文学フリマに行ってきた。

東京
ライター
来た、見た、行った!
かつら ひさこ

いつか行こうと思っていた文学フリマに、ようやく辿り着いた。

ずっと前から「行ってみたい」と思いながら、なぜかタイミングが合わずに先送りにしていたのだが、ようやくそれが合う時がきたと思うと、歩きながら胸の奥がそわそわしていた。

 

12時開始ということで、東京ビッグサイトに着いたのは12時を少し過ぎた頃。

会場の外に広がっていたのは、想像以上の長蛇の列だった。

「文学」というジャンルにこんなにも人が集まるのか、と正直驚いた。

目当ての本があったので、列を前にして「買えるのか?」「そもそも入場にどのくらいかかる?」と焦る気持ちが湧き上がる。

それでも、人の波は思っていたよりスムーズに進んだ。20分ほどで列がぞろぞろ動き出し、13時少し前には入場できて安堵した。

 

会場に足を踏み入れた瞬間、視界が“本”で埋まった。

机の上には、ジャンルの壁を軽やかに飛び越えていく無数の冊子。

評論、エッセイ、ファンタジー、絵本、個人的な記録、よくわからないジャンルの何か。

ありとあらゆる表現が並んでいた。

 

文学という言葉がいかに広く、奥が深く、そして自由であるかを、身体ごと突きつけられた気がした。

 「何を書いてもいいし、何を表現してもいい。ここに持ってきて」

 会場全体が、そんなふうに語りかけてくるような雰囲気でそこを覗いているのがとても幸せな場所だった。

 

駆け足で目当ての本を買い、少しだけサークルを回り、気になった冊子を何冊か手にとった頃には、もうあまり時間が残っていなかった。

都合で早く帰らなければならず、後ろ髪をひかれるとはまさにこのことだと思った。

 

文学フリマは「何かのついで」で来る場所ではない。

次はもっと長い時間をとって、会場の中をゆっくり泳ぎたい。

偶然の一冊に出会い、作り手の熱や顔や声を感じながら歩きたい。

 

次は、本気で潜りに行く。

プロフィール
ライター
かつら ひさこ
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、ライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズ、お茶を飲みながらぼんやりすること。

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