麺が上⁉広島の『国泰寺焼き』を堪能する
6月、私は広島に訪れていた。
趣味仲間から舞台鑑賞に誘われ、距離的にそう無理はないかも?と計画した次第である。
同行者の中には日帰り勢もいたが、一人が「そういえば広島初めてだわ」というので、せっかくならと観光に付き合って前乗りすることにした。
個人的には十数年ぶりくらいの広島だ。
考えてみると、前回も舞台(劇団四季の『キャッツ』)を目的に足を運んだ気がする。
駅から劇場へのアクセスが良いので、近県の人々を中心に会場として重宝されているのだろう。
そんなわけで私も久々のため、結局ド定番の宮島観光→広島焼きを楽しむというコースを辿ることとなった。
宮島は相変わらず海が美しく、厳島神社をはじめ数多くの荘厳な文化財が遺り、揚げもみじや瀬戸内レモンサワー、焼き牡蠣などを中心に飲食街が賑わっていた。
逆に以前と印象が違ったのは、鹿が何となく大人しかったところである。
前に来た時、お腹を空かせた鹿さんにロングスカートを食まれた身としてはちょっと寂しかった。
(と思ったら、帰りの駅に侵入しチラシを盛大にむしゃむしゃやっていた。個体差があるようだ)
そして夜、同行者が調べてくれた『国泰寺焼き』のお店に向かった。
一般的に広島焼きといえばたっぷりのキャベツやもやしに薄めの生地、豚肉、麺というイメージだが、こちらは一味違う。
何と麺が一番上に乗っかっているのである。
通常は間に入るがゆえ、麺はふっくらと蒸し焼きになる。
しかし、国泰寺焼きは表面に麺が来るため、パリパリと香ばしい食感を味わえるのが特徴だ。
また、豚のバラ肉ではなく豚トロを使用しているのもこだわりだという。
大きさ自体は結構なボリュームがあり、うっかり他のおつまみも頼んでしまったことを最初は後悔したが、意外とスルッと食べられてしまった。
パリパリ感が強いとおやつのような感覚になって、身体が軽いと勘違いするのかもしれない。
ちなみに、他の「広島菜漬け」やこちらも鉄板で焼かれた「レンコンバター」、「梅水晶」なども一様に美味で、思いのほかお酒が進んだことは言うまでもない。
名物も、少し視点を変えればまた新たな感動に出逢えることがある。
定番もいいけれど、色々調べて変わり種を探すのも乙なものだなあ、と、心が満たされる旅となった。
◆余談
この国泰寺焼きを提供する広島お好み焼き・鉄板焼きのお店『花子』さん、地元だけでなく東京にも3店舗(※2025年7月現在)を展開している。
都内周辺にお住まいで興味を持たれた方は、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。








