西洋絵画をより面白く楽しく。「どこみる展」に行ってきた!
ルネサンスから19世紀末まで約600年にわたる西洋美術の流れ。
その作品群をたどりつつ、「どう見ると絵画はもっと面白くなるのか?」という視点から構成されている「西洋絵画、どこから見るか?-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館」、通称「どこみる展」に行ってきた。
概要を知った時から気になっており先日ようやく訪れることができたのだが、実際に会場へ足を運んでみると、作品の撮影OKという嬉しい配慮もあり、情報量もとても豊富。
さりげなく多めに用意されていたお洒落なソファで休憩を挟みながら、じっくりと楽しむことができた。
印象に残ったものをいくつか挙げていこうと思うが、まずは本展覧会のポスターにも使われている、フアン・サンチェス・コターンの《マルメロ、キャベツ、メロンとキュウリのある静物》。
日本初公開で、今回の目玉のひとつでもある作品だ。
実物の作品を前にすると、「あっ、これは」と目が吸い寄せられた。
描かれているのは写実的な野菜や果物なのに、上から吊られているマルメロとキャベツがとても不思議で、だまし絵のよう。
なぜこの絵から不思議な緊張感を感じるのだろうと、名作と呼ばれる作品の力を感じた。
もう一つのポスターに使用されているのは、マリー=ガブリエル・カぺの《自画像》。
描かれたのは、1783年頃。
フランス革命が始まる少し前のパリで描かれた作品ながらどこか現代的に感じる自画像で、「こういう人、今もいそう」と思えるリアルさが印象に残った。
当時の女性画家としての存在意義や、彼女たちがどのような表現を試みていたのかという視点から見ても楽しめた。
個人的にとても惹かれたのが「カプリッチョ」と呼ばれる絵画。
さまざまな古代遺跡や架空の建造物を一つの画面に集めた、いわば「架空の風景画」なのだが、画家の自由な発想と緻密な写実が同居していて、「想像をここまでリアルに描けるのか」という驚きと楽しさが感じられ、このジャンルの他の作品や歴史を調べてみたくなった。
他にも語りたい作品は数えきれないほどあるが、字数が足りないのでこのくらいで。
できればもう一度時間を取って鑑賞してみたい。
この展覧会は東京(国立西洋美術館)を皮切りに京都(京都市京セラ美術館)へも巡回するそうで、ぜひこちらの作品群を「どこから見るか?」で楽しく鑑賞してみては。
「西洋絵画、どこから見るか?-ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 VS 国立西洋美術館」
