ブランドの匂い

東京
コピーライター
TOKYOそういえば日記 53
コジマカツヒコ

「彼が出張でいない時でも枕があると匂いで安心するんですよ」

 

と昨年結婚した知り合いのデザイナー女史が言うわけです。

 

ご馳走様です。

 

 

世の中には香水のようなものとは別に、そのブランドだけがまとっている

独特の匂いが存在するらしいです。

「らしい」と書いたのはブランド側は公式には何も言っていないから。

 

そのブランドを崇拝するファンの間で昔から語り継がれている、、、なんというか

ちょっとした都市伝説みたいなものですね。

 

20数年前のこと。中学生の頃から憧れていたイタリアの

アルフ○ロメオというクルマを買いました。

 

クルマなので納車までに少し時間がかかります。たしか2週間だったか。

手持ち無沙汰というか待ちきれないわけです。

 

何をするかというと小物を買い集める。

洗車用のクロスはやっぱり鹿革かなぁとか、後部座席に置くクッションはパタゴニアかなぁとか。

そんなチマチマとした買い物の中には自動車雑誌のバックナンバーもあって、

買ったのはもちろんこれから納車されるクルマの大特集号。

 

読むと不思議な試乗記事が。「やっぱりアルフ○ロメオ、この匂いがたまらない」。

 

匂い? なんですかそれは?

 

調べてみると新車のアルフ○ロメオは、なんとも甘い、いい匂いがするらしい。

それは昔から続いている密やかな伝統とのこと。それ以上は不明。気になる!

 

ディーラーに電話しても「さぁ。。。存じ上げないですね」

 

悶々としたままいよいよ納車日です。ドアを開けるやクンカクンカと警察犬のように嗅ぐ。

トランクも嗅ぐ、エンジンルームも嗅ぐ。

 

うーん、なんか甘い匂いらしいものはするけど気のせいのような。。

 

いや、どこかに「匂いの元」があるハズだ(期待を捨てきれない)とさらに1時間ほど車内を捜索してみると、

運転席のシートの底に謎の白いもの!

 

ん?   タテヨコ4cm四方くらいの厚手のフェルト生地。

長々と海を渡って運ばれてきたせいかすでに干からびて見た目は賞味期限切れの高野豆腐のよう。

でもハズして嗅ぐと確かに甘い匂いがする。これかっ!

 

後日別の雑誌を入手したところ判明して、その高野豆腐がビンゴでした。

なんでもイタリアの工場で出荷される時に付けられることがある、と。

しかも都心にある輸入車用品の専門店には新品が売っているらしいじゃありませんか。

 

出かけていって買いました。メイン画像が当時のそれ。ピンボケですみません。

1,000円くらいだったか。新品のソレは目に痛いくらいの派手なピンク色でメーカーのロゴも何も書かれていない。

パウチされて売っていました。ご覧のとおりアダルトグッズか合法ドラッグかって見た目で

そのまま持って歩いたら警官に職務質問されてもおかしくない。

 

ともあれ、わくわく!   家に帰ってクルマに付けてみます。

 

お!  おぉぉぉぉぉぉ。。。う〜ん、、、、

 

あ、、、頭が痛い。香りというよりはスメルだこれ。キッツぅ。。

 

案の定、乗せる人、乗せる人、大不評でありましてあっという間にゴミになりました。

 

くだらない代物ですよね。必然性もないし。

 

でもそういう「ナイショの遊び」のようなものを大のオトナが仕込んで、買った人も楽しんでいる。

そういう「意味のないこと」って、ブランドをブランドたらしめる「謎」をまとうには効果があるのだと思いました。

 

何より、たまには無駄なことって楽しいですよね。

プロフィール
コピーライター
コジマカツヒコ
エレキギターで有名なアメリカ製のギブ○ンにも「新品のギブ○ンの香り」ってのがあります。 ギターケースの内張りに使われる接着剤に香料が混ぜ込まれている等、諸説ありますが、こちらも謎で公式には何も語られていません。

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