荘厳で幻想的―ゆらめく炎と世界最古と言われる舞台芸術の共演

広島
コピーライター、エディター
Kyoko Kittaka
橘髙京子

4月28日、広島護国神社で「広島蝋燭薪能(ろうそくたきぎのう)」が開催された。喜多流の能楽師と人気狂言師が上演する護国神社恒例のイベントのひとつで、以前からとても気にはなっていたのだが、鑑賞したのは初めて。能楽は、大学時代に嚴島神社で行われた舞台を観た記憶があるが…それ以来なので何十年ぶり⁉ 狂言も、かなり昔に、人間国宝 四世 茂山千作さん率いる茂山千五郎家の舞台を観たことはあったが、野村萬斎さん(長男・裕基さんとの親子共演!)の生のお姿は拝見したことがなかったので、とても楽しみにしていた。

上演された番組は、能「巴」・狂言「因幡堂」・能「鉄輪」の3演目。開演は午後5時45分で、まだ明るい時間帯であったが、だんだんと日が暮れてくると、境内に特設された能舞台が蝋燭とかがり火で照らし出され、幻想的な雰囲気に包まれていく…この非日常感が心を高ぶらせた。

今回、蝋燭薪能を鑑賞して改めて気づいたことは、能楽は神楽でも良く耳にする「~で候(そうろう)」という堅苦しい(?)セリフが多く、演者の動きがゆっくりで、客席は緊張感に包まれていたように思う。狂言は「~でござる」というセリフが多く、言葉が現代語に近くて聞き取りやすい。そして、動きもコミカル! 客席から笑いが起こっていて、和やかな雰囲気に包まれていた。わたしの勝手なイメージだが、能楽は「オペラ(演者は歌わないけど…)」で、狂言は「コント」かな。

広島護国神社は広島城に隣接していることもあり、海外の観光客が参拝されているのを良く見かける。当日も何人か海外のお客さまが鑑賞されていたが、日本人のわたしでも能楽のセリフを理解するのは難儀なのに(大学は日本文学科で古典を勉強していたのに!)、皆さん、どのような感想を持たれたのだろうか?

能楽は「現存する世界最古の舞台芸術」と言われている。そんな、素晴らしい伝統文化がある日本に生まれ、日本人として生きていることを誇りに思う。そして、何よりも、それらを伝承して来られた方々に敬意を表さずにいられない。本当に、ありがとうございます!

プロフィール
コピーライター、エディター
橘髙京子
大学卒業後、広告代理店のコピーライターや出版社の編集者・ライターとして勤務。現在は映像業界のプロデューサー、フリーライターとして活動中。

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