WEB・モバイル2014.05.08

起業にチャレンジする経営者は 「同じ志を持った仲間」 サポートして、一緒に成長していきたい

仙台
ワイティープロダクト株式会社 代表取締役 木下康志氏
商品の卸や小売、WEB制作、ネットショップ、記帳代行、リスクマネジメントを通して起業家を支援するワイティープロダクト株式会社。代表の木下康志さんは、レンタルオフィス『セカンドステージ』の立ち上げに参画し執行役員も兼任。自らの経験をもとに仙台でビジネスを展開される方々のサポートを行っています。

両親の経営するコンサルタント会社に入社 会社を引き継いで改めて感じた強い「思い」

まず、起業されるまでの経緯を教えていただけますか。

会計や財務のエキスパートになろうと、専門学校卒業後に会計事務所に就職しました。 しかし、就職後1年あまりで父が体調を崩したため、両親が経営する経営コンサルティング会社を手伝うために退社しました。そこから8年間の下積みを経て、コンサルタント会社とガスの保証会社を引き継ぎオーナーとして運営していました。ガスの保証会社はガス事故の危険性を危機管理コンサルタントとしてガスを使用している経営者に理解をして頂くために亡き父が40年以上かけて開発したシステムです。ただ、その中で起業して「自分の仕事に責任を持ちたい」と強く思うようになりましたね。現在も全国統括総代理店で弊社のリスクマネジメント事業として業務を行っております。

すでに経営者という立場上、重責を負っていたのでは?

そうなんですが、何と言うか・・・自分で起業したい!という思いがとても強くなった、ということでしょうか。親の会社を引き継いで立場的には経営者でしたが、どこか会社員と変わらないというか、会社に属している感覚があったんです。するとどうしても、依頼心が生まれてしまう。 その中で私は、一から自分の会社を起こし、自分の仕事に自分で責任を持ちたいと思ったんです。 そこで、3社のオーナーを兼任しながら、起業準備を始めて、2007年にワイティープロダクト株式会社を設立しました。

最初は、ネットショップの運営事業から始められたのですね。

現在のYT SHOP

現在のYT SHOP

そうです。2007年当時、検索サイトはYahoo!が主流のころですね。 ノウハウを学びながらネットショップを立ち上げました。私の趣味でもある水泳用具を扱ったのですが、最初の一年は売り上げがほとんど上がらなくて苦労しました。ページの作り方を変えたり、在庫数を増やしたり、あれこれ試行錯誤して、なんとか売り上げが立つようになりましたね。 2年目からは知り合いの会計事務所と連携して会計ソフトの販売を開始しました。これが全国の会計ソフト売上げランキングの上位に食い込むヒット商品となり、その後、仙台市内に店舗を構えることができたんです。

記帳代行サービスをスタート 事業主の煩雑な業務を引き受けるビジネスを展開

そのころ震災がありましたね。 御社にはどのような影響があったのでしょう。

震災後は、全店舗休店となり2か月後に再オープンしましたが、運営がままならず途方に暮れました。あのときは本当に大変でした。しかしその後、大手スイム用品卸メーカーと取引契約を結ぶことができ、フィットネス用品やサプリメントなどの取り扱い商品を増やすことができ、現在では水泳インストラクターがおすすめする仙台市内のスイムフィットネス用品の専門店として運営しております。余談ですが、当社は「YT SHOP」として日本実業団水泳競技大会にも出場しております。

ネットショップが軌道に乗り始めた後、また新たな業務を展開されましたね。

はい。2012年に会計事務所のバックアップのもとに『東北記帳代行センター』を開設しました。 クラウドを利用した会計の記帳代行、経営コンサルティング、会計士や税理士などの紹介、危機管理とリスクマネジメントを行っています。私はもとから会計業務に携わりたいと思っていたので、念願が叶いました。

中小零細企業や個人事業主の方々に向けたサービスですね。

そうです。日々忙しい経営者の業務をサポートさせていただいています。会計帳簿の作成やリスクマネジメントなどが特にそうですね。また、両親の会社の時代から築いてきた士業ネットワークで、会計士や税理士などさらに強い味方になりうる専門家をご紹介しています。

経営者のサポーターですね。

そうですね。そうありたいです。 これは私の考えですが、失業率が高いこの時代ですから、組織にいられる時間には限りがあるかもしれませんよね。勤め人としてどれほど立場が保証されるかわからない。だからこそ私は組織に属す勤め人ではなくて、自分で責任を負って自分でやっている方々のサポートをしていきたいと思っているんです。

木下さんご自身も同じお立場ですね。

はい。自分が起業したのが平成19年ですので経営者としてはまだ若輩者です。起業される方には「同じ志を持った仲間」という親しみを感じます。チャレンジしている、という面で私と同じですからね。機会があれば、できるだけ多くの方々に自分が起業に至った経緯をお話し、起業するための参考にして頂きたいですね。

仙台にレンタルオフィスを開設

木下さんはレンタルオフィス『セカンドステージ』の開設にも関わられたのですよね。

記帳代行サービスをさらに役立てていただけるのではないかと思い、起業家支援と企業とのマッチングを目的としたレンタルオフィスの管理を11月~3月まで委託されました。現在は運営会社が行っております。仙台は東北の拠点となる都市なので、出張などで来られる方も多くいらっしゃいます。そういった方々や、ビジネスを始めたばかりで事務所をお持ちでない方に気軽に使っていただける場所を提供したかったんです。オープンスペースや、落ち着いて利用できる個室をご用意したので、それぞれに合った使い方をしていただけるといいな、と思っています。実は、自分もここの一角に入居しているんですよ。

では、他の入居者に経営のアドバイスをされたりもするんですか?

ご希望の場合にはアドバイスもさせていただいています。セカンドステージの利用はシニアの起業家が多いので、一定の知識やノウハウをお持ちの場合が多いのですが、補助金や助成金の利用も薦めていますね。

シニア起業家ですか!シニア層の起業が増えているのでしょうか?

ええ。そう思います。 利用時間ごとにプランを設定したり、ビジネスマッチングの機会を設けたりと、シニア向けにどんな特色が出せるか色々と考えているところです。

自分の経験をもとに起業家のサポートを。

多角的に展開している御社ですが、今後はどのような活動をされるのでしょうか。

自分の中には「起業すること」と「起業家を支援すること」の2つの目標があり、それは現在までに少しずつ形になっていると思っています。これからは、ビジネスとしてさらに積極的に前向きにチャレンジしていきたいですね。 私のビジネスパートナーは会計業務のプロなので知識量が豊富。私も自分をさらに高め成長しなくては、と、今、経営大学院に通っているところです。

起業家にとって、さらに強力な味方になっていく、と。

そうありたいと思っています。経営というのは、私にとって身近なものでしたが、奥が深い。自分自身も試行錯誤して勉強しています。さらに成長して、その経験やノウハウを使ってさまざまな形で起業家をサポートしていきたいですね。震災から3年経った仙台に起業家が増えて、新しいビジネスモデルが生まれることも楽しみにしています。

取材日:2014年3月7日

ワイティープロダクト株式会社

  • 代表取締役:木下康志(きのしたやすし)
  • 設立年月:2007年4月20日
  • 事業内容:会計事務・記帳代行業務、ネットショップ運営、リスクマネジメント事業など
  • 所在地:宮城県仙台市青葉区本町1丁目12-12 GMビルディング3階 セカンドステージ
  • TEL:022-722-6722
  • FAX:022-774-2133
  • URL:http://yt-kityo.sakura.ne.jp/company_works.html#company
  • お問い合わせ先:上記ホームページ「お問合せフォーム」より
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