職人の技術と感性が生み出す、奥の深~い“モクテル”の世界

広島
コピーライター、エディター
Kyoko Kittaka
橘髙京子

近年、世界中でノンアルコールカクテルが流行しているらしい。長年BARに通っている私だが、ノンアルコールカクテルといえば、シャーリーテンプル、シンデレラ、サラトガクーラーといったスタンダードなものしか知らなかった。いろいろ調べてみたところ、日本でもノンアルコールカクテル「モクテル」に力を入れているお店が多数あり、広島にも有名なお店があることを噂に聞いた。さっそく訪れてみたのだが…その奥深い世界に、すっかり惹き込まれてしまった。

「モクテル」とは、英語の「Mock(似せた)」と「Cocktail(カクテル)」を合わせて作られた言葉で、イギリスで生まれた造語だそう。日本で「モクテル」という言葉が使われ始めたのは5~6年くらい前からと聞いたが、まだまだ知らない人も多いのではないだろうか。モクテルの良いところは、お酒が苦手な人や健康志向でアルコールを控えている人も楽しめるところだ。飲んでみたいけど「酔いたい」という人には物足りないのでは? なんてお思いの人もいるだろう。私もそうだったが、いつもお世話になっているバーテンダーさん曰く「雰囲気に酔えます!」と。確かに、さまざまな素材を複雑に調合している過程と、美しい所作を見ていると「ここはBARだなあ」と感じる。これが「ソフトドリンク」との明確な違いだと理解できた。

  

モクテルのことを調べていたら、さらに知った言葉が「ミクソロジー」。「Mix(混ぜる)」と「Ology(科学・学問)」を組み合わせた造語で、こちらもイギリス発祥のカクテルだそう。アルコールをジュースやシロップで割るのがクラシックなカクテルだが、ミクソロジーはフレッシュな果物や野菜、ハーブ、スパイスなど自然の材料のみを使用するのだそう。「人工的に造られたものは一切使わず、素材そのもののおいしさを生かした」のが、この進化系カクテル「ミクソロジー」。こちらも、モクテルとして楽しむことができる。

  

私が最近ハマっているのが、日本茶をはじめ、クロモジやショウガ、シソなど日本ならではの素材を使ったカクテルだ。広島にも、広島ならではの素材を生かした「モクテル」「ミクソロジー」を創作している職人がいる。そんな素敵な人たちに奇跡的に出会えたことで、また新たにカクテルの奥深さと面白さを知ることができた。この記事を書きながら、広島が誇れるものを全国や世界にもっともっとアピールしていきたい!と、改めて思うのだった。

撮影協力

写真左:Bar Upstairs(バー アップステアーズ)広島市中区胡町2-19 グレイスビル5F

写真右:THE SMITH(ザ スミス)広島市中区立町5-7 Gハウスビル2F

 

 

 

プロフィール
コピーライター、エディター
橘髙京子
大学卒業後、広告代理店のコピーライターや出版社の編集者・ライターとして勤務。現在は映像業界のプロデューサー、フリーライターとして活動中。

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