始まりを告げる花

東京
ライター
来た、見た、行った!
かつら ひさこ

今年も桜が咲いた。

誰かと連れ添っての花見というのはここ数年ほとんどしていないのだが、ご近所に立派な桜があるので、そこを通るたび花の開きを見て、ああ春が来たかと思う。

 

花粉症になってから、春という季節が苦手になった。

今年は薬やサプリやお茶などあらゆるものにお世話になっているのにそれでも辛いのがひどい。

 

世の中は少しずつマスクを外す人が出始めていて、コロナは未だあるけれども、それでもイベントは普通に開催されるようになってきて、スポーツの試合は声出し応援OKのニュースを見た。いろいろなことが、少しずつ戻ってきている。

 

ここ数年、ひとりの時に外でマスクを外して深呼吸をしていた。

物理的にも周りの雰囲気的にもいろいろな意味で息苦しいな、と思うことが多かったので、たまにそんなことをしていた。

 

このあいだ、試しに職場でマスクを外してみたが、何も言う人はいない。それどころかノーマスクの人がぽつぽついる。

本当に、少しずつ戻ってきている。

そういえば、飲み会も最近普通に行けている。

 

桜が咲くと、あらゆるものの「始まり」を告げられているようで、日本人にとって春というのはそういう季節なのだなと思う。

今年はどうだったかなぁ、あんまり何も達成できてなかったなと思うことが多いけれど、それでも時というのは人がどう思おうと淡々と進んでいく。

 

無常ともいえる時の経過に焦ることもあるけれども、いろいろなことが戻りつつあることを有難く思いながら、それでも毎日過ごしていく。

 

今年は夜桜を見ながら一杯飲みたいな、などと思う。

プロフィール
ライター
かつら ひさこ
1975年札幌市生まれ。自分が思い描いていた予定より随分早めの結婚、出産、育児を経て、7年前からライティングを中心とした仕事を始める。毒にも薬にもならない読みやすい文章を書くことがモットー。趣味はクイズと人間観察。

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