友達とやっと集える冬だから
ぐちゃぐちゃの本棚を片付けていたら奥からガラケーが出てきました。
東日本大震災の直後にiPhoneに乗り換えたので2011年の春まで使っていたモノ。
あの頃は各社いろいろなデザインがあって楽しかったですね。
ガラケーを発見して思い出したのが、だいぶ昔に読んだセレブの話。
25年くらい前のコラムで「セレブ界の最新携帯電話事情」みたいなタイトルでした。
セレブ界とはなんの接点も持たない自分がそんなコラムを読んだ理由は
初めて携帯電話を買ったばかりだったから。
コラムの内容はというと『最近ヨーロッパのセレブの間ではパーティー会場の
入り口にカゴが置かれていて、メンバーたちは携帯電話をそのカゴに預けてから
パーティーに参加します。これが新しいマナーになりつつあります。
何故なら目の前にいる友人たちとの時間を寸断すべきではないからです』
…みたいなもの。
パーティーの席で女性が腕時計の文字盤を内側にするのは時間を気にしていると
思われると相手への失礼にあたるから。ってのがありますけど根っこは同じですね。
それにしてもスマホどころか携帯電話さえ行き渡っていない頃に
「この便利な機械がもたらす無粋な事は何だろう」と考察するあたりどこのセレブさん達か
知りませんが凄い洞察力。スティーブジョブズが自分の子供たちにはiPhoneを持たせなかった話も
しかり、楽しいだけじゃなくて「毒」の側面も見抜いていたのでした。
当時ケータイを買った殆どの人は自分も含めて「わーい!」だけだったでしょうし。
で、話を戻すとコラムを読んでいる当時は正直なんとも思わなかったです。
携帯電話が当たり前じゃなかったのでマナーとか言われてもピンと来なかった。
しかしコラムの話を思い出した2022年の今「それ気持ちいいかも」と思いました。
“マナーを大切にする大人は素敵”とかそういう理由ではなくて、なんというか
目の前に実在するモノだけの時間が欲しい、みたいな気分。
コロナ禍で長いこと友人たちに会えなかったりリモートとかバーチャルとか
テクノロジーのお世話になり過ぎた反動なのでしょう。
でもようやく会いたい人たちと、本当に目の前で集える冬になりそうです。
久しぶりの飲み会、スマホは上着のポケットに入れたままにします。