2026.02.05
AIイラストは古文、漢文にどれだけ対応できるか?漢文篇
横浜
フリーライター
youichi tsunoda
角田陽一氏
AIイラスト
どんどん進化するアイテムでありますが、古典文化、とりわけヨーロッパ以外の文化圏、それも「古典的なイラスト」には弱いとされています。
それを確かめるべく「枕草子」「今昔物語」を先月、先々月とイラスト化してまいりました。今回は漢文といきましょう。
まずは漢詩
「登鸛鵲楼」(かんじゃくろうにのぼる)
白 日 依 山 尽
黄 河 入 海 流
欲 窮 千 里 目
更 上 一 層 樓
唐王朝の詩人、王之渙(688~742)の作。
黄河中流にある楼閣「鸛鵲楼」に上り黄河の流れを見下ろす。
陽はまさに山に寄りかかって沈んでいく。
黄河ははるか彼方にあるであろう海に向かって流れていく。
(河口までは数千キロ、当然海は見えない)
それでも、この壮大な光景を千里先まで見極めようと
さらにもう一階、楼閣を上がっていく…
そして原文をAIに突っ込んでできた画像がこれ。

よろしいんではないでしょうか。
次はストーリー物
『韓非子』説難篇(ぜいなんへん)より「余桃の罪」
昔者彌子瑕有寵於衞君。衞國之法、竊駕君車者罪刖。彌子瑕母病。人閒往夜告彌子。彌子矯駕君車以出。君聞而賢之、曰、孝哉、爲母之故、忘其刖罪。異日、與君遊於果園、食桃而甘、不盡、以其半啗君。君曰、愛我哉、忘其口味、以啗寡人。及彌子色衰愛弛、得罪於君。君曰、是固嘗矯駕吾車、又嘗啗我以餘桃。故彌子之行、未變於初也。而以前之所以見賢、而後獲罪者、愛憎之變也
中国の戦国時代、衛の君主・霊公(紀元前540年- 紀元前493年)は、「彌子瑕」(びしか)という美少年を寵愛していた。なお霊公は「女帝」ではないので注意。
この衛国では、君主の愛車に勝手に乗った者は足斬りの刑に処される掟。だが彌子瑕の母親が病気になった時、彼は勝手に主君の車に乗ってお見舞いに行った。法に従えば脚切断の刑だ。だが霊公は「なんと親孝行な奴だ!」と褒め、一切罪に問わなかった。
またある時、彌子瑕と霊公は果樹園で遊んだ。彌子瑕が桃を取って食べると甘くて美味い。彼は「この桃は美味しゅうございます!」と、霊公に「食べかけの桃」を差し出した。すると「そなたは余に美味いものを分けてくれるのだな!」と、またもお褒めに授かった。
月日は流れ、彌子瑕のルックスも衰えた。
すると霊公は
「こやつは余の車に勝手に乗りおった!
そのうえ余に食べ残しの桃を押し付けおった!
余を愚弄しおって!」
と、あっさりと罰してしまったとさ
教訓:
君主の、上役の寵愛は気まぐれである。
愛されている、信頼されていると信じ込んで、いい気になってはいけない。
君主の、上役の寵愛は気まぐれである。
愛されている、信頼されていると信じ込んで、いい気になってはいけない。
そして原文をAIに突っ込んだのがこれ

よろしいじゃないでしょうか。
ちゃんと中華風。
彌子瑕が美少年か美少女かわかりにくい問題はあるが。
彌子瑕が美少年か美少女かわかりにくい問題はあるが。
日進月歩のAIイラスト。
まったくもって恐ろしい。
プロフィール

フリーライター
角田陽一氏
1974年、北海道生まれ。2004年よりフリーライター。アウトドア、グルメ、北海道の歴史文化を中心に執筆中。著書に『図解アイヌ』(新紀元社 2018年)。執筆協力に『1時間でわかるアイヌの文化と歴史』(宝島社 2019年)、『アイヌの真実』(ベストセラーズ 2020年)など。現在、歴史系の月刊誌で記事を執筆中。






