文学フリマに行ってきた。
いつか行こうと思っていた文学フリマに、ようやく辿り着いた。
ずっと前から「行ってみたい」と思いながら、なぜかタイミングが合わずに先送りにしていたのだが、ようやくそれが合う時がきたと思うと、歩きながら胸の奥がそわそわしていた。
12時開始ということで、東京ビッグサイトに着いたのは12時を少し過ぎた頃。
会場の外に広がっていたのは、想像以上の長蛇の列だった。
「文学」というジャンルにこんなにも人が集まるのか、と正直驚いた。
目当ての本があったので、列を前にして「買えるのか?」「そもそも入場にどのくらいかかる?」と焦る気持ちが湧き上がる。
それでも、人の波は思っていたよりスムーズに進んだ。20分ほどで列がぞろぞろ動き出し、13時少し前には入場できて安堵した。
会場に足を踏み入れた瞬間、視界が“本”で埋まった。
机の上には、ジャンルの壁を軽やかに飛び越えていく無数の冊子。
評論、エッセイ、ファンタジー、絵本、個人的な記録、よくわからないジャンルの何か。
ありとあらゆる表現が並んでいた。
文学という言葉がいかに広く、奥が深く、そして自由であるかを、身体ごと突きつけられた気がした。
「何を書いてもいいし、何を表現してもいい。ここに持ってきて」
会場全体が、そんなふうに語りかけてくるような雰囲気で、そこを覗いているのがとても幸せな場所だった。
駆け足で目当ての本を買い、少しだけサークルを回り、気になった冊子を何冊か手にとった頃には、もうあまり時間が残っていなかった。
都合で早く帰らなければならず、後ろ髪をひかれるとはまさにこのことだと思った。
文学フリマは「何かのついで」で来る場所ではない。
次はもっと長い時間をとって、会場の中をゆっくり泳ぎたい。
偶然の一冊に出会い、作り手の熱や顔や声を感じながら歩きたい。
次は、本気で潜りに行く。







