台湾映画『メイメイ』完成披露へ
映画『メイメイ』 蘇 鈺淳(スー・ユチュン)監督
https://www.nfaj.go.jp/program/pff2025-12/
ぴあフィルムフェスティバルが新人監督の育成を目的に制作した、PFFプロデュース作品を見てきました。一足早く今回の映画祭でのお披露目で、世界初の観客ということでワクワクしていってきたのですが……
台湾出身ならではの、台湾から日本に移り住んだ経験を元に書いたのでしょうか?家族のものがたり……特に姉妹の心の距離、葛藤がたまらなく鮮やかで――実際妹がいる身としては分かる部分もありつつ、とてもしみました。
あらすじはこんな感じです(国立映画アーカイブから抜粋)
言葉はなくてもわかってほしい…家族だから
母国を離れて日本で俳優をする妹と、台湾の大企業で働く姉。歳が離れ、性格も似ていないふたりの隔たりを、実の姉妹である台湾の俳優のふたりが日本を舞台に演じる。自身も台湾から日本に移り住んだ蘇鈺淳監督が家族関係をベースに、コミュニケーションの不確かさや人と人とのつながりの不可思議さを描く。
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「言葉がなくても分かってほしい」という家族間ならではの話もありつつ、実際にこの物語の面白いところは、言葉が分からないけれど通じたり、分かっていても通じなかったり、
分かってもいないし通じてもいないのだけれど何故か一緒にいたり……日本語と中国語(正式に言えば台湾華語)という部分に置いても、その難しさやおかしさ・愛しさが重なる部分でしょうか。
映画の後にアフタートークもあったのですが、こちらでは、姉妹役のお二人が実際に姉妹であること――それゆえにかえって難しかったり、簡単だったりしたアレコレを暴露されていました。誰が何語を本当者喋れる喋れないというギャップが可笑しくもあり、いい意味で分からなかったので、騙されたという気持ちです。(尊敬しかありません。僭越ながら、ちょっとだけ勉強をしていたこともあり、今回の映画をみて、中国語の勉強もやりなおしたいとおもいました)
主要キャストが実はほとんど中国語を喋れるのに対してスタッフは日本語がメインなので、コミュニケーションが大変だったことや、それでもトライする楽しさがあることなどなどが語られ……とても有意義な時間でした。
もう少し詳細をレポートしたいところではありますが、公開が決まったころにでもまた……と思います(あまりネタバレをせずに見てほしい気持ちがあるからです)。
個人的には、エンディングの曲のサンプリングや、実際にその録音のセリフを考えた彼女と監督のエピソードなどがとてもとても沁みました。また、くすりと笑わせられる部分もあり、知らないはずなのに知っているような気持ちになる姉妹たち、そこに関わるキャラクターの妙な癖がやたらリアルでとても魅力的であり……印象に強く残っています。上映は必ずされそうであるので、それまで待って頂きたい気持ちでいっぱいです。
できれば、たっぷり映画館で浸ってほしい作品です。姉妹が似て見えるのはどうしてか?そして何故か似てると言われてするときのリアクションが一番似るんですよね。これは私自身の経験でもあるので、そのあたりの国境を越えた姉妹感も興味深かったです。
上映されたらもう一度行きます。またもう少し詳細なレポートと共に記事を書きたいなと強く思う映画でした。

ところで、配られたぴあの小冊子は丁寧にこのときのためだけの情報が多いということで、かえって見てみたのですが確かに読み応えがありました。こういう丁寧な仕事、細部に宿る制作には胸を撃たれます。インスタントにならないように、新しいことにはトライしながらも、せいいっぱい働きたいという意味でも刺激を受けた映画祭でした。








