伝統行事と現代アートが融合した “繁盛”を願う秋祭り

広島
コピーライター、エディター
Kyoko Kittaka
橘髙京子

春・夏・秋・冬、日本全国で行われている、さまざまな祭りやイベント。誰もが知っているような有名なものから地域独特のものまで、日本には年間で約30万以上の祭りが行われているそうだ。広島県内にもさまざまな祭りがあるが、今回は伝統的な秋祭りのひとつ「大(おお)イノコ祭り」について紹介しようと思う。

「亥の子」は、主に西日本の一部地域で実施されているそうで、無病息災・子孫繁栄(子沢山なイノシシにあやかって)・商売繁盛などを祈るお祭りである。いろいろ調べてみると「亥の子」の由来は、古代中国にまで遡り、亥の月(旧暦10月)の亥の刻(夜9時~11時頃)に、穀類を混ぜ込んだ餅を食べる風習があったそうだ。この餅を食べることで、健康で元気に暮らせるという信仰があり、その風習が日本の宮中行事に採用され、次第に貴族や武士、庶民に広がったという説が有力らしい。

わたしの出身地である福山市内でも一部地域で行われているようだが「亥の子」のことを知ったのは広島市に転居してからだ。この祭りは「大イノコ祭り」のような大規模なものだけではなく、地区ごとに開催されているものもある。自宅の周辺で、法被を着た子どもたちが「い~のこ、いのこ♪」と元気に歌いながら練り歩いているのを、何度か見かけたことがある。そんな、イノコ祭りの季節になると、わたしの田舎でも集落ごとに秋祭りをやっていたことを思い出す。子どものころ、法被を着てお神輿を引いていたなぁ…と。

今年の「大イノコ祭り」は、11月1日(土)・2日(日)に中区の袋町公園で開催され、わたしは2日目の夕刻に足を運んだ。祭りの見どころは、やはり「イノコインスタレーション」だろう。88本の竹の力によって空中に大石を吊り上げる装置のことで、実際に目にすると、とても迫力があった。夜はライトアップ&かがり火が灯され、幻想的な雰囲気に。当日は偶然にも十三夜で、美しい月とコラボした風景が神秘的だった。実は、見物するのは初めてだったが、とても感動した。

そして、見物客のお楽しみのひとつ、餅まきも行われたのだが…大量に用意されていたにも関わらず1個もゲットできず(泣)。人を押しのけてでもガンガン前に出てゲットする人と、そんな人たちの勢いにビクついて遠慮してしまうわたし…こういう場面でも、人間性がモロに出てしまった(笑)!

ちなみに、88本の竹には、それぞれ「竹主(たけぬし)」がいる。竹主とは協賛者のことで、1本1本の竹に企業名が記された紙が貼られていた。どなたでも協賛できるそうなので(個人協賛もOKらしい)、興味のある人はぜひ来年、問い合わせてみては?

プロフィール
コピーライター、エディター
橘髙京子
大学卒業後、広告代理店のコピーライターや出版社の編集者・ライターとして勤務。現在は映像業界のプロデューサー、フリーライターとして活動中。

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