー……と思いきや、書店員さんが丁寧に選んだキュレーション棚や、コンセプトが伝わる企画展示が並びます。失礼な言い方かもしれませんが「待ち合わせの本屋」としても最適。なんとなく「いい本ないかな」とブラブラできるのは大きなポイントです。

公式サイト(https://jinbocho.books-sanseido.co.jp/)を覗くと、コンセプトは「Entrance to the World」。まさに世界への入り口といった趣です。

限定グッズと「本屋の相性」

1階は開店日のお祭り感もあり、ここでしか買えない限定グッズも並んでいました。中でも目を引いたのが「文明堂のカステラ」。この日のための特別仕様だそうで、店員さんいわく「売り切れ次第終了」とのこと。金色の包装紙と、カステラに施された本にまつわるイラストが最高にキュートです。

 

後ろ髪を引かれつつも、この後の用事を考えて大荷物は断念。新刊を眺めながら、個人的な趣味である外国文学やSFの棚を探します。好きなジャンルのラインナップを見ると、その本屋との相性が分かる気がしませんか?

独特の構造と、忘れられない思い出

新しい店舗は構造も独特です。中二階のようなステップがあり、少し高い位置にある棚で別のジャンルを物色できます。1階の右側には古書コーナーもありました。『中国古典漢詩辞典』やヴィトゲンシュタインの論考など、マニアックな本がぎっしり。こういう「尖った棚」が残っているのは、神保町ファンとして嬉しい限りです。

三省堂には個人的な思い出があります。大学院生時代、探し回っていた研究書がどこにもなくて頭を抱えていたときのこと。三省堂の店員さんが、なんと近場の専門店に電話をして在庫を確認し、取り置きまで手配してくれたのです。「本の街の連携」の温かさを知ったエピソードです。

オープン当日、X(旧Twitter)では近隣のアジア系書店さんも三省堂の混雑を喜び、「一緒に街を盛り上げたい」と呟いていました。この素敵な関係性は、新店舗になっても続いていくのだなと嬉しくなりました。

フロアを巡る楽しみ

一方で、専門性の深さでいうと、以前より物足りなさを感じるジャンルもあるかもしれません。今の三省堂は、膨大な蔵書に圧倒される場所というより、未知の本を「探索」する楽しさにシフトしているようです。4階にはジャンプショップも入り、より幅広い層に開かれた場所になりました。

フロア構成をざっくりまとめるとこんな感じです。

  • 1階: 新刊・話題書、ビジネス、文学、ノンフィクション、地図・ガイド、法律・経済、語学・辞書、洋書、雑誌、そして古書。

  • 2階: 歴史・哲学、社会、医学、理学、PC、芸術、資格、文庫・新書、雑貨(神保町いちのいち)、文具、サービスカウンター。

2階の文具コーナーも充実していて、ちょっとした差し入れ探しにも重宝しそうです。

 

小学館の限定Tシャツショップも。こういう限定コーナー大事。

3階の注目スポット「喫茶ちそう」

そして、3階はコミックスがメイン。さらに注目のカフェ「喫茶ちそう」が併設されています!初日は大混雑で、フードメニューはすでにソールドアウト。ドリンクのみでしたが、ここではなんと「カレー」が食べられるのです。カレーの街・神保町へのリスペクトを感じますね。私が狙っているのは、おいしそうな「プリン(650円)」。フロート系も充実しているので、読書の合間の一休みにぴったりです。

また、近くの喫茶店「肆-YON-」さんが三省堂への愛が高じて「勝手にコラボ」をし、それを公式が拾うという微笑ましい一幕もありました(「三省丼」、気になりすぎます! https://news.yahoo.co.jp/articles/579e543634caa22b48308a90b8ae41d84074ed7e )。

本の街のランドマークとして

全体として、新しい出会いを楽しめる素晴らしいリニューアルだと感じました。ランドマークである三省堂が復活したことは、街で暮らす人々や飲食店の方々にとっても非常に大きな希望です。洋食屋さんや喫茶店でも、歓迎の声が多く聞かれました。

秋葉原のような再開発で専門性が薄れてしまう寂しさも知っていますが、神保町には「誰にでも開かれた入り口」と「深い専門性」の二軸で走り続けてほしいと願っています。

先月紹介した「シネマリス」もこのエリア。住み心地のいいこの街の発展を、これからも定点観測していきたいです。次は夏過ぎでしょうか、カレーと喫茶店の深掘りレポートもお届けできればと思います!

モチヅキさんの新刊に合わせたオムライス(食品サンプル)

プロフィール
映像・フリーライター
野辺五月
ゲームシナリオから書く☛宣伝する仕事へ。炎上案件や“消える責任者”の隙間を埋めながら、締切内に構造を立て直す役割を引き受けるうちに現在に至る。 VFX好き(SW)を起点に映像へ。 現在は、メディア記事の企画・取材・構成、企業映像の台本制作・ディレクションをメインに活動中。「作る」より「伝わる設計」を重視。 得意ジャンル:アジア映画・ドラマ(タイ・華・台)。 アニメ・ゲーム領域(美少女ゲーム)での企画/シナリオ周辺業務を経験。キャラクター設計とファン心理分析に強み。 特技:脳内会議 → 調査 → 構造化。 使用ツール:Pr / Ae / InDesign / PowerPoint  AIはとっかえひっかえ実験中。 ロケ地より先に打ち上げの店を抑えるタイプ。

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